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この恋はいくつもの屍の上に存在している②
しおりを挟むリリカは変わらず私と仲良くしてくれるけど、やっぱり彼女には幸せになってもらいたいし、羨ましそうな視線を送るのをやめてもらいたい。
そのため、私はある作戦を立てることにした。
しかし、この作戦には協力者が必要だ。というわけで、私は親戚のお兄さんを喫茶店に呼び出して協力を要請した。
以前、私がリリカとの写真を見せた時にお兄さんは「この友達可愛いね」と言っていたのだ。多分、リリカは好みのタイプであるはず。
「私の友達のリリカを惚れさせて、付き合ってほしいの」
「はぁ?!」
お兄さんに頼み事をしたら大変驚いたようで目を丸くしていた。
「リリカもね、恋人ができたら私たちのことを羨ましいとは思わないだろうし……だから、お願い!」
「そんなことを言われてもな……。俺はその子の顔も知らないんだぞ。」
「見たことあるはずだよ。ほら、友達との写真を見せたことがあったじゃない。あの時の子よ」
「ああ、あの子か」
お兄さんはしばらく考えた後、「分かったよ」と私の頼みを承諾した。
これでうまくいく予定だった。
だが、一つ予想外のことが起こった。セザールたちに私とお兄さんが会って話している姿を目撃されていたのだ。
「どういうことなの?あの人は誰なのよ?セザールに黙って男性と会うなんて酷いわ!ブランディーヌ、あなたはセザールを裏切ったのよ?!」
私がお兄さんと会った日の翌日。私の家にリリカ、セザール、シストがやって来た。
応接間に通すと、リリカが最初に私と見知らぬ男性が密会している現場を目撃したことを話し、セザール以外の男性と会っていたことを責めた。
「あの人は親戚のお兄さんよ。私はあなたたち三人に責められるようなことをしてないよ。ただ話があっただけ」
そう言うが、三人とも納得できていないようだ。
「それですぐに信用できると思う?とても仲良さそうにしていたでしょう?!どんな話をしていたのよ?!」
リリカが責められてムッとした。もとはといえばあなたが原因なのに、どうして私が責められなくてはならないのか。
ムカムカする。もう全て言ってしまおうか。
「リリカを惚れさせてほしいと頼んだの。リリカってセザールのことが好きなんでしょ?私を羨ましそうな目で見てきて鬱陶しいから、リリカに恋人ができたらマシになるんじゃないかと思ってね」
私の言葉に三人は絶句した。
「な、なんで、そんなこと……」
リリカがわなわなと震えながら言った。
「私がセザールと付き合っているからって、羨ましそうにしないでほしいの。そういう目で見るなら、私よりも先にセザールに告白すれば良かったじゃない」
「どうして、そんな酷いこと……!」
「あの、待ってくれ!リリカは俺のこと好きなのか?」
ついていけないという様子でたずねるセザール。意外にも彼は鈍感なようだ。
セザールに気持ちがバレていっぱいいっぱいになったリリカは泣き出して応接間から飛び出して帰ってしまった。
セザールは放心状態でリリカが飛び出していった方向を見つめている。
なんだか嫌な予感がした。
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