おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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「この後授業ある?私科学の世界なんだけど」
「私は情報…」

 情報は1年の授業だけど、パソコンが苦手な真琴はまだ受かってないらしい。

「私は…日本なんちゃら」
「私もそれだー。日本文化論でしょ」

 潤香と一緒の授業らしい。

「あー、じゃあそろそろ行くか」
「うん」

 食器を下げ、1階へ向かう。

「私生協寄りたい」
「いいよー」
「じゃあ私たちは行くか」
「うん」

 1階の生協前で私と潤香、沙代里と真琴で2手に分かれた。

「潤香さん、あれっすか?」
「あー…うん」

 返答が少しおかしかったが、喫煙所へ向かう。

「ねぇ緋色、あの天使君とか言う人のことなんだけどさ」
「うん」

 喫煙所へ曲がろうとしたときに前を歩いていた潤香が急に止まった。

「何?」
「しーっ」

 こっそり喫煙所の方を覗く潤香に真似て私も覗いてみた。
 松原先生と…小さい金髪が煙草を吸っている。楽しそうに何か話しているみたいだ。固まっていた私を引っ張り、潤香は学校の方へ歩き出した。

「さっき言いかけてたの、あの天使君のこと」
「宗一郎と一緒に吸ってたよね?」
「うん。私前に喫煙所で一本頂戴って言われたことあるんだ。真琴の前じゃ色々こんなこと言えないしさ、でも誰かに言いたくて言いたくて」

 よっぽどもやもやしていたのか私に秘密を暴露できて嬉しそうだ。

「なんか信じなさそうだし、怒りそうだね」
「私が喫煙してるのなんてなおさら言えないよ」
「確かに」
「私あの姿知ってたから真琴が天使天使言うたび笑いそうになっちゃって」
「やっぱりあの人、そんな天使って感じじゃないよね」
「ねー」

 私たちはそのまま教室へ向い、授業を受けた。
 でもずっと私の頭からさっきの光景が離れなかった。もやもやする。たぶん、嫉妬している。天使君、宇藤光に。
 先生が煙草を吸っているのは私だけが知っていることだった。潤香たちも知っているけどど。内緒ねって可愛く言ってた先生の顔を思い出す。まあ秒で潤香が真琴たちにバラしたけど。でも、なんだか先生と私の秘密って感じだったのに。
 そこにあの宇藤光は入ってきた。悔しい。敗北感。同性で、喫煙者で、私がいけない位置に宇藤光はいる。

 あれ、待てよ。これが嫉妬であり、負けたくないと思うのなら、私の松原先生への感情はやはり恋ではないか。少しだけ安心した。そう思うと、私は異性であり、彼より近い位置にいける可能性はある。負けない、そんな誓いを心に決めていたら、授業は終わったようだ。
 潤香にノート借りよう。
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