泡沫には消えないもの。永遠には残らないもの。

唯純 楽

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波濤 2

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「まったく……メル。二度と銃をぶっ放すんじゃねぇぞ」
「同感だ。戦闘中の甲板には絶対に出るんじゃない」

「はい……」

 シーフブレムゼの岸壁で再会を果たしたブラッドフォードとエメリヒは、まずは無事を喜んでくれたものの、すぐお説教に入った。

「それから、敵船から撃ち込まれた砲弾をいきなり拾い上げて海に放り込んだりすんじゃねぇぞ」

「はい」

「それから、怪我人を運ぶときはひとりじゃなく、誰かに手伝ってもらうこと。無理に引き摺って来ると、二次的被害が拡大する」

「……はい」

「階段を容赦なく引きずり下ろされて、俺悶絶したぜ!」

 ブラッドフォードとエメリヒの後ろでわいわい言っていた乗組員のひとりが、身を乗り出して訴えるのに、メルリーナは心当たりがありすぎて素直に謝った。

「ご、ごめんなさい……」

「それからよー、ハンモックを一生懸命片付けてくれるのはいいんだけど、この間、無理やり詰め込んでたのがいきなり飛び出して来て、驚いたのなんのって……」

「……ごめんなさい」

「俺はメルが作ったスープで酔っぱらったぜ? どうせワインを飲むから一石二鳥とかなんとか言ってよぉ。ありゃ、スープじゃなくてワインだった」

「…………ごめ……」

 ひとりが言い出すと、俺も俺もと次から次へと訴える声が上がる。

「あ! それを言うなら、俺も! あのさ、身体を拭くときには目をつぶらねぇでほしいんだよな。いや、なに、妙なとこ触られると、いっくら自制心に満ち溢れた俺でもちょっと困ったことになんだよな……」
「お、それ俺も! この前、腹んとこ拭いてるはずが、あらぬ場所に……」
「いや、腕とかでもなんかこう、メルがやると力加減がフワフワしてて、妙な気分になんだよな」
「なんつーか、夢ん中で………みたいな」
「うわ、おまえら何得だよ、それ」
「いいなぁ……俺、拭いてもらいたい……」

 なんだか卑猥な話になっているような気がして、頬が熱くなって来たメルリーナが俯くと、ブラッドフォードが一喝した。

「おまえらっ! くだらねぇこと言ってんじゃねぇ! とっとと散れっ!」

 わっと慌てて逃げ出した乗組員たちを見送って、ブラッドフォードは溜息を吐いたが、厳めしい顔付きで否定ではなく肯定のひと言を放つ。

「取り敢えず……気を付けろ、メル」
 
「…………はい」

「それにしても、船長に似て品がない連中だな」

 ラザールの評に、ブラッドフォードはむすっとして言い返す。

「挨拶もなく、いきなり大砲ぶっ放そうとするジジイには言われたくない」

「ぶっ放すのが、挨拶代わりだ」

「……」

「メルをお待ちかねの人のところへご案内します」

 さらりと話を切り上げたゲイリーは、岸壁のすぐ傍まで付けた馬車へメルリーナたちを導いた。
 ラザールは、乗り込むなりブラッドフォードに釘を刺す。

「先に言っておくが、メルリーナの用が済んだらすぐに出港する。チェス狂いの国王の相手をしている暇はない」

「大丈夫だ。今はあのオッサンの目はエナレスに向いているからな」

「ふん。次はエナレスから妃を迎えようと企んでいるんだろう」

「否定はしねぇよ」

 ハワードの女好きは病気だと言うラザールが、少し息苦しそうに襟をくつろげる動作をするのを見て、メルリーナはブラッドフォードに尋ねた。

「あの……アデル様は……ヴェークロイツにいるんですよね?」

 ここから馬車でたった一日という距離ではあるが、ラザールの体調を考えれば、長時間馬車に揺られているのはよくないだろうと思われた。
 元気そうに見えるけれど、食は細いままだし、船員たちが誰も見ていないときには、その顔に疲れた表情が覗く。

「いや。アデル様は、オーランド殿と一緒にシーフブレムゼにいるよ。もちろんアナも一緒だ」

 ブラッドフォードの代わりにゲイリーが答えた時、馬車が止まった。

「着いたよ」

 ほんの短い距離、歩いてさえ行ける距離を走って、馬車は港の端にある豪勢な宿屋の前で止まった。
 
「アデル様もアナも、メルを待っていたんだよ」

「メルお姉様っ!」

 馬車の扉が開き、メルリーナがゲイリーの差し出した手に恐る恐る手を重ねて降りた途端、ジョージアナの声がした。 
 
「アナ」

「無事でよかった……とても心配しました」

 瞳を潤ませ、メルリーナの手を取ったジョージアナは、続いて降りて来たラザールを見ると慌てて淑女らしく背筋を伸ばして挨拶した。

「リヴィエール前公爵様。お初にお目にかかります、ジョージアナです」

「ラザールだ。うむ、メルリーナと似ているな」

「はい。そして私の母アデルは、きっとメルリーナお姉様のお母様と似ていると思いますわ」

「ジゼルも美しかったが、こんな美人な娘が生まれるのだから、アデル殿も美しいに違いない」

 ラザールの褒め言葉に、ジョージアナは頬を赤らめてはにかんだ笑みを見せる。
 愛らしいその様子に、ラザールも相好を崩す。

「おい、ジジイ。年甲斐もなく、口説いてんじゃねぇぞ」

 ブラッドフォードの牽制に、ラザールは「何か言ったか?」と聞こえないフリをして、ジョージアナに案内を頼む。
 
「ブラッド。どう見ても、祖父と孫だろうに?」

 ゲイリーが嫉妬するなんて馬鹿げていると言えば、「孫ほど可愛いものはなからな」とラザールが振り返りざまに付け足した。

 今にも発火しそうなブラッドフォードと、いつものように心の内を読ませない笑みを浮かべたゲイリーの間に挟まれて、先を行くラザールの背を見ていたメルリーナは、やっぱり無理をしているのではないかと心配になって来た。

 宿は、一階が食堂になっていて、新鮮な海の食材を楽しむ人々で溢れかえっていたが、二階へ上がれば人気もなく、静かだった。
 開け放たれた廊下の窓から吹き込む潮風は、リヴィエールのものよりも温かい。
 暑さも、ラザールの身体には負担になるだろう。
 とにかく、ゆっくりとアデルやジョージアナと話したい気持ちはあるけれど、母ジゼルのことを確かめたらすぐに発とうと心に決めた。
 航海長がいれば船は無事にリヴィエールへ戻れるとは思うが、あくまでも船長はひとりだ。
 ラザールに何かあれば、見習い乗組員たちが動揺することは目に見えている。
 
「メル。大丈夫だよ。僕らが一緒に行くからね」

 メルリーナの不安はわかっていると言うように、ゲイリーが囁いた。

「ヴァンガード号はボロボロだけど、僕たちはピンピンしているんだ。リヴィエールが総力を挙げて海賊を根絶やしにする、世紀の海戦が拝めるかもしれないのに、港で燻っているなんてつまらないしね」

 一緒に行くというのは、つまりネ―レウス号に乗るということだろうか。
 リヴィエールの船に、ウィスバーデンの海兵隊員を乗せてもいいものなのだろうかと首を傾げれば、にやりと笑う。

「ウィスバーデンの海兵隊員だって、言わなきゃ誰もわからない」

 言わなくたってわかると思う、とメルリーナが異議を眼差しに込めれば、ゲイリーはにっこり笑う。

「メルたちが言わなきゃ、わからないよ。たまたま立ち寄ったウィスバーデンで、職と船を失って路頭に迷いかけていた船乗りたちを大量に雇ったら、たまたま海兵隊員が紛れ込んでいたってだけのことだ」

 そんな偶然なんてあるわけないと思ったけれど「世の中、奇跡のような偶然に遭遇することだってあるんだよ」と言われれば、頷かないわけにはいかなかった。
 海の中で出会ったジゼルや、まるでこちらのことがよくわかっているかのような仕草を見せた鷲のこと。
 パスラから遠く離れた地で、ハルシュの住む村に流れ着いたこと。
 あっさりとラザールが見つけてくれたことなど、そこにはゲイリーの言うとおり、奇跡のような偶然が入り混じっている。

「リヴィエールだって、文句は言わないよ。リヴィエールの英雄には、みんな長生きしてもらいたいだろうから」

 長い散歩を終え、無事に家まで戻って欲しいと願っているのは、何もメルリーナやリヴィエールの人々だけではないのだと、ゲイリーは優しく笑う。

「僕もそうだし、ブラッドも……海に生きる男なら、一度はラザール船長の船に乗ってみたいと思うさ。ラザール船長とマクシム航海長の話を知らない船乗りはいない。ラザール船長の孫だというだけで、あのクソガキが憎たらしいよ」

 幼い頃、自分もディオンも、ラザールとマクシムの冒険譚を聞くのが大好きだったことを思い出し、メルリーナは微笑んだ。
 ディオンは、自分が船長、メルリーナが航海長になって祖父たちと同じように冒険の旅に出たいと事あるごとに言っていた。
   
「メルリーナ」

 ジョージアナに導かれ、廊下の突き当りの部屋の入り口でラザールは立ち止まり、メルリーナを振り返った。
 手招きされるままに歩み寄り、その傍らに寄り添えば、大きな手が肩を抱いてくれる。

 促されて足を踏み入れた部屋は、金に余裕のある者が滞在するために造られたものらしく、優雅な曲線美を持つよく磨き抜かれた家具や座り心地の良さそうな椅子など、統一感のあるもので整えらていた。

