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12章
329話 後は寝て待つだけ
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『敵の流れが止まったかな』
『終わったっぽいねぇ』
『だからと言って油断するなよ』
前衛3人がそんな事を話している間にもこっちは対空警戒しつつ周囲警戒。相変わらず使いやすいトラッカーでぐるりと見渡すが、確かにモンスター自体はもうまばらになっている。少し離れた所にいる別のパーティーやクランも相手をしているモンスターの数も減っている。
何だかんだで大量にばら撒いた火炎瓶と大筒に関しては各地で使われる事になったが、エリア4の相手には殆ど使っている所は無かった。まあ、そこまで強力に作っている訳じゃないし、流通量を重視してエリア3くらいの強さ想定だからしょうがない。だってエリア4行った事ねーんだもん。
『今のうちに索敵と回復、リロード諸々含めて立て直し』
『僕、ステータス振り直すかな……』
『やめとけ、うちのクランだからだぞ』
『ですよね……』
『ボス―、全滅したっぽいよ?』
私とポンコツで辺りを確認しつつ、その報告を受ける。地味にトラッカー取得してるんだよな、ポンコツの奴。周辺索敵出来るってのはやっぱり大事だけど、こういうゲームじゃあんまり重宝されてない傾向がある気がする。
『とりあえず北側は終わりか……転戦したいのは勝手に行ってこい』
『まだ南と西はやってるみたいだねぇ……あたしはいこーっと』
『じゃ、私も行くかなー』
どこにあんなに戦闘しに行く元気があるのやら。
「追加も来ないし、サクッと戻るか……帰還スクロール持ってない?」
「色んなもの作る割に基本アイテムは持ってないのか」
「ついつい忘れちゃうのよね」
受け取った帰還アイテムを使うと共に、足元から光の輪が出現してささっとエルスタンに帰還。
「勝てると思うか?」
「イベント成績は微妙……だと思います」
「試合には負けて勝負に勝てればいいんだが、どう転ぶかね」
男3人揃って帰還したアカメの立ち位置を見ながらふーっと同時にため息を吐き出す。ジャンキー組は転戦しに行ったようなのでさっさと撤収している。
「うちの女性陣は血の気が多いな」
「トップがあれですからね」
一番派手にやっているのがアカメで、そのアカメが誘っているわけだから、同じような人物が集まるのも無理はない。
「そういえばバイパーはどう手を回したんだ」
「鍛冶クランのマスターに話を通したんだよ、そしたら同じような事をやられてるって」
「手広くやってますねえ……」
「だからこそ、大手のクランも乗ってきたって所か。アカメ一人じゃ無理だったような気がするぞ」
北エリア1-2から1-1にのんびり戻りつつ、現状を整理していく。
だとしてもこれ以上やれることはないので、イベントの結果と生産クランの協力がどこまでかによってくる。
「個人的な喧嘩はボスが勝ってるよ、配信後の改良した火炎瓶と大筒、あれは真似しようにも真似出来ない」
「素材とガンナーがいれば行けそうですが……?」
「作れはするぞ、元々火炎瓶はボスのレシピで、容器だけ俺が弄ったからな。大筒に関しちゃ刻印さえあればいける」
「問題はあまり強力なスキルじゃないって所か」
「珍しくて面白いスキルだけど、実用性が低いんだよなあ……特殊枠だし、使い所が難しすぎる」
バイパーがインベントリから鉄パイプを1本取り出して指先でかりかりと鉄パイプを弄ると、紋章が書き込まれる。そこからMPを消費すると、刻んだ紋章からガスコンロの火のように出てくる。
「だからこそ覚えているプレイヤーが少ないし、頼んだとすると足が付くから手を出さなかったって事だろう」
「ま、自分達で締めていた首に止めを刺されただけさ」
「因果応報ですねえ……」
刻印を入れた鉄パイプをインベントリに仕舞いそういう事と言っているとエルスタンに到着。
「それじゃあ、酒造クランに顔出してくる」
「僕は兄さんのところに戻ります」
「こっちも鍛冶クランに行くわ」
そうして男3人バラバラに、ガヘリスだけはクラン脱退になる。
「あー、疲れた」
「お疲れ様です、アカメ様」
