最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
357 / 625
13章

331話 装い新たに

しおりを挟む

 このゲームの課金ってゲームに絡まない所にすげえ力を入れてるんだよね。
 私のお気に入りの宇宙猫Tシャツも週2、3のペースで新しい柄が入ってるから、愛用者としてはすごい楽しい。って思ってたら、あの宇宙猫T全然スキンとして使用者がいないって言う。なんだよ、可愛いのになあ。

 そんなわけで、襲撃イベントが終わってから2日ほどたったわけだが、平日に突入したので夜ログインしかできなくなる。襲撃イベント終りの次の日は週明けだったのもあって、ログインは軽くしかできなかったので、がっつりログインするのは1日ぶりになるわけだが、その前にやる事がある。

 先程言った課金だが、スキン以外にも結構使える物が多い。
 例えば今手元にある、これ。1個1,000円なわけだけど、髪型と髪色等を自由自在に弄れることになるヘアサロン券。ゲーム内でも弄る事は可能だけど、買っておくと選択幅が大きく増える上に、ウィンドウ開いて使えばいつでもどこでも変更可能になりますって代物。見れば見る程、趣味に振り切ってるアイテムだ。大抵こういう課金アイテムって大体は使い切りになるので、無限使用できるなんて運営は優しい。
 キャラ造形の変更は500円だが、あっちは名前以外の設定項目を全部ひっくるめて変えられるのでちょっと違う。その変更でも使えない髪型、髪色を使えるのがヘアサロン券になるわけだ。

 そういえばキャラスキン券もまだ使い切ってないんだよな。お布施としてスキン券を買ったわけだけど、宇宙猫Tを送り付けるくらいにしか使った覚えないわ。

「さーて、どんな風にするかなあ」

 クランハウスの定位置、2Fの椅子でくつろぎながら自分のメニューウィンドウを開きつつ、どうするかなーと考える。今日の隣はサイオン。
 こういうのって自分の姿から合うやつを決めるわけだけど、奇抜なのはネタに走ってる奴じゃないと、選択しにくい。って言うかそもそもそういう遊びはあんまり趣味じゃないから無し。とりあえず髪色は変更したので、後は髪型。
 選択するたびに勝手に自分の髪型が変わるってのは中々面白い。こういう時に自分の姿が見えないのは不便だと思っていたらサイオンが鏡を持って待機してくれるので、それをみながらぽちぽち選択して髪型を変えて楽しむ。
 
「なーにしてんの、ボス」
「ヘアサロン券で遊んでんの」
「マジ、あれ買ったの?」
「1,000円で変更し放題だし、運営のお布施としちゃ見返りが大きいから」
「あ、これにしよ、これ」
「パイナップルって似合わないでしょ」

 一応選択すると頭のてっぺんがぼさっと広がり、文字通りパイナップルの様な髪型に。それを見てポンコツはけらけら笑う。

「まあ、スーツには似合わないよねえ」
「あんたが宇宙猫T着てパイナップルなら似合うわよ」
「ええー、ほんとー?」
「配信の投げ銭で買ってみたら?」
「それもいいねぇ」

 ゲーム内での課金アイテム購入は出来ないので一旦ログアウトするしかない。流石にクレジットの情報やリアルマネーが絡んでくると、セキュリティ的にも敢えてそうしているんだろうな。
 人がぽちぽち弄っている間に、ポンコツはログアウト、暫くしてからログインしなおすと、近くの椅子に座って同じようにウィンドウを開いて髪型を変え始める。

「カラーの選択幅に、種類、髪型もアレンジ可能で凄いなあ……」
「ゲームの髪型って開発のセンス出るのよねー、数が少ないと面白くないし、数が多い割に似たようなのが多くて、選択幅が狭いとか」

 今の所、今まで見てきたゲームの色々な髪型を突っ込みましたって感じの種類があるので心配している所はあんまり意味がないが。

「流行りに乗って緑色入れてみるかなあー」
「ピンク色やめたらポンコツピンクって言えないからな、ポンコツレッドとかポンコツグリーンってのも面白いが」
「とりあえず曜日が分かるように7色ってのもいいね」

 毎日呼び方変えるのは結構めんどくさいが、どうせポンコツとしか呼ばないから問題ないか。それにしたって7色毎日変えるってそれはそれでめんどくさい気がするが。

「ふっふー、今プリセット機能見っけたからねー、設定しよっと」

 私より使いこなしてるし、楽しんでるじゃねえか。

「私はまだどの髪型にするかすら決めてないってのになあ」
「やっぱりマフィアやヤクザみたいなばっちり決まってる奴?」
「ノリノリでやってたけど、基本的に健全なクランであってだね……」
「いいんじゃないか、カッコいいぞ?」

 髪型に何にも関係ないトカゲ野郎が口挟んでくるとは。

「あんたは決める物ないでしょ」
「鱗の質感や形状は変えられるんだよ、爬虫類でも色々いるしな」
「ほらー、ばしっと決めた方がカッコいいって」
「年頃の子にばっちり決める髪ってのもどうかと思うがな」

 更に髭親父も参戦。平日の夜だというのに集まり過ぎじゃないか、こいつらは。

「子って言う程若くねえって」
「だったらそのバシッと決めたのでいいじゃないか、どうせ幾らでも弄れるんだろう?」
「そのもさもさの髭ももうちょっとおしゃれにしたら考えてやるよ」
「ほう、言ったな?」

 そうするとログアウト、ログインのさっきと同じように見た流れ。
 一応まあ、理髪店で髭も弄れるって考えたら髪になるのか?目の前のウィンドウを開いてぽちぽち選択すると髭の形が変わり、鼻の下に山なりになる、所謂カイゼルって奴に変更する。勿論それを見てトカゲとポンコツはけらけら笑い、髭親父は髭親父で気にせず、楽しそうにその髭を撫でる。

「ふむ、こういうのもたまにはいいな」
「いきなりダンディになったな、おい」
「さ、後はボスだけだよ」
「しょうがないなあ、まったく……」

 とりあえず決めておいた髪型、さらっとしたショートヘア―に。

「ええ、ふつーじゃん」
「こういう事も出来るのよ」

 一旦ウィンドウを閉じてから手で髪を後ろに流してやると、赤と黒が混じったオールバックに。
 で、その様子を見て3人が「おぉ」っと声を上げる。

「ええ、何そのお洒落なギミック!」
「インナーカラーを赤にしたのか」
「だからショートなのか」
「こういう事をやってこそ、このヘアサロン券に意味があんのよ」

 で、頭を横に軽く振って流していたのを元に戻せば普通の黒髪ショートに戻る。
 
「さてと、色々やる事やって今日も楽しむとするかな」
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...