489 / 571
第三幕
だから悠里や安和や椿には、他人をサンドバッグにして憂さ晴らしするような人になって欲しくないんだ。他人に当たるくらいなら、私に当ってほしい
しおりを挟む
アオは言うんだ。
『私はさ、本当に自分の勝手で悠里を、安和を、椿を生んだんだ。だから不平不満があるなら私が受け止めたい。
だってさ、この世界にいることで生じる不平不満は、元々、私とミハエルが今の選択をしてなければ絶対になかったことなんだし。
他人には、悠里や安和や椿がこの世界に対して抱く不平不満を受け止めなきゃいけない義理も義務もないじゃん。
<お客>という立場なのをいいことに、店側や売り手側や著名人を、自分の鬱憤をぶつけるサンドバッグにするのとか、ただの<卑劣な行為>じゃん。
だから悠里や安和や椿には、他人をサンドバッグにして憂さ晴らしするような人になって欲しくないんだ。他人に当たるくらいなら、私に当ってほしい。
そこで、『お母さんを困らせたくないし』とかいうことで他人に矛先を向けるのも違うよね。しかも自分が生んだわけでもない相手からそんなの向けられるとか、マジで大迷惑だよ。
自分が生んだ子供に、子供の不平不満すら受け止められないようなヤワい親だと思われるってのがもう情けない。
自分が生んだ子供の不平不満くらい受け止められなくて、何が<親>だよ。<大人>だよ。
でもね、それって、裏を返せば自分が生んだわけでもない赤の他人の不平不満を受け止めなきゃいけない理由もないってことでもあるけどさ。
だけど誰だって、<親>はいるでしょ? 親もなしでこの世に生まれてきた人間はいないよね? ホムンクルスじゃあるまいし。ああても、ホムンクルスだってそれを作ってこの世に送り出したのはいるわけで、不平不満があるならまずはそいつにぶつけるべきだよね。
そうすれば他人が被害を受けることはなくなるでしょ?
もちろん、中には『もう親はいない』って人もいるとは思うけど、でも、子供のうちは保護責任者はいるよね。大人の。まずはその人にぶつけるべきなんじゃないの? 大人として保護責任者になることを選択したのなら、そういうのも込みで受け止めなきゃ駄目でしょ。その覚悟もないならそもそも保護責任者になるのが間違ってるって思う。
私は、洸や恵莉花や秋生なら、受け止められるよ。
それと、もう親がいなくても大人になってるなら、自分が大人だと思うなら、他人に八つ当たりするのが情けないことだって分かると思うんだけどね。
って、こんなこと発信したら炎上必至だよね。
だけどどうして他人の憂さ晴らしにつき合わされないといけないの?って思わない?』
僕は、こんな風に考えられる彼女だからこそ、アオを愛してる。こんな風に考えられる彼女だからこそ、ダンピールが生まれる可能性があっても、決断できたんだ。
『私はさ、本当に自分の勝手で悠里を、安和を、椿を生んだんだ。だから不平不満があるなら私が受け止めたい。
だってさ、この世界にいることで生じる不平不満は、元々、私とミハエルが今の選択をしてなければ絶対になかったことなんだし。
他人には、悠里や安和や椿がこの世界に対して抱く不平不満を受け止めなきゃいけない義理も義務もないじゃん。
<お客>という立場なのをいいことに、店側や売り手側や著名人を、自分の鬱憤をぶつけるサンドバッグにするのとか、ただの<卑劣な行為>じゃん。
だから悠里や安和や椿には、他人をサンドバッグにして憂さ晴らしするような人になって欲しくないんだ。他人に当たるくらいなら、私に当ってほしい。
そこで、『お母さんを困らせたくないし』とかいうことで他人に矛先を向けるのも違うよね。しかも自分が生んだわけでもない相手からそんなの向けられるとか、マジで大迷惑だよ。
自分が生んだ子供に、子供の不平不満すら受け止められないようなヤワい親だと思われるってのがもう情けない。
自分が生んだ子供の不平不満くらい受け止められなくて、何が<親>だよ。<大人>だよ。
でもね、それって、裏を返せば自分が生んだわけでもない赤の他人の不平不満を受け止めなきゃいけない理由もないってことでもあるけどさ。
だけど誰だって、<親>はいるでしょ? 親もなしでこの世に生まれてきた人間はいないよね? ホムンクルスじゃあるまいし。ああても、ホムンクルスだってそれを作ってこの世に送り出したのはいるわけで、不平不満があるならまずはそいつにぶつけるべきだよね。
そうすれば他人が被害を受けることはなくなるでしょ?
もちろん、中には『もう親はいない』って人もいるとは思うけど、でも、子供のうちは保護責任者はいるよね。大人の。まずはその人にぶつけるべきなんじゃないの? 大人として保護責任者になることを選択したのなら、そういうのも込みで受け止めなきゃ駄目でしょ。その覚悟もないならそもそも保護責任者になるのが間違ってるって思う。
私は、洸や恵莉花や秋生なら、受け止められるよ。
それと、もう親がいなくても大人になってるなら、自分が大人だと思うなら、他人に八つ当たりするのが情けないことだって分かると思うんだけどね。
って、こんなこと発信したら炎上必至だよね。
だけどどうして他人の憂さ晴らしにつき合わされないといけないの?って思わない?』
僕は、こんな風に考えられる彼女だからこそ、アオを愛してる。こんな風に考えられる彼女だからこそ、ダンピールが生まれる可能性があっても、決断できたんだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる