最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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1章

35話 計画3 ダンジョンアタック開始

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 さっきショップ行った時にまとめて不用品も売って金策しておけばよかった。
 とりあえず皮と肉をまた売って3,400Z(ゼニー)を補充、HPポーションを数個購入しようと思ったら一本150Z(ゼニー)もする。まあとりあえず10本購入しておく。


名称:HP下級ポーション
詳細:HPを15回復 あまり美味しくない クールタイム20秒


 何でこんなにまずい物に縁があるんだろうか。やっぱり料理は絶対手をだしてやる。
 次に購入しておくのはダンジョンアタック必須であろう松明だ。カンテラもあったが、そっちはそっちで中々の価格で手は出せなかったから松明を5本購入。
 とりあえずこんな所でアイテムの準備はいいだろう、MPに関しては今の所、二度撃ち以外使い所もないので回復する必要はない、物理系あるあるではある。
 大きい買い物を片付けてから、砂丘に会う為に露店エリアの方に来る。
 ついでに投げ売りMREの店に寄り、20個ほど購入。相変わらず1個10Z(ゼニー)の産業廃棄っぷりがひどい。なんたってまずいからしょうがないよね。

 そう言う訳で情報クランのあいつ、クラン名はダサくて言いたくないので言わないが、砂丘の所へ。相変わらず派手な看板の露店の前に行き、受付の呼び鈴を鳴らす。すぐさま露店の所へと一人やってくる。

「情報、欲しいんだけど?」
「うっす、姉御、お疲れ様です!」

 あれ、砂丘じゃない。まあチャラ付いた感じのヒューマンなのはあまり変わらないが、情報さえ売ってくれれば相手がどんな奴であろうと構わないのだが。

「近場の蝙蝠のいるダンジョンとかない?」
「うっす!あります!情報料は姉御料金で、これだけです!」
 
 私に5本指を見せてくる。500Z(ゼニー)だといいんだが、とりあえず500Z分の硬貨データを取り出してカウンターにぱちりと置いて差し出す。それと引き換えに手のひら程の大きさのカードを渡される。一応これでデータのやり取りと言う事らしい。あとあと聞いた話ではプライベート取引に使うデータ受け渡し方法で、他人が横から見ても知らないとそれを見れないというものらしい。
 情報クランって伊達じゃなかったんだな。

「確かに頂きました、それにしても姉御、何でこんなダンジョンに?」
「素材狙いでね」
「姉御、色んなことやってるって聞いてますぜ」
「攻略前線組より必死こいてやってるだけよ」

 貰ったデータを展開し閲覧。近場で蝙蝠系のモンスターが出現するダンジョンは数個あるが、とりあえず一番弱そうな所で北エリア2のダンジョン、二つ目の候補は南エリア2のダンジョンだ。

「生息数とか主体になってるモンスターまで分からないんだけど?」
「そこは追加料金で!サンドヒルの兄貴が泣いてたせいであんまし自分の裁量で渡せないんです!」
「何、あいつ泣いたの?」
「そりゃあもう、姉御の眼力と胆力?って奴がカタギじゃねえからやばいとかどうとか」
「やっぱNPCが一番だわ……ほら、追加」

 露店のカウンターにもたれ、ふうんと相手を見てからまたぱちりと500Zの支払い。受け渡されるデータカード。やはり傍から見たらやばい取引している様子にも見える。
 渡された2枚目のデータを確認していると、目的である蝙蝠のデータを見つける。何の捻りもないのだが「Lv6バット」と言うのが北エリア2のダンジョンに多く生息しているらしい。

「素早く飛び回るって特徴くらいしか書いてないわね……飛行系の相手は苦手なのに」
「姉御、ガンナーなら撃てるんじゃないんすか?」
「撃ててるなら苦労しないわよ」

 メニューを閉じてため息一つ。結局のところ序盤の弱い敵と言う認識でしかないのでそこまで情報を集めていないのだろう。見て感じた事とレベルと名前をとりあえず報告、と言った感じだ。情報クランなら雑魚一匹一匹も網羅すべきだろうに……いや、調べるっていうか細かい所まで気にしてしまう私が神経質なだけか。

