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セドラン侯爵家のボーイになりました
第九話
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◆◆◆
(ローランside)
目が覚めた時には、体調が良くなっていた。エディの薬のおかげだろうか。いつもより回復が早かった。
「お目覚めですか?」
ベッドのそばにはロジェが立っていた。
僕は上体を起こし、水を飲む。
「エディは?」
「ここにはいません」
「そうか」
ロジェが心配そうに跪く。
「ローラン様。エディから聞きました。またショックを起こしましたね」
「……」
「やはり週に一度では回数が足りません」
「……それ以上はしたくない」
「いいえ。このままでは最悪の事態になりかねないと、エディも言っていましたよ」
エディは薬師だ。当然、僕がなぜああなったのかも分かっているのだろう。
エディにそういう知識があるというだけでもゾッとする。
考えに耽っていた僕を、ロジェが急かす。
「ローラン様。お世話をさせてください」
「この前したばかりだ」
「三日前にしたばかりなのに、あなたはショックを起こしたんです」
「……」
「さあ、ベッドに腰掛けてください」
「……」
いやいやベッドに腰掛ける。
ロジェは僕のズボンを少し下げ、ペニスに触れた。指で刺激し、屹立させたそれを口に含む。
「っ……」
勝手に腰が浮きそうになる、この感覚に嫌気がさす。
こんなに嫌だと思っているのに、体が勝手に悦ぶのが、反吐が出そうになるほど嫌だ。
なかなか射精させてくれないロジェに、苛立ちを込めて叱責する。
「っ、おい、ロジェ……っ、遊んでないで、さっさとしろ……っ」
「三回我慢して四回目で射精する。それをしないと早漏になってしまいますから」
「かまうもんかっ……。この気色の悪い感覚から早く解放されたいんだ……っ」
「いけませんローラン様。セドラン家の跡取りが早漏なんて、世の笑いものになります」
「誰が跡取りになんてなるもんか……。長男がなるべきだろう……っ」
「その考えは、少しばかり時代遅れなのです」
「ん……っ!」
噴き出した精液を、ロジェがこくりと呑み込んだ。
それを見た僕は、ロジェに枕を投げつける。
「だから呑むなと何度言えば分かるんだ!!」
「申し訳ありません。つい」
「気持ち悪い!! 汚らわしい!!」
ときたまこうして気色の悪いことをするが、ロジェは唯一信頼できる人だ。その証拠に、僕のペニスを咥えても勃起していない。
僕はそれを確かめ、安堵の吐息を吐いた。
「僕に触れて体を反応させない人は、ロジェとエディくらいだ」
「あ。そうだ。このお役目もエディに任せていいですか? エディなら務まると思うのですが」
「……いやだ」
「おや。どうして」
「……エディとは、こういうことをしたくない」
「エディなら大丈夫ですよ。仕事として割り切ってくれるでしょうから」
「そうかもしれない。でも、したくない」
ロジェが僕の服を整える様子を眺めながら、僕は呟いた。
「エディにはこんなところを見せたくない」
◆◆◆
夜中、カチャリと開錠する音で目が覚めた。誰かが部屋に入ってくる。暗闇で誰か分からない。
「……ロジェ……?」
返事がない。
人影は黙ったまま、僕のベッドに上がり込む。
「誰……」
やはり返事はない。
叫び声を上げようとした瞬間、手で口を塞がれた。
人影は僕の服を脱がせ、僕におおいかぶさった。
「ローラン様……」
「んーっ! んん---っ!!」
暴れる僕を押さえつけ、無理やり僕の体を反応させる。
「ローラン様っ……」
そして、その人影は僕のペニスを体内に呑み込んだ。
「んんーーーっ!! んっ、んんんんっ!!」
「あっ……、あっ……ローラン様……っ!」
ベッドが揺れる。
僕の耳元で吐き気を催すような嬌声を漏らしながら、人影が激しく動く。
僕は口を塞いでいた手に噛みついた。手が離れた隙に、叫び声を上げる。
「ロジェ!! ロジェ!! 助けて!!」
分かっている。こういうとき、ロジェは助けてくれない。
「やだっ。触るなっ!! 離れろっ!! 出ていけっ!! やめろっ、やめろぉっ!!」
「はぁ……っ、んっ、ローラン様……っ、あぁっ……」
「やめろっ……!! やめろぉっ……! 出ていけっ……触るなぁっ……!!」
「んっ……」
こんなに嫌なのに、体は悦ぶ。
誰かも分からない女の膣内に、僕は射精した。
僕が絶頂を迎えても、女は離れようとしない。豊満な体を押し付け、僕の首筋を舐める。
「ローラン様……」
「もう……終わった……。さっさと出ていけ……」
「もう少しだけ……」
「……ロジェ。いるんだろう」
今度はちゃんと、呼んだら姿を現した。
「お呼びでしょうか、ローラン様」
「この女を追い出せ」
「はい」
ロジェは女を部屋から追い出したあと、僕の体をきれいにして、シーツを替えた。
「こういうのをやめろと、何度言えば分かる」
「ちゃんと間引きはしていますよ。月に一度だけ、ご辛抱ください」
「一度もしたくないと言っている」
「ローラン様……あなたはもう十五歳です。跡取りとして、こういったことは――」
「僕は跡取りにはならないと言っている!!」
「……でしたら、お体のためと思ってご辛抱ください」
「……くそっ……!!」
