最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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11章

291話 挫折したのとしなかったのと

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 私いらなかったんじゃねえかって位に、私以外の4人が強い。
 いや、当たり前なのよ、こいつら各々がエリア4で囲まれなきゃソロで立ち回れると言っていたから、どう考えて私を誘ってきたのかって疑問が出てくるが、あれこれ考えるだけ無駄だし、素直に索敵しよう。
 
「楽過ぎて気負いするわ」
「そう、ですか?」

 ある程度間隔をあけ、陣形としては鳳天……なんて言われそうな感じだな。もうちょっとバツ印型に寄ってはいるが、この辺が良い所だわ。
 犬野郎の指示した陣形なわけだが、あいつ結構RPG好きっぽい。いや、何でもかんでもゲームに繋げるのって悪いくせだわ、これくらいの事は普通に思いつくから、単純に犬野郎の自力だわ。有名だから全員やってる、知っている前提で物事を考えるのは、今後やめよう。

「まー、索敵と一発の為って割り切ったらまだいいかな」
「索敵スキルって、貴重です、よ?」 
「勝手な偏見だけど、弓系がそっちだと思ったわ」
「えっと、そういうのは……」

 無いのね、あんたは。
 このゲームで珍しい極振りってのもあるけど、とにかく通常の弓職と違って魔法をベースにしているから単純にスキル振りの余裕がないって事か?

「私も最近知ったけど、サブ使っても足りないの?」
「あ、えっと……各属性魔法とそれに連動した魔法矢、4属性以外の魔法と……」
「素直に魔法職やってた方が楽そうね、それ」
「はい……よく言われます」

 照れてるのかちょっと俯きつつも顔を赤くしているんだが、どこに顔を赤くする要素があるのかは言わない。それにしても特化して魔法何個かって思ったのだが、全部の属性と派生形魔法まで網羅してるのは中々に極めてるな。
 もうちょっと弓職らしいスキル振りでもステ振りでもないから話に参考性がまったくないとは。

「あんたの事を参考にして魔法系ガンナーなんて目指したけど、さっぱりでやめちゃったのよね」
「かなり、試行したんで……難しい、かな、と」
「だろうなー……一応四属性だけは揃えたけどそれ以上はきつい」

 後衛2人であれこれと話しつつ、結構まったりとダンジョンの中を進んで行く。
 勿論話している間にも索敵は続けているので、不意打ちを貰いそうなときは指示を出すのだが、まだまだ序盤なので全然苦戦らしい苦戦もなし。
 なんだったら前衛にいるドラゴン頭がしっかり強いので、囲まれない限りは問題ないと言い切っているし。

「ってか何で魔法弓にしたん?」
「えっと、実は、たまたまで……」

 こんな所にラッキーな奴がいたもんだ。
 どういう条件か分からないけど、覚えたから使ってみよう、とはならないだろ。ある程度は出来そうって思ってやっていたのは分かるけど、それにキャラ人生掛けるって中々のギャンブラーだわ。

「駄目だったら、作り直しする、だけですので」

 ある意味で諦めと言うか、達観した意見を言ってくるのでこっちも感嘆の声を漏らしてそれを聞く。
 アカウント1つに対して1キャラのみ、振り直しが出来るとはいえ、課金アイテムか結構な額のゲームマネーがいるんだったかな?
 作り直しは振り直しよりも課金額は少ないってメリットはあるけど、地獄のステ職ガチャを再スタートしなきゃならんから結構苦痛。時間がある人やもう一度同じ事しても苦痛と感じないのは作り直し、それが嫌な人は振り直しって所だな。

「すげー、さっぱりしてんなぁ」
「実は、魔法弓って、覚えるのは大変でも、ゲームとしては、楽なんですよ……?」
「魔法めっちゃ使っててめんどくさそうってのはあるが」
「スキルを覚えるのが、大変ですけど……当てやすく、威力もあって、弾切れはMPが無くなった時だけ、ですので」
「ガンナーでそれをやれたらよかったんだけど、特殊なのってスキル覚えるの大変じゃない」
「それは、どの職もそうなんで……」

 まあ、確かにそうなんだよね、どの職でもスキル覚えるのは大変だって知ってるって。
 それに比べて何でガンナーが厳しいかって、覚えるための攻撃に銃弾を使わないといけないのがでかかった。私の様に初期弾使って脳死でレベリングして後悔しまくる……って事も今のガンナー勢は無くなった。
 ゲームのペースってのは人それぞれだし、先駆者の後追いだとしても何一つ悪い事じゃない。なんだったらその先駆者を追い抜くくらいの気概があった方が長続きすると思うんだが、それまではしっかりと先駆者の甘い汁を吸いまくるべきなのよ。
 その先駆者の甘い汁の例として、私のクランではやっていないが、偽物の所では新規ガンナーに対して安く銃弾を売ってるし、銃格闘と銃剣の覚え方を教えているって報告がきたっけか。それでも1発500Zくらいだって言うんだから、初心者に相手にはまあまあぼったくってる感はある。

「私も少し出遅れてからゲームやりゃよかったなあ……そうしたらガンナーで楽できたかもだし」
「誰も知らないし、褒めてくれない、ですしね」

 そうなのよ、よく分かってんじゃないの。
  銃弾、火薬、雷管、その他諸々ガンナー周りの話は結構情報クランに投げているので、後はあいつらの采配で広まってるはず。何だかんだで結構ぶん投げてるんだよね、持っている情報ってのは。
 で、あいつらの話からすると、情報元はだれか教えないってのが一応のルールらしいので、ガンナーの情報を広めていったってのは結果的に情報クランの連中だったりする。

「そういうあんたは魔法弓って他にいるの?」
「んっと……データ的に3~5,000くらいが、弓らしいんですけど……中身までは……それに、私以外は、見た事が……」
「ないのか、まあ特殊っちゃ特殊だし、弓職って色々ある気がする」
「知っている、ので……マジックアーチャー、レンジャー、スカウト、ハンター、弓兵、梓巫女……マイナーなのがちらほら……」
「二次以降の種類が多いのも困りもんよねぇ」

 ガンナーですら結構あるってんだから、人口が多い弓はもっとあるってのは必然だわ。5万プレイヤーが最低でもいて弓が最大5,000ユーザーって結構な人口がいる気がするけど。

「と、そっちに敵」
「はい……!」

 指示した方向にかなりの速度で振り向いて魔法矢一発、爆破。
 やっぱり強いよなあ、ほぼワンパンで倒せるし、撃ち込んだ所にいたのが生きていたらドラゴン頭が凄い勢いで飛んでいってボコるって言う流れ。
 私は牽制として手裏剣を飛ばして足止めするくらいしかないので足引っ張ってるわ。

「いや、マジで私いらなくね?」
「索敵と牽制出来るってだけで十分ですよ?それに本番はまだ先ですから」

 犬野郎が一匹仕留めていい汗かいたって感じでこっちにやって来てそんな事を言ってくる。
 
「索敵と牽制と、例の一撃を試すからなるべく温存でいいですよ、メタリカもMPポーションは持たせてますしね」

 トッププレイヤーは凄いなあ、しっかり準備してるよ。
 行き当たりばったり、とりあえず思いついた事を試行している私とは大違いでびっくりよ。
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