最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
493 / 625
18章

462話 数着目

しおりを挟む
「やっぱり強いですね、アカメさんは」
「よくもまあ、そんな事言えるわ」
「本心からですよ?」
「わかってら」

 闘技場から出てクランハウスに戻りながらそんな会話を交わす。
 結果は……まあ、御察し。あまりにもがむしゃらになって結局殴り合いになって単純なHP差で負けだよ負け。何て言うかサブ忍者じゃなくて、格闘系の方に進んだ方が良かった気がする。

「あ、そーだ……サブ職って変えれないの?」
「出来ますよ、変えたらLv1スタートで、関係しているスキルは新しいサブのしか使えませんが」
「メインの方にSP振ってたら?」
「そのままですから大丈夫ですよ、サブ職のスキルが使えないってだけですから」

 私の場合で言えば、打剣、忍者刀、身かわしが使えなくなるって事か。投擲に限っては汎用スキルだからサブを変えても大丈夫のはず。ってかサブ職変えまくってSP稼いでメイン職のスキルがんがん鍛えるのってありなのか?いや、その辺りの対策は結構しっかりしてるかな。

「ちなみにアカメさんレベルは?」
「60だけど」
「じゃあ2個目解放できますね、3個までしか取れないんでちゃんと考えた方が良いですが」

 あー、やっぱりそう来るか。よくある職をころころ変えれるゲームならサブも組み合わせて色んな組み合わせをどうぞってパターンだけど、T2Wは古き良きMMOって感じで時代と逆行しまくっている気がする。マー、その分あれこれ自由に出来る事が多いから、その辺でバランスを取ってるか。

「何ていうかガンナー周りしか気にしてないってのがよくわかるわ」
「ちゃんとシステム見たらどうです?面白い要素結構ありますよ」
「行き詰まったらなー」

 そんな事を言っていると通知が一つ。歩きつつメニューを開いて確認すれば、ゴリマッチョから防具が出来たってメッセージが飛んでくる。なので此処で犬野郎とはお別れ。後はいつもの様に1日の報告を貰って次の指導を考えるだけかな。

「とりあえず私は防具取りに行ってくるわ」
「そうですか、それじゃあまたデートしましょうね」
「ただただ殴り合っただけじゃねえか」

 口より手を出した方が分かりやすい、なんて言っているが、新人類じゃねえんだから無理に決まってんだろ。もう少しわかりやすいコミュニケーションの取り方ってあるだろうよ。とにかく犬野郎と別れ、ゴリマッチョのクランハウスに向かう。
 




「アカメちゃん、最初会った時は自作するって頑張ってたのに、諦めたのぉ?」
「いやー?やろうとは思ってるけど?」

 新しい防具やガンベルトを受け取り、インベントリで確認しながらどんなものかをじっくりと見ていく。

「相変わらずスーツなのは、私の事を思って?」
「可愛い防具ってのもあるけど、似合わないでしょ、あなた」
「分かってらっしゃる」

 ぽちぽちっとインベントリから装備をしていってばっちりスーツを着こなす。それにしても、もうちょっとファンタジー感ある装備の方が良いのかな。片脚のほうだけ垂れがあったり、よく分からんゴーグルつけたり、そういうのもありかなーとは思うけど……結局機能美がないとな。

「今回のスーツなんだけど、ちょっと派手かしらね?」
「ワインレッドをベースに白のストライプかあ、確かにまあ、あんまり選ばない色ではあるけど」
「良い感じに決まってるわぁ、今まではマフィアのボスって感じだったけど、ちょっと三下感でるかしら?」

 ワイシャツは青、派手めのネクタイも付いてるから、確かに三下感はあるな。ちょっとイキがって来てみましたって感じが出ているのが悪い所かな?

「結構色々盛り込んだ……とは言えないのよねぇ、性能で言えばボロボロにしたスーツと変わりないし、デザインもそこまで凝ってないから、もうちょっと弄りたいんだけどねぇ」
「私もあんまし頓着がないからあれだけど、カフスだったり袖のボタンやネクタイピンを弄るってのは?」
「それもありねぇ」

 良い事聞いたわって言いながらメモを取っているのを軽く眺めつつ、用意されたガンベルトも付けていく。肩掛けベルトの前面、腰ベルト右から前に向かい10発ずつ、計20発予備弾。左腰から前にはマガジン5本分をマウント出来るようになっている。

「前使っていた奴を参考にしたけど、悪かった?」
「いいや、良い感じだよ」

 スーツの上着、襟部分をもってぴっと襟を正して体を回して具合を確かめる。やっぱりいい仕事してくれるわな。その分お値段も中々に高いからおいそれと頼めないってのがネックな所だけど……こう考えてみると、私自身、良い感じの人脈を築けている。ま、偶然なんだろうけど、あれこれきつい部分が多かったわけだし、これくらい良い事あってもいいわ。

「スーツ、ガンベルト、グローブ、注文は全部で3個だったけど、問題なさそぉ?」
「性能は据え置きでしょ?」
「そうよぉ、しっかり滑り止めの付いたぴったり指に吸い付くグローブ」

 ぐぱぐぱと手を握って開いてを繰り返しながらARを取り出して構えたり、レバーアクションをがちゃがちゃと動かし、ガンベルトから銃弾を抜いて装填、すぐにレバーアクションで排莢。くるくると飛び跳ねて上に飛んでいく薬莢をしゅぱっとキャッチしてガンベルトに収め直す。
 その様子をみたゴリマッチョが口笛一つ。すぐさま体をくねらせながらぱちぱちと拍手をしてくる。

「ちなみにガンベルトに追加でホルスター付けるって出来る?」
「出来るけど、これ以上弄るとステータス落ちちゃうわよぉ?」
「まー、許容範囲っちゃ許容範囲かな」

 メニュー画面を消して、装備の確認も終えたので代金を支払い。この間の出品代と私自身が持っている貯金を投入する……前に犬野郎に前借りで報酬貰って置いて良かった。ちょっとだけ足が出たから出品分はやられたけど。

「これでようやくまともな装備に戻ったかな」
「あのぴたぴたのシャツは目に悪いからねぇ」
「人のことをエロい目線でみるからそーなんだよ、ジムにでもいったらいっぱいいるだろ?」
「普段見せないから見えていると意識しちゃうのよぉ」

 そういうもんかね。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...