手元にあった本を壁に投げつけると、紙がバラバラになって床に散った。
(ローランside)
目が覚めた時には、体調が良くなっていた。エディの薬のおかげだろうか。いつもより回復が早かった。
「お目覚めですか?」
ベッドのそばにはロジェが立っていた。
僕は上体を起こし、水を飲む。
「エディは?」
「ここにはいません」
「そうか」
ロジェが心配そうに跪く。
「ローラン様。エディから聞きました。またショックを起こしましたね」
「……」
「やはり週に一度では回数が足りません」
「……それ以上はしたくない」
「いいえ。このままでは最悪の事態になりかねないと、エディも言っていましたよ」
エディは薬師だ。当然、僕がなぜああなったのかも分かっているのだろう。
エディにそういう知識があるというだけでもゾッとする。
考えに耽っていた僕を、ロジェが急かす。
「ローラン様。お世話をさせてください」
「この前したばかりだ」
「三日前にしたばかりなのに、あなたはショックを起こしたんです」
「……」
「さあ、ベッドに腰掛けてください」
「……」
いやいやベッドに腰掛ける。
ロジェは僕のズボンを少し下げ、ペニスに触れた。指で刺激し、屹立させたそれを口に含む。
「っ……」
勝手に腰が浮きそうになる、この感覚に嫌気がさす。
こんなに嫌だと思っているのに、体が勝手に悦ぶのが、反吐が出そうになるほど嫌だ。
なかなか射精させてくれないロジェに、苛立ちを込めて叱責する。
「っ、おい、ロジェ……っ、遊んでないで、さっさとしろ……っ」
「三回我慢して四回目で射精する。それをしないと早漏になってしまいますから」
「かまうもんかっ……。この気色の悪い感覚から早く解放されたいんだ……っ」
「いけませんローラン様。セドラン家の跡取りが早漏なんて、世の笑いものになります」
「誰が跡取りになんてなるもんか……。長男がなるべきだろう……っ」
「その考えは、少しばかり時代遅れなのです」
「ん……っ!」
噴き出した精液を、ロジェがこくりと呑み込んだ。
それを見た僕は、ロジェに枕を投げつける。
「だから呑むなと何度言えば分かるんだ!!」
「申し訳ありません。つい」
「気持ち悪い!! 汚らわしい!!」
ときたまこうして気色の悪いことをするが、ロジェは唯一信頼できる人だ。その証拠に、僕のペニスを咥えても勃起していない。
僕はそれを確かめ、安堵の吐息を吐いた。
「僕に触れて体を反応させない人は、ロジェとエディくらいだ」
「あ。そうだ。このお役目もエディに任せていいですか? エディなら務まると思うのですが」
「……いやだ」
「おや。どうして」
「……エディとは、こういうことをしたくない」
「エディなら大丈夫ですよ。仕事として割り切ってくれるでしょうから」
「そうかもしれない。でも、したくない」
ロジェが僕の服を整える様子を眺めながら、僕は呟いた。
「エディにはこんなところを見せたくない」
◆◆◆
夜中、カチャリと開錠する音で目が覚めた。誰かが部屋に入ってくる。暗闇で誰か分からない。
「……ロジェ……?」
返事がない。
人影は黙ったまま、僕のベッドに上がり込む。
「誰……」
やはり返事はない。
叫び声を上げようとした瞬間、手で口を塞がれた。
人影は僕の服を脱がせ、僕におおいかぶさった。
「ローラン様……」
「んーっ! んん---っ!!」
暴れる僕を押さえつけ、無理やり僕の体を反応させる。
「ローラン様っ……」
そして、その人影は僕のペニスを体内に呑み込んだ。
「んんーーーっ!! んっ、んんんんっ!!」
「あっ……、あっ……ローラン様……っ!」
ベッドが揺れる。
僕の耳元で吐き気を催すような嬌声を漏らしながら、人影が激しく動く。
僕は口を塞いでいた手に噛みついた。手が離れた隙に、叫び声を上げる。
「ロジェ!! ロジェ!! 助けて!!」
分かっている。こういうとき、ロジェは助けてくれない。
「やだっ。触るなっ!! 離れろっ!! 出ていけっ!! やめろっ、やめろぉっ!!」
「はぁ……っ、んっ、ローラン様……っ、あぁっ……」
「やめろっ……!! やめろぉっ……! 出ていけっ……触るなぁっ……!!」
「んっ……」
こんなに嫌なのに、体は悦ぶ。
誰かも分からない女の膣内に、僕は射精した。
僕が絶頂を迎えても、女は離れようとしない。豊満な体を押し付け、僕の首筋を舐める。
「ローラン様……」
「もう……終わった……。さっさと出ていけ……」
「もう少しだけ……」
「……ロジェ。いるんだろう」
今度はちゃんと、呼んだら姿を現した。
「お呼びでしょうか、ローラン様」
「この女を追い出せ」
「はい」
ロジェは女を部屋から追い出したあと、僕の体をきれいにして、シーツを替えた。
「こういうのをやめろと、何度言えば分かる」
「ちゃんと間引きはしていますよ。月に一度だけ、ご辛抱ください」
「一度もしたくないと言っている」
「ローラン様……あなたはもう十五歳です。跡取りとして、こういったことは――」
「僕は跡取りにはならないと言っている!!」
「……でしたら、お体のためと思ってご辛抱ください」
「……くそっ……!!」
手元にあった本を壁に投げつけると、紙がバラバラになって床に散った。
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