やばい彼氏にご注意を

SIVA

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7. 最終話 最低で最高の言葉

7-54

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***

「あぁマジ最悪」
完全腰砕け状態の俺は枕に顔をうずめたままボヤいた。
「ん?あ、倫太郎起きた?」
隣ではすっきりした表情の有栖川。
横で上半身を起こした状態で本を読んでいたようだ。
柄でもない事をしているという事と、スッキリして満足げな顔を見て俺だけがこんなに辛い思いをしてるって考えるとさっきまでの行為なんてくそくらえって思ってしまう。
「倫太郎って意外とエッチだよね。俺的にはめちゃくちゃ嬉しいんだけどさ」
言われて途端に顔が熱くなるのを感じた。
確かに心の底から有栖川を求めて自分から抱かれるような事をしたんだ。
ぐうの音も出ない。
最後の方では半分意識がない状態で有栖川の欲をひたすらに中に受け止め、自分の欲はもうすっかり白濁から透明な液体が出るだけのすっかすかにされてしまった。
朦朧とする意識の中、俺の中に吐きだされた欲の処理も、結局べとべとになった身体もきれいに洗い流して風呂場からお姫様抱っこの状態でここまで運ばれた頃には、意識は完全になくなっていた。

「倫太郎が本気で俺を求めてくるんだもん。俺、それに応えないわけにはいかないじゃん?」
「言い訳がましいこと言うなよ」
「いやマジにさ。あんなに縋る様に抱いてくれって言われたら、可愛くて愛おしくて壊したくなっちゃうじゃん?」
「こぇよ」
「うん、我に返った時自分のひねくれた愛情にゾッとした♡」
そう言いながらも、満更でもない表情を浮かべてるのはなんでだよ。
「ひねくれた愛情ねぇ……」
「でも俺嬉しかったからさ?」
顔が近づいてくるなり、チュッとおでこにキスをされた。
「お前も俺を求めてくれたこと」
囁き声に近かった。
こそばゆい感じが抜けず身震いをしていると「来て良かった」と言われた。

***

気だるさが残る身体を起こして、玄関で靴の紐を結んでいる有栖川を見下ろした。
「何だかんだ、こうやって会えてると今のこの距離感も悪くないかなって思うんだけど」
有栖川の背中に向かってそう言うと「俺は嫌だね」
きっぱり言われてしまった。
紐をしっかり結び終え立ち上がると俺は顔を上げ、今度は見上げた状態で有栖川を見た。
「俺はお前とずっと一緒にいたい。離れたくない」
「子供かよ」
「はははっ。うん。かもな」
名残惜しそうに俺の頬に手を伸ばすが、寸での所で止まり握り拳に変わった手はゆっくりと下ろされていった。
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