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第12章 一夜限りであっても
4 生々しさを
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(あぁ…)
頭の後ろに大きな手を添えられて、舌とともに注ぎ入れられているのは、なんとかして自分を生かそうとする、愛に満ちた気だ。
この口づけを待っていたんだと。
この口づけをと。
なぜだかそう思えて、ツーッと閉じたまぶたから涙が頬をつたって流れ落ちた。
性的に搾取されるだけの関係、そんな過去だったような気がしてたまらない。
「あっ...ふっ…ん、んんっ」
舌に柔らかく絡まれては離れ、顔の向きを変えられては、奥へ奥へと、届いてくれとばかりに挿し入れられ、じわんっと胸が熱くなる。
情熱的に求められているだけじゃない。
自分と一緒に生きて欲しいと。
望んでもらえていることがただただ嬉しくて、唇を吸われながら、脚の間に陣取っている男の背に両手を回して掻きむしった。
「血の気が…戻ってきている」
離れた唇からホッと安堵したような声で告げられた後に、熱い舌を耳に入れられて、はぁあぁっと喘ぐ。
冷めきっていた身体に霊気が届き始めている体感を自分でも感じ取れた。
けれども、やめないで…と相手の体躯にしがみついた。
「わかってる。まだだ、まだ全然足りてない」
下衣を着けていない内股が温かみを分けるように手のひらで擦られた後、探るようにして指が奥へと進む。
ツプッと強引に先を挿れられて、ウッとたまらずにうめき声を漏らした。
「硬いな」
即座に抜かれて、フゥ…と全身から脱力する。
だが途端に猛烈な不安に襲われた。
(こわい…)
これほどまでに痛かったということはやはり樹木化が進んでいるのだ。
このまま木になってしまったら、どうしようと。
そして二度と目を覚ますことがなかったら、どうしようと。
わずかの間に何度も怯えが心を走り抜ける。
先ほど聞かされた逝かないでくれという言葉は、それほどまでに自分の状況が追いつめられていることを示しているのだ。
けれども離れたくない。
別れたくないのだ。
この目の前の愛しい存在から。
オルフェウス…と弱々しく名を呼ぶと、大丈夫だと微笑みで返された。
そのまま膝裏に両手を添えられ、ぐいっと両脚が胸につくまで折りたたまれる。
「っ…こ、こんな…格好…」
「少し軋むか? だがすぐに元に戻してやる」
腰を高く浮かせられ、秘部を露わにさせられている、その姿勢が恥ずかしいというのに、ゆったりと美しい顔が降りていく。
大きく見開かれた瞳で、まさか、まさか…と長い舌の行方を追い、うそだとたじろいだ、次の瞬間に――ぬぷっと挿れられた。
「あぁああっ!!」
ぬっ、ぬっ、ぬっと硬く尖った舌先で肉の縁を念入りに舐められて、ガクガクッ、ガクガクッと脚に震えが走る。
「やあだぁっ、やだぁっ、そこっ、あああぁっ!! あああぁっ!!」
あっという間に指も増やされ、抉るように擦られて、ほぐれされ、あられもなく泣かされた。
「そうだ、それでいい」
瞳を細めたオルフェウスに囁かれて、股の間が生々しさを取り戻したことを感じ取った。
(あぁ…)
息づくように反り返り、タラタラと先から密を垂らし始めた性器も、ぬちゅぬちゅと濡れた音を出し始めた恥部も。
樹木化を抑えこみ、生気が復活してきている兆しだ。
頭の後ろに大きな手を添えられて、舌とともに注ぎ入れられているのは、なんとかして自分を生かそうとする、愛に満ちた気だ。
この口づけを待っていたんだと。
この口づけをと。
なぜだかそう思えて、ツーッと閉じたまぶたから涙が頬をつたって流れ落ちた。
性的に搾取されるだけの関係、そんな過去だったような気がしてたまらない。
「あっ...ふっ…ん、んんっ」
舌に柔らかく絡まれては離れ、顔の向きを変えられては、奥へ奥へと、届いてくれとばかりに挿し入れられ、じわんっと胸が熱くなる。
情熱的に求められているだけじゃない。
自分と一緒に生きて欲しいと。
望んでもらえていることがただただ嬉しくて、唇を吸われながら、脚の間に陣取っている男の背に両手を回して掻きむしった。
「血の気が…戻ってきている」
離れた唇からホッと安堵したような声で告げられた後に、熱い舌を耳に入れられて、はぁあぁっと喘ぐ。
冷めきっていた身体に霊気が届き始めている体感を自分でも感じ取れた。
けれども、やめないで…と相手の体躯にしがみついた。
「わかってる。まだだ、まだ全然足りてない」
下衣を着けていない内股が温かみを分けるように手のひらで擦られた後、探るようにして指が奥へと進む。
ツプッと強引に先を挿れられて、ウッとたまらずにうめき声を漏らした。
「硬いな」
即座に抜かれて、フゥ…と全身から脱力する。
だが途端に猛烈な不安に襲われた。
(こわい…)
これほどまでに痛かったということはやはり樹木化が進んでいるのだ。
このまま木になってしまったら、どうしようと。
そして二度と目を覚ますことがなかったら、どうしようと。
わずかの間に何度も怯えが心を走り抜ける。
先ほど聞かされた逝かないでくれという言葉は、それほどまでに自分の状況が追いつめられていることを示しているのだ。
けれども離れたくない。
別れたくないのだ。
この目の前の愛しい存在から。
オルフェウス…と弱々しく名を呼ぶと、大丈夫だと微笑みで返された。
そのまま膝裏に両手を添えられ、ぐいっと両脚が胸につくまで折りたたまれる。
「っ…こ、こんな…格好…」
「少し軋むか? だがすぐに元に戻してやる」
腰を高く浮かせられ、秘部を露わにさせられている、その姿勢が恥ずかしいというのに、ゆったりと美しい顔が降りていく。
大きく見開かれた瞳で、まさか、まさか…と長い舌の行方を追い、うそだとたじろいだ、次の瞬間に――ぬぷっと挿れられた。
「あぁああっ!!」
ぬっ、ぬっ、ぬっと硬く尖った舌先で肉の縁を念入りに舐められて、ガクガクッ、ガクガクッと脚に震えが走る。
「やあだぁっ、やだぁっ、そこっ、あああぁっ!! あああぁっ!!」
あっという間に指も増やされ、抉るように擦られて、ほぐれされ、あられもなく泣かされた。
「そうだ、それでいい」
瞳を細めたオルフェウスに囁かれて、股の間が生々しさを取り戻したことを感じ取った。
(あぁ…)
息づくように反り返り、タラタラと先から密を垂らし始めた性器も、ぬちゅぬちゅと濡れた音を出し始めた恥部も。
樹木化を抑えこみ、生気が復活してきている兆しだ。
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