最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
191 / 625
6章

178話 指定ゲリラ部隊

しおりを挟む
「おらぁ、くたばれぇ!!」

 銃剣を突き差しねじ入れたまま、オークの顔面をがんがん蹴り続けながらまた一匹片付ける。
 ポリゴン状に消失していくのを見ながらふいーっと咥えていた葉巻を深く吸い、紫煙を堪能してから一気にぶはーっと吐き出してその場に座り込む。
 大分火山の方に進めたし、そこそこの数の拠点を潰してきたし、そろそろ本格的に火山に向かおうか。
 流石に連戦に次ぐ連戦をしてきて、銃弾を撃ちまくり、正しい意味で焼け野原にしてきたわけで、そろそろ十分か。

 これがもうちょっとリアル描写のゲームだったら死体が残って、その上にどかっと座って葉巻を吸ってるんだろうな。ただ、これは全年齢のゲームなのでそういうのはNG。
 色んなゲームがリアルになっていくのに、描写が残酷だから変な所で規制掛けるのって何とも言えんよな。しかも年齢規制掛けてるのにさらに規制って訳分からん。

 まあ、もしもこのゲームの対象者が18歳以上だったら、何度も突き刺して接近戦で撃ち込んでる時点で相当スプラッタになるな。おー、ぐろい、ぐろい。

「それにしたって疲れるわ……」
 
 ぷかぷかと紫煙を吐き出しながら、休憩を暫くしてから立ち上がる。
 ここで何度も戦っている間に分かった事があるのだが、このマップの特殊ルールなのか、拠点を潰したら暫く湧きが抑えられると言うのがあった。
 つまり拠点を潰しながら先に進めば火山への進行がしやすくなる。ついでに拠点の方はそこそこ時間を掛けないと復活しないので定期的な駆除が大事になるっぽい。
 まあ、潰し始めて経ってはいないので正確性はないのだが、これは今後要検証。
 火山がどれくらい有用なのかもわからんから、今回で終わる可能性もあるけど、有用だったらあのバトルジャンキーにでも命令して制圧戦でもしてもらうかな。弱いかもしれんけど、そこそこの相手だったら練習相手としては使えるだろうし。

 あと今のでレベル30になったのでいつも通りステを振りつつ、新スキルを確認しておく。
 このオーク拠点を潰している最中に新しく覚えることが可能になったのだが、やっぱりあったと言うか、何で無かったのか不思議だった要素の一つがここで解明されたと言うか、別枠だとはね。


スキル名:ヘッドショット レベル:0
詳細:【パッシブ】頭部への攻撃時に固定ダメージボーナス
  :但し通常ダメージの威力低下
備考:スキル取得後、スキル効果のON/OFFが可能


 メリットデメリットが結構はっきり出てるスキルだな、銃剣で押さえつけて頭に追撃出来る状況を出来るのならかなり強いが、通常戦闘で頭振ってくる相手だと狙いが難しいし、使い分けが大事って事かな。
 じゃなかったらスキル効果のON/OFF機能なんて付けないしな。
 SPにも結構余裕が出てきたし、振ってもいいかな。

「ってか……何で潰し始めたんだっけか」
「火山に行くって話だろうに」

 焼け野原の真ん中でくつろぎながらスキルの使い道を考えていると、いつもの髭親父が「まったく」と言った顔とため息を付きながら近づいてくる。おうおう、私に任せておいたのに結局こっちにきたんかい。
 
「せめて会話が聞けるようにはしてくれんか、探すの大変だったぞ」

 あー、そういえば通知と音声消してたんだっけか。集中する時に余計な会話入ってくると集中が切れるからしょうがないよな。とりあえず通知と会話が聞こえるように戻しておくか。それにしてもちょっと会話が無いくらい心配してくるってどうなのよ。

「これを届けてほしいって言われたからな」

 頼んでたガンシールド……って言うか、小型バックラー?かな。一応材質的には金属で、長方形の板を複数枚重ねての多重層にしてるのは分かる。
 とりあえず装備するが、要求ステータスがぎりぎりじゃねえか。金属盾でなおかつある程度の防御力があるとやっぱりSTRの数値が高くなるのはしょうがないな。
 何だかんだでここで倒しまくってたからレベル30にはなったが、STRは10のままで上げておらず、A>D>S型なのは変わらない。


名称:ガンシールド 防具種:片手盾
必要ステータス:STR10  
受防御力:+15
効果:受防御時の際にのみ効果を発揮
詳細:腕に装着する多重層の金属盾
製作者:バイパー


「防弾チョッキみたいな追加装甲も頼もうかしらねー」

 受け取ったシールドを右腕に装着して何度か腕を上げ下げ、銃を構えて下ろしてを繰り返す。

「普通左腕じゃないのか?」
「今まで別に言ってきてないけど私左利きだから良いのよ」
「で、火山までどうやって行くんだ」
「何、付き合ってくれるん?」
「まあ、此処まで来たしどんなものか見るのは良いだろうよ」
「下手したらうちのクランで定期的に此処を処理する形になるかもよ?」

 それはそれでめんどくさいなって顔をしながらもまんざらでもないような感じに言ってくる。何だかんだで付き合いがそこそこ長くなってきたし、私の事を理解してきてるんじゃないか。
 
「お、いたぁ」

 また1人うちの煩いのがやってきたな。こういう時に限ってはお前の戦闘力は頼りになるってのは分かってるけど、こういう時にはまだまだ新人は来ないな。
 やっぱりイベントで共闘しただけあって結構気心が知れているな。それに何だかんだでバトルジャンキーの方に関しちゃ、最初のイベントの時から一緒になってるわ。
 
「こういう時に新人はまだ来ないわね」
「ガトリング作るのに忙しいからな」
「私がいない数日に何作ってんのよ」
「アカメちゃんはうちのクラン状況に疎いですなぁ?」

 私よりもクランの情報が疎い奴に言われるとは思わなかったよ。

「ここ最近は風邪で寝込んだり、此処の攻略に注力してたからしゃーないでしょ……ガトリングは、うーん……まあ色々ツッコミ所はあるけど、会ったらお礼と一緒に指摘したろ」
「たまには3人で戦うってのもいいじゃんかぁ」
「イベントぶりだけどな」
「試験中の新人もきっとうちに来るだろうし、今度皆でどっかでるってのも有りね」

 何だかんだで、あのピンク髪の事は結構買ってたりする。泣きついてきた時の顔はちょっと面白かったし、うちの宣伝、広告塔としては良い所じゃないかな。
 それでうちの特産品が売れればクランハウス作るってのもさくっと進むもんよ。

「それじゃあ、あの拠点落としに行くか」

 ぴっと近くにあるオークの拠点を指さして準備を始める。
 しっかりモンスター相手にこの3人で戦うってのはそういえばないな。まともに髭親父の戦いを見るってのも無かったし、いい機会かもしれん。バトルジャンキーの方に関しては散々見てきたから言う事は無いな。
 


「それじゃあ、不意打ちかますから、後はいつも通り」
「雑な戦いばっかりじゃないか」
「うちのクラン、ゲリラ戦特化になってるきーする」

 ま、その通りなんだけどね。
 
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...