私の方が先に好きになったのに

ツキノトモリ

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私の方が先に好きになったのに③

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翌日、目を覚ますと目が腫れていた。私を起こしに来たメイドは大変と慌てて部屋を出て行ったかと思うと、すぐに戻ってきて冷たい布巾を私の目にあてた。

「そんなに腫れてる?」
「……そう、ですね」

メイドが言いにくそうに返答した。

「今日は学校休もうかな」
「かしこまりました。学校にはそのように連絡しておきますね。朝食はいかがされますか?」
「今は、食べたくない」
「では、何かありましたらお呼びください」

メイドはそう言って、部屋から出て行った。
それからずっと私はベッドに横たわっていたが、さすがにお腹が空いたので食堂へと向かう。
途中でメイドに食事を用意するように言い、洗面所で顔を洗いに行く。鏡で自分の顔を見たら、目の腫れは大分マシになっていて安心。
食堂の椅子に座ったら食事が運ばれてきた。
時計を見ると、朝の十一時。早めの昼食になってしまったなと思いつつ、料理を完食した。

自分の部屋に戻って本を読んで時間を潰していたら、メイドが部屋のドアをノックしてきた。

「ご友人がいらっしゃっています」
「分かったわ」

今日学校を休んだからブランディーヌが心配して会いに来てくれたのだろう。
メイドに促されて応接間に入ると、ソファにブランディーヌの姿はなく。

「やあ、ブランディーヌちゃんだと思った?」

クラスメイトでセザールの親友、シストだ。ブロカール侯爵家の次男で、セザールの親友ということもあって時々話す仲である。

「え、ええ。あなたがいらっしゃるとは思わなかったわ。ブランディーヌは?」
「彼氏とデート」
「……」

シストの言葉に私は何も言えず、固まった。胸がズキッと痛むが、それに気付かないふりをして彼の向かい側のソファに座った。

「ブランディーヌちゃんも心配そうにはしていたんだけど、セザールと演劇を見に行く約束をしていたからそっちを優先したみたい」
「チケットを取っていたならしょうがないわね」
「演劇が終わったらお見舞いに行くと言っていたよ」
「そう」

ブランディーヌにとっては私よりも彼氏とのデートが大事なんだと思ってしまう自分が嫌だ。

「傷ついた?」

シストが探るような目で私を見る。

「どういう意味?」
「そのままの意味だよ。セザールとブランディーヌちゃんが付き合うことになって、しかもブランディーヌちゃんに蔑ろにされて、傷ついたのかな?って」
「なんで、それ」
「だって、君はセザールが好きだろ?」
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