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第11章 王の淫術にはまった身が…
2 異形どもに襲われて
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すっかり暗くなった空に向けて嘆息した後に、果物や木の実などが置かれている脇机へと目をやった。
(葡萄酒でも飲むか…)
暇を持て余し、脚の付いた円形の大杯から小さな陶器製の酒杯を使って液体をすくう。
口を付けようとすると慌ててイオンが飛んできた。
「クィイィッ」
腕に素早く留まるとくちばしを酒の中に入れてすする。
コク、コクッと喉を鳴らして飲んだかと思いきや、ガッ、ゴッ、グェエェッと苦しみ始めた。
「イオンッ!?」
身の内に混入した毒物を闘気で払拭しようと、イオンが直ちにブワンッと青白い炎を全身に燃え上がらせた。
だが次の瞬間、ドゴォオンッ――とその小さな身が窓から現れた黒い侵入者によって壁に叩きつけられた。
「!!」
それはいきなり眼前から消えたとしか思えない速さだ。
咄嗟に目で追った先の壁に、ビシビシビシィッと鋭く円環状のヒビが入る。
「クゥイィイイィーーッ」
急襲を受けた側がその深く窪んだ中心点でけたたましく鳴いた。
と同時にカッと青白い閃光を放ち、怒りとともに浮かび上がると即座に小鳥の姿から戦闘仕様へと切り替える。
けれどもイオンの張っていた防御壁が揺らぐ、そのわずかな隙を狙っていた側がザァアンッ、ザァアンッ、ザァアンッ、ザァアンッとすかさず飛ぶようにして侵入してきた。
バチバチバチバチーーッ、バチバチバチバチーーッ、バチバチバチバチーーッ…
「グゥエエェェーーッ」
上下左右の空間を、五角の星形で陣取った五体の敵から一斉に黒い邪気を放出されて魔鳥がその中央で苦しげにもがく。
応戦できる姿に変貌することもできずに、ゴトォッと炭と化して床に転げ落ちた。
「イ、イオンッ!!」
一体何が起きているのか。
正体も追いきれないうちに瞬く間に壁に叩きつけられ、たちまち黒い塊とさせられ、なおもバチバチッ、バチバチッと五つの方向から稲妻のような黒い気を照射され続けている。
「やめろっ」
すぐさま腰にかけていた刀の柄を外して、手から霊気を注ぎ入れ、ビュオンッと緑白色の霊力刀を出現させた。
ダンッと寝具から勢いよく飛び上がり、その一角へと振り落とした。
「くっ…」
ガッという鈍い音とともにバチバチバチバチッ、バチバチバチバチッと漆黒のより激しさを増した雷光によって阻まれる。
(なんて…力だ…)
拮抗ではない。
むしろ完全に押されている。
負けずに切り入れようと闘気を高めると、全ての方向から一斉に邪気が向けられたのがわかった。
「くそっ」
接触面からのビリビリと重たい振動に全身が揺さぶられながら敵を睨みつける。
なぜ、現れることができたのか。
炭化したイオンを中心にして、五角星の陣を保つように座しているのは猿のぬいぐるみだ。
イオンが外に持ち出し、木々の間に隠したはずのそれらの置物が、オルフェウスが不在となった途端に舞い戻ってきたのだ。
まるで生きているかのように。
用心深いイオンが手を抜いたとは思えない。
くるんだ布には霊気をこめてもいたはずだ。
(葡萄酒でも飲むか…)
暇を持て余し、脚の付いた円形の大杯から小さな陶器製の酒杯を使って液体をすくう。
口を付けようとすると慌ててイオンが飛んできた。
「クィイィッ」
腕に素早く留まるとくちばしを酒の中に入れてすする。
コク、コクッと喉を鳴らして飲んだかと思いきや、ガッ、ゴッ、グェエェッと苦しみ始めた。
「イオンッ!?」
身の内に混入した毒物を闘気で払拭しようと、イオンが直ちにブワンッと青白い炎を全身に燃え上がらせた。
だが次の瞬間、ドゴォオンッ――とその小さな身が窓から現れた黒い侵入者によって壁に叩きつけられた。
「!!」
それはいきなり眼前から消えたとしか思えない速さだ。
咄嗟に目で追った先の壁に、ビシビシビシィッと鋭く円環状のヒビが入る。
「クゥイィイイィーーッ」
急襲を受けた側がその深く窪んだ中心点でけたたましく鳴いた。
と同時にカッと青白い閃光を放ち、怒りとともに浮かび上がると即座に小鳥の姿から戦闘仕様へと切り替える。
けれどもイオンの張っていた防御壁が揺らぐ、そのわずかな隙を狙っていた側がザァアンッ、ザァアンッ、ザァアンッ、ザァアンッとすかさず飛ぶようにして侵入してきた。
バチバチバチバチーーッ、バチバチバチバチーーッ、バチバチバチバチーーッ…
「グゥエエェェーーッ」
上下左右の空間を、五角の星形で陣取った五体の敵から一斉に黒い邪気を放出されて魔鳥がその中央で苦しげにもがく。
応戦できる姿に変貌することもできずに、ゴトォッと炭と化して床に転げ落ちた。
「イ、イオンッ!!」
一体何が起きているのか。
正体も追いきれないうちに瞬く間に壁に叩きつけられ、たちまち黒い塊とさせられ、なおもバチバチッ、バチバチッと五つの方向から稲妻のような黒い気を照射され続けている。
「やめろっ」
すぐさま腰にかけていた刀の柄を外して、手から霊気を注ぎ入れ、ビュオンッと緑白色の霊力刀を出現させた。
ダンッと寝具から勢いよく飛び上がり、その一角へと振り落とした。
「くっ…」
ガッという鈍い音とともにバチバチバチバチッ、バチバチバチバチッと漆黒のより激しさを増した雷光によって阻まれる。
(なんて…力だ…)
拮抗ではない。
むしろ完全に押されている。
負けずに切り入れようと闘気を高めると、全ての方向から一斉に邪気が向けられたのがわかった。
「くそっ」
接触面からのビリビリと重たい振動に全身が揺さぶられながら敵を睨みつける。
なぜ、現れることができたのか。
炭化したイオンを中心にして、五角星の陣を保つように座しているのは猿のぬいぐるみだ。
イオンが外に持ち出し、木々の間に隠したはずのそれらの置物が、オルフェウスが不在となった途端に舞い戻ってきたのだ。
まるで生きているかのように。
用心深いイオンが手を抜いたとは思えない。
くるんだ布には霊気をこめてもいたはずだ。
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