いつものクランハウス2F……ではなく3Fにある自室のベッドにぼふっと倒れてごろごろ。あんまり使わない3Fだが、それぞれの個室かつプライベート空間になるので設定以外のプレイヤーが入室すると許可を出さないと入れない。が、うちの秘書は基本的に出入り自由。ちなみに今日の担当はシオン。
「今回のアイテム収支、伝言諸々は?」
「はい、アイテム収支ですが、大筒33本、火炎瓶152本、火薬620g、鉄片421個、銃弾921発、その他消耗アイテムも精査しますか?」
「いや、いい、頭痛が痛いってレベルで消費してるのは分かったから」
「それに合わせクラン資金につきましてはアイテム収支の中から販売されたものを計算しておきましたので確認を」
こういう所は高性能なのが凄い助かる。
ベッドでごろごろしながら報告されたメールを確認。500万も投資したが、それを余裕で回収できる売上、火炎瓶周りの売上が特に多い。大筒周りは特に火薬の売上が伸びている。この辺はどうやら野良ガンナーが購入しているっぽい。
「伝言などは特にありません、ご報告は以上です」
「はいはい……イベントの結果は?」
「はい、公式インフォメーションを開きます」
ウィンドウの様に手をかざすとインフォメーションのページが展開されるのでそれを確認。まだ襲撃自体が終わっていないって事か、公式からのアナウンスも無いし、南と西の襲撃が片付けばすぐにでも報告が来るか。
「さーてと……これで良い成績残せればいいんだけど、多分ダメっぽい」
商人連中がこっちに喧嘩を売ってきたから本腰を入れたわけだが、本腰を入れるのが遅かったし、私の有休パワーが尽きて夜にしかログインできなくなったってのもある。って言うかそもそも順位付けがあるかも分からないわけだし……後は待つしかない。
「何でもかんでも上手くいくってこたないって事だよなあ」
「アカメ様は十分頑張っているかと」
「そんなにいつもいつも上手くいかないわな」
寝転がったままでシオンをしゃがませ、わしゃりやすい位置に移動させ。わしゃわしゃと撫でまわす。何となく猫っぽいんだよなあ。
「とりあえずログアウトするから、何かあったらよろしく」
「お疲れさまでした、ゆっくりお休みください」
『お疲れさまでした、これよりログアウト処理を開始します』
二重に言われるとちょっと鬱陶しいけど、別に悪気があっていっている訳じゃないから強く言えないのが問題よ。
『終わったっぽいねぇ』
『だからと言って油断するなよ』
前衛3人がそんな事を話している間にもこっちは対空警戒しつつ周囲警戒。相変わらず使いやすいトラッカーでぐるりと見渡すが、確かにモンスター自体はもうまばらになっている。少し離れた所にいる別のパーティーやクランも相手をしているモンスターの数も減っている。
何だかんだで大量にばら撒いた火炎瓶と大筒に関しては各地で使われる事になったが、エリア4の相手には殆ど使っている所は無かった。まあ、そこまで強力に作っている訳じゃないし、流通量を重視してエリア3くらいの強さ想定だからしょうがない。だってエリア4行った事ねーんだもん。
『今のうちに索敵と回復、リロード諸々含めて立て直し』
『僕、ステータス振り直すかな……』
『やめとけ、うちのクランだからだぞ』
『ですよね……』
『ボス―、全滅したっぽいよ?』
私とポンコツで辺りを確認しつつ、その報告を受ける。地味にトラッカー取得してるんだよな、ポンコツの奴。周辺索敵出来るってのはやっぱり大事だけど、こういうゲームじゃあんまり重宝されてない傾向がある気がする。
『とりあえず北側は終わりか……転戦したいのは勝手に行ってこい』
『まだ南と西はやってるみたいだねぇ……あたしはいこーっと』
『じゃ、私も行くかなー』
どこにあんなに戦闘しに行く元気があるのやら。
「追加も来ないし、サクッと戻るか……帰還スクロール持ってない?」
「色んなもの作る割に基本アイテムは持ってないのか」
「ついつい忘れちゃうのよね」
受け取った帰還アイテムを使うと共に、足元から光の輪が出現してささっとエルスタンに帰還。
「勝てると思うか?」
「イベント成績は微妙……だと思います」
「試合には負けて勝負に勝てればいいんだが、どう転ぶかね」
男3人揃って帰還したアカメの立ち位置を見ながらふーっと同時にため息を吐き出す。ジャンキー組は転戦しに行ったようなのでさっさと撤収している。