「ところで、何で姉御って呼んでるわけ」
「え、そりゃあうちのクランにきて、情報収集にこの人ありって言われていた兄貴を一発で委縮させて泣かせた上に高額な情報を500Zじゃないと買わねえぞって啖呵切って納得させたドラゴニアンのガンナーじゃないすか!」

 私の知らんところで泣いてる奴また増えてるじゃねえか、単純に気が弱いだけだったんじゃないのか、あの砂丘。と言うか色々と誇張されて話が伝わっている感じが強い。これ、情報クラン内で噂になってるなら、ブラックリスト入りみたいなものじゃないの。

「まあ、行ってくるわ」
「ご武運を!」

 ぶんぶんと手を見送ってくれるわけだが人目に付くからやめてほしい。とりあえず北エリアの方へと進んで行く。

 

 北エリア1に関してはノンアクティブしかいないので採取しながらのんびりと進んで行く。少し前よりも伐採をやっている人が多くなっている。木工とかもゆっくり人口が増えているんだろうか。時間さえかければ無限に金策できたりするから実は穴だったりするし?

 序盤のエリア境目に関しては全ての所に安全地帯がある。北エリアも例に漏れずなので、リスポン位置を更新しておく。忘れてたら東エリアまで吹っ飛ばされていたが、フリではないので抜かりなく。
 とりあえず銃剣を構えて北エリア2へ侵入、目的のダンジョンに関しては北エリア2、3の間辺りの洞窟で、マップにもマーカーを押してあるので迷う要素はない。



エルスタン北エリア2
Lv4 ミディアムラット
Lv5 首狩り兎
Lv6 ラージスネーク



 やっぱり北エリアは比較的楽な相手で構成されている。アクティブモンスターは蛇で、兎が特殊アクティブになる。前者は普通に飛び掛かってくるとか巻き付いての攻撃をしてくるので相変わらず受け防御や回避での反撃が基本だ。
 そして特殊アクティブの兎だが、これは東エリアにいたクソ犬と同様の戦闘中に乱入してくるタイプだ。基本はノンアクティブなので先当てはできるが、長引くと乱入されるしなおかつ探知範囲が広いようだ。
 先に別のを倒しても時間差で戦闘再開と言うのがある。
 
 ただ、言っても私もレベルは上がっているし、防具も武器も東エリアでやり合っていた時とは違う。

 受けて反撃、回避して反撃なんてのはこの辺の相手ならパターン化しているので特に苦戦する要素はない。

「装備とレベリングって、ほんと大事よね」

 ポリゴン状に消失していく蛇を見てから軽く周囲警戒。兎が時間差で攻撃してきて不意打ちでそれなりなダメージを貰った時があったので、構えは解かずにしばし待つ……よし、こない。

「そこまで連戦にならないのと、やっぱり装備のおかげでHP持ってるわ」

 ここまで数回戦ったが、今までの動物系と変わらずの対応なのでさっさと処理して先に進む。
 そうして多少食らったのは自然回復、ポーションと薬草は温存したままでダンジョン入口にたどり着く。何ともあっけないがレベルと装備が揃っていればこんなものさ。

「さーて、初めてRPGらしいダンジョンだけど……狙いがちょーっと違うのよね」

 今回の狙いはずっと言っているが勿論硝石ではある、しかしここのダンジョンでは硝酸狙いだ。錬金があるのを考えればこういった化学系の液体はあるはずだし、なんならそこら中手当たり次第に採掘して天然硝石でも掘れたら儲け物だ。化学式とかはまあ探せばすぐにヒットする。
 ここで蝙蝠の糞尿などで作られた硝酸さえ取れれば火薬はすぐだ。

「採れるかどうかわからないから何でもかんでもやるしかないんだけど」

 ダンジョンの入口で松明を燃やし、ゆっくりと周りを照らす。案外足場はしっかりしている。単純にダンジョン!っていうよりも洞窟って感じが強い。

「蝙蝠以外のデータ貰い忘れてたわねぇ……」

 そういや松明持ちながら戦闘って難しくない?
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