 海が正面に見える窓は大きく開け放たれ、そこに寄せられた一組の椅子には、アデルともうひとり、白髪の老人が座っている。

「メルリーナ!」

 メルリーナを見るなり立ち上がったアデルは、そのまま歩み寄ると両手でメルリーナの手を握りしめた。

「ああ、よかった!……生きていると信じていたわ……」

 滲む涙を素早く拭い、メルリーナの首から下げられたものを一瞥すると微笑んで、ラザールに向き直る。

「アデルと申します、リヴィエール前公爵様。この度は、私の姪に当たるかもしれないメルリーナをお連れいただき、ありがとうございます」

「いや、こちらこそジゼルの、メルリーナの母親のことを教えてくれて礼を言う。ジゼルはなかなかの頑固者で、自分の出自については、誰にもはっきりと告げずに亡くなった。もしかしたら、メルリーナの祖父であるマクシムには打ち明けていたのかもしれんが、マクシムはジゼルに輪をかけて頑固者でなぁ」

「きっと、迷惑になると思ったのでしょう」

 末端とはいえ、王家の血が入っているというだけで、政治的な争いに巻き込まれかねない。
 身よりもなく、頼る相手もいなかっただろうジゼルは、目の前にあるささやかな幸福を大事にしたかったのではないかとアデルは言った。

「かもしれんな……あれは、多くを望まないところがあったからな」

「私の母も、そうでした。欲張ってはいけない。海は、その恩恵を忘れさえしなければ、私たちに必要なものを齎してくれるからと……話はあとで。まずは……こちらは、父のオーランドです。ジゼルが持っていた母の形見は、父が造らせたものなので同じものなのか確かめてもらうつもりです」

 アデルは、窓辺の椅子から立ち上がった老人をラザールとメルリーナに紹介した。
 
「初めまして」

 落ち着いた声音も、その淡い青の瞳もとても優しかった。
 メルリーナは、ラザールが挨拶するのを待って、巻貝の首飾りを差し出す。

「お願いします」

「ああ、ありがとう。では、早速……」

 オーランドは、メルリーナから受け取った巻貝とテーブルの上に置いてあった巻貝を並べた。
 メルリーナが持ってきたものは右巻き。
 アデルが持っていたものは左巻き。
 それらはまるでひとつの貝を二つに割ったかのようにぴたりと合う。

 歳月を経ても美しいままの真珠と宝石、精巧な巻貝に満足そうな笑みを浮かべたオーランドは深く何度も頷いた。

「間違いない」

「同じものか?」

「はい」

 ラザールの問いに、かつて自分がロスヴィータのために造らせたものだときっぱり言い切ったオーランドは、貝の中に埋め込まれるようにしてある青い宝石も特別なものだと教えてくれた。

「この石は、航海の無事を祈るお守りとして古くから船乗りたちが身につけていたもので、今ではとても希少なものです」

「なるほどな。持ち主を守る力もあるということか」

「ロスヴィータは娘が無事であるようにと願いを込めてこの首飾りを用意しました。だから……決して、捨てたわけではない」

 母に捨てられたとジゼルが思っていたかもしれないが、それは違うのだと言うオーランドに、メルリーナは大丈夫だと頷いて見せた。

「母は誰かを恨んだり、憎んだりはしていませんでした。それに、海がとても好きで……きっと、ウィスバーデンやパスラに、行こうと思えば行けたと思います。祖父に頼めば連れて行ってもらえたはずです。でも、リヴィエールにいることを選んだんです」

 メルリーナが、海に出ることでディオンとの距離を縮めようとしたのとは反対に、母ジゼルは、港に留まることでギュスターヴとの距離を縮めようとした。
 どちらもきっと必要なことだったけれど、片方だけでは上手くいかないのだとメルリーナは思った。

 海へと旅立つ船には、いずれ帰って来る港が必要だ。
 帰る場所のない船は、海の上で永遠に彷徨うことになるだろう。
 そして、船を失った港は、いずれ港ではなくなって、寂れて忘れ去られてしまうだろう。

「さて……紙に書かれた証拠があるわけではないが、九割方ジゼルはアデル殿の異父姉であり、メルリーナにはリーフラント王家の末端にいたロスヴィータ殿の血が流れていると見て間違いないということだな」

 ラザールは、確かめたいことはこれで確かめられただろうと、メルリーナを見つめ、優しい声で問いかけた。

「それで……メルリーナは、どうしたい?」

「どう、したい……?」

 確かめた後のことは、考えていなかった。
 ただ、繋がりのある人がいて、母のことを想ってくれている家族がいるのだと確かめたかっただけで、それからどうするかなんて、何も考えていなかった。

 目を瞬くメルリーナに、ラザールは思いもよらぬ問いを口にした。

「自分は王族だと名乗り出たいか? リーフラント王家に認めるよう申し立て、僅かながらでもフランツィスカ王女が手にしているような特権を手に入れたいか? メルリーナ。そうすれば、ディオンの隣に立つのに、十分な資格が得られるかもしれないぞ?」
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