「うちの女性陣は血の気が多いな」
「トップがあれですからね」
一番派手にやっているのがアカメで、そのアカメが誘っているわけだから、同じような人物が集まるのも無理はない。
「そういえばバイパーはどう手を回したんだ」
「鍛冶クランのマスターに話を通したんだよ、そしたら同じような事をやられてるって」
「手広くやってますねえ……」
「だからこそ、大手のクランも乗ってきたって所か。アカメ一人じゃ無理だったような気がするぞ」
北エリア1-2から1-1にのんびり戻りつつ、現状を整理していく。
だとしてもこれ以上やれることはないので、イベントの結果と生産クランの協力がどこまでかによってくる。
「個人的な喧嘩はボスが勝ってるよ、配信後の改良した火炎瓶と大筒、あれは真似しようにも真似出来ない」
「素材とガンナーがいれば行けそうですが……?」
「作れはするぞ、元々火炎瓶はボスのレシピで、容器だけ俺が弄ったからな。大筒に関しちゃ刻印さえあればいける」
「問題はあまり強力なスキルじゃないって所か」
「珍しくて面白いスキルだけど、実用性が低いんだよなあ……特殊枠だし、使い所が難しすぎる」
バイパーがインベントリから鉄パイプを1本取り出して指先でかりかりと鉄パイプを弄ると、紋章が書き込まれる。そこからMPを消費すると、刻んだ紋章からガスコンロの火のように出てくる。
「だからこそ覚えているプレイヤーが少ないし、頼んだとすると足が付くから手を出さなかったって事だろう」
「ま、自分達で締めていた首に止めを刺されただけさ」
「因果応報ですねえ……」
刻印を入れた鉄パイプをインベントリに仕舞いそういう事と言っているとエルスタンに到着。
「それじゃあ、酒造クランに顔出してくる」
「僕は兄さんのところに戻ります」
「こっちも鍛冶クランに行くわ」
そうして男3人バラバラに、ガヘリスだけはクラン脱退になる。
「あー、疲れた」
「お疲れ様です、アカメ様」
いつものクランハウス2F……ではなく3Fにある自室のベッドにぼふっと倒れてごろごろ。あんまり使わない3Fだが、それぞれの個室かつプライベート空間になるので設定以外のプレイヤーが入室すると許可を出さないと入れない。が、うちの秘書は基本的に出入り自由。ちなみに今日の担当はシオン。
「今回のアイテム収支、伝言諸々は?」
「はい、アイテム収支ですが、大筒33本、火炎瓶152本、火薬620g、鉄片421個、銃弾921発、その他消耗アイテムも精査しますか?」
「いや、いい、頭痛が痛いってレベルで消費してるのは分かったから」
「それに合わせクラン資金につきましてはアイテム収支の中から販売されたものを計算しておきましたので確認を」
こういう所は高性能なのが凄い助かる。
ベッドでごろごろしながら報告されたメールを確認。500万も投資したが、それを余裕で回収できる売上、火炎瓶周りの売上が特に多い。大筒周りは特に火薬の売上が伸びている。この辺はどうやら野良ガンナーが購入しているっぽい。
「伝言などは特にありません、ご報告は以上です」
「はいはい……イベントの結果は?」
「はい、公式インフォメーションを開きます」
ウィンドウの様に手をかざすとインフォメーションのページが展開されるのでそれを確認。まだ襲撃自体が終わっていないって事か、公式からのアナウンスも無いし、南と西の襲撃が片付けばすぐにでも報告が来るか。
「さーてと……これで良い成績残せればいいんだけど、多分ダメっぽい」
商人連中がこっちに喧嘩を売ってきたから本腰を入れたわけだが、本腰を入れるのが遅かったし、私の有休パワーが尽きて夜にしかログインできなくなったってのもある。って言うかそもそも順位付けがあるかも分からないわけだし……後は待つしかない。
「何でもかんでも上手くいくってこたないって事だよなあ」
「アカメ様は十分頑張っているかと」
「そんなにいつもいつも上手くいかないわな」
寝転がったままでシオンをしゃがませ、わしゃりやすい位置に移動させ。わしゃわしゃと撫でまわす。何となく猫っぽいんだよなあ。
「とりあえずログアウトするから、何かあったらよろしく」
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