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第9章 ハデス神殿での求愛
7 君が愛おしくてたまらない
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「な、なにを言ってるんだ…」
再び目線を合わせてきたオルフェウスからは揺るがない決意が漂っていて、本気だと手に取るようにわかる。
けれどもあえて問いただした。
「ふざけたことを言わないでくれ」
「ふざけてなどいない」
「だったら…なんで…なんで独りで行くなんて…そんなの…だって…これはオレの…」
「その点なら以前にも告げたが問題ない。過程は問われない。要は結果さえ出せば文句は出ない」
「それだったらオレだって、その時に言ったはずだ、それでもオレも行くって」
あの時だっていやだと意思表示したはずだと睨みつける。
すると、ディケ…と嘆息した後に告げられた。
「アウゲイアスはオリュンポス神族の血を半分引く身でありながら妖しげな術を極め、勢力を急速に拡大している実にやっかいな奴だ。それだけではない。巨人族と裏で通じ、機を見てオリュンポスに反乱を起こすと噂されている」
「っ…だったら…なおさら一人じゃ危険だ。オレだって…少しは役に立つ」
巨人族という響きにほんのわずかにだけたじろぐが引く気はない。
足手まといになる可能性には一切触れずに反論した。
「今回は今までの害獣退治とはわけが違う。これ以上、君を危険な目に遭わせるわけにはいかない。だから…」
「いやだ、オレも行く」
最後まで言わせずに逆らった。
独りで行くなんて許せない。
こればかりは譲れない。
「ディケ、頼むから。君がここで待っていてくれれば安心なんだ。すぐに戻る」
「いやだ、絶対に一緒に行く」
「ディケ…」
「だって…オレは…だって…だって…」
前回のいさかいの時には言えなかった言葉を今度こそ迷いなく口にした。
「あんたと…離れたくないんだ、オルフェウス」
この想いはもうごまかせない。
大きく見開かれた青灰色の瞳を見つめ返しながら、側にいたいんだと切なく伝えた。
「あっ」
勢いよく腕を取られるや否や、逞しい胸元へと引き寄せられて両腕で強く抱きしめられた。
君が愛おしくてたまらない――と。
感極まるようにして、つぶやいた大きな背中におずおずと手を回し、ギュッと抱きしめて返す。
喜びが水紋のように胸の中で広がり、すごく嬉しいと相手にも示したかった。
「オルフェウス…オレを置いていかないでくれ」
ビクッと全身を震わせた相手に、頼むからと懇願した。
離れるのはいやなのだ。
たとえ一時であろうと。
ややあって、わかったと小さく応じられた。
「一緒に行こう。全身全霊で君を守る」
「ん…」
本当は心配でたまらないという、なおも不満が残る声音に口角を上げながら頷いた。
これほど頼りがいのある守護者もいないだろう。
「全てが終わったら…番いになって欲しい」
そっと身を離され、頬を大きな手で撫でられながら懇願された。
「私を…選んでくれ」
それはまるで他の選択肢があるような言い方だ。
かすかに奇妙な違和感を覚えながらも顔を縦に振った。
「あぁ、ディケ…君を永久に大切にする」
この上なく艶やかな微笑を見せた美貌が、愛の言葉とともに長いまつげを伏せながら顔を近づけてきた。
何をされるのかなんて考えるまでもない。
はぁぁっと熱のこもった吐息を漏らしながら視線を下げ、その甘い唇を甘受した。
再び目線を合わせてきたオルフェウスからは揺るがない決意が漂っていて、本気だと手に取るようにわかる。
けれどもあえて問いただした。
「ふざけたことを言わないでくれ」
「ふざけてなどいない」
「だったら…なんで…なんで独りで行くなんて…そんなの…だって…これはオレの…」
「その点なら以前にも告げたが問題ない。過程は問われない。要は結果さえ出せば文句は出ない」
「それだったらオレだって、その時に言ったはずだ、それでもオレも行くって」
あの時だっていやだと意思表示したはずだと睨みつける。
すると、ディケ…と嘆息した後に告げられた。
「アウゲイアスはオリュンポス神族の血を半分引く身でありながら妖しげな術を極め、勢力を急速に拡大している実にやっかいな奴だ。それだけではない。巨人族と裏で通じ、機を見てオリュンポスに反乱を起こすと噂されている」
「っ…だったら…なおさら一人じゃ危険だ。オレだって…少しは役に立つ」
巨人族という響きにほんのわずかにだけたじろぐが引く気はない。
足手まといになる可能性には一切触れずに反論した。
「今回は今までの害獣退治とはわけが違う。これ以上、君を危険な目に遭わせるわけにはいかない。だから…」
「いやだ、オレも行く」
最後まで言わせずに逆らった。
独りで行くなんて許せない。
こればかりは譲れない。
「ディケ、頼むから。君がここで待っていてくれれば安心なんだ。すぐに戻る」
「いやだ、絶対に一緒に行く」
「ディケ…」
「だって…オレは…だって…だって…」
前回のいさかいの時には言えなかった言葉を今度こそ迷いなく口にした。
「あんたと…離れたくないんだ、オルフェウス」
この想いはもうごまかせない。
大きく見開かれた青灰色の瞳を見つめ返しながら、側にいたいんだと切なく伝えた。
「あっ」
勢いよく腕を取られるや否や、逞しい胸元へと引き寄せられて両腕で強く抱きしめられた。
君が愛おしくてたまらない――と。
感極まるようにして、つぶやいた大きな背中におずおずと手を回し、ギュッと抱きしめて返す。
喜びが水紋のように胸の中で広がり、すごく嬉しいと相手にも示したかった。
「オルフェウス…オレを置いていかないでくれ」
ビクッと全身を震わせた相手に、頼むからと懇願した。
離れるのはいやなのだ。
たとえ一時であろうと。
ややあって、わかったと小さく応じられた。
「一緒に行こう。全身全霊で君を守る」
「ん…」
本当は心配でたまらないという、なおも不満が残る声音に口角を上げながら頷いた。
これほど頼りがいのある守護者もいないだろう。
「全てが終わったら…番いになって欲しい」
そっと身を離され、頬を大きな手で撫でられながら懇願された。
「私を…選んでくれ」
それはまるで他の選択肢があるような言い方だ。
かすかに奇妙な違和感を覚えながらも顔を縦に振った。
「あぁ、ディケ…君を永久に大切にする」
この上なく艶やかな微笑を見せた美貌が、愛の言葉とともに長いまつげを伏せながら顔を近づけてきた。
何をされるのかなんて考えるまでもない。
はぁぁっと熱のこもった吐息を漏らしながら視線を下げ、その甘い唇を甘受した。
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