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6thアクシデント お前が欲しい
重なる想い
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とにかく、今すぐにでも宮地が欲しい。
そう思う理由は―――
「多分、今日はすぐに意識がぶっ飛ぶと思うから……せめて、覚えてるうちにちゃんとお前を感じてたい。」
思ったことを、そのまま口にして伝える。
俺としては別に何を狙ったわけでもなかったのだが、それを聞いた宮地は一気に顔を赤くして、何かをこらえるように唇を噛んだ。
「なんか、悟さんって……その気になったら要求がストレートですよね。」
しみじみと呟く宮地。
「え、みんなこんなもんじゃないの?」
「いや、普通はもうちょいオブラートに包みますって。」
「することなんて、一つしかないのに?」
「いや、うん……そうなんですけど…。なんだろ…? 悟さんの恥ポイントが、いまいち掴めない……」
顔を両手で覆う宮地は、何やら感情を抑えて悶えている様子。
お前はお前で、何を今さら青臭い童貞みたいな反応をしてんだ?
「よく分からないけど、嫌なら言葉を選―――」
「いや!」
最後まで言い終わらないうちに、宮地が勢いよく首を振った。
「違うんですよ。エロいのは大歓迎なんですよ! ねだられるのも嬉しいんですけど!! ~~~ああもう!!」
一思いに叫んだかと思うと、宮地は大きな音を立てて俺の耳元に手をついた。
「悟さんがあんまりにもエロくて可愛いから、オレばっか余裕がなくなるじゃないですか。なんか……悔しいです。」
切なげに顔を歪めた宮地が、そんなことを言う。
「―――ぷっ…」
気付けば、笑ってしまった後だった。
「あー、笑った! どうせ、ガキとか思ってるんでしょ!? どうせガキですよ!」
「いや……ふふ…っ」
いやもう、あんまり笑わせないでもらえないかな?
お互い、思ってることは一緒なんだなって。
そう言ってやりたいのに、笑いが邪魔して何も言えないじゃないか。
「ううぅー…。いつまで笑ってるんですか!」
いつまでも笑いが収まらない俺に、顔を真っ赤にした宮地が思い切り体重をかけてきた。
「ほら、いきますよ。ちゃんと、煽った責任は取ってくださいね?」
間近で、熱い吐息がそう囁く。
責任を取れ、だなんて。
お前がそれを言うのかよ。
「それはお互いに、だな。」
先の行為を求めるように手足を絡めて、そう言い返してやる。
お前の方こそ、どうしてくれるんだ。
逃げる俺を捕まえたのは、他でもないお前だろうが。
一方的に俺を飲み込んで、人を好きになるなんて感情を俺に叩き込んで、ここまで強くお前を求めるようにしたくせに。
お前だって責任を取って、早く俺を満たしてくれ。
桜庭さんの面影なんて、遥か遠くへ霞むくらいに。
俺が唇を重ねると、次には宮地が荒々しく舌を絡めてくる。
それを受けて俺が体をすり寄せれば、宮地もそれを受け止めるように俺を抱き締める。
「ん、う―――ああっ!!」
互いに深く求め合いながら。
そうして自分の中に受け入れる熱を、言葉では表現できないほどに愛しく感じた。
「う…っ」
微かに呻く宮地の頬から汗が伝う。
隘路の中で震えるそれはすでにかなり昂っているようで、今までよりもずっとずっと熱いように思えた。
余裕がないって、本当のことだったんだ……
繋がった場所からそれが分かって、意外に思うと同時に、なんだか無性に嬉しくなった。
「大丈夫か?」
額に浮かぶ汗をそっと拭って訊ねる。
奥歯を噛んでいた宮地は、体を小刻みに震わせながら息を吐き出した。
「よすぎてやばいです……」
言うや否や、興奮の程を知らしめるように、熱いそれが大きく膨らむ。
たったそれだけのことで、目がくらむくらいに気持ちよくて……
「んっ…」
「………っ」
快感をやり過ごすように身動ぎをすると、途端に宮地が苦しそうに息をつめた。
「悟さん、好きです。」
何度目かも分からないその言葉が耳朶を打つ。
「もう、逃げちゃ嫌ですからね。朝起きたらいなくなってるなんて、そんな幻みたいなことはもうしないでくださいよ? お願いですから、ちゃんとオレの腕の中にいてください。」
宮地は額から離れていきかけた俺の手を捕まえると、それを自分の頬に当てて目を閉じた。
祈るようなその仕草に、胸がぎゅっと切なくなる。
互いの性欲を処理するための行為。
でも、それだけが全てじゃない。
今、それを強く実感している。
宮地の気持ちを受け止めて、宮地が悦んでいることを感じられるだけで、もう十分に満足だ。
まだよく分からないけど、幸せってのはこういう気持ちのことをいうのかもしれない。
「安心しろ。どこにも行かねぇよ。」
これまでの経緯があるので、ちゃんと音にしてそう伝える。
宮地は、しばらく俺の手を強く握り締めたまま黙り込んで―――
そして、ちょっとだけ泣きそうな顔で無邪気に笑った。
そう思う理由は―――
「多分、今日はすぐに意識がぶっ飛ぶと思うから……せめて、覚えてるうちにちゃんとお前を感じてたい。」
思ったことを、そのまま口にして伝える。
俺としては別に何を狙ったわけでもなかったのだが、それを聞いた宮地は一気に顔を赤くして、何かをこらえるように唇を噛んだ。
「なんか、悟さんって……その気になったら要求がストレートですよね。」
しみじみと呟く宮地。
「え、みんなこんなもんじゃないの?」
「いや、普通はもうちょいオブラートに包みますって。」
「することなんて、一つしかないのに?」
「いや、うん……そうなんですけど…。なんだろ…? 悟さんの恥ポイントが、いまいち掴めない……」
顔を両手で覆う宮地は、何やら感情を抑えて悶えている様子。
お前はお前で、何を今さら青臭い童貞みたいな反応をしてんだ?
「よく分からないけど、嫌なら言葉を選―――」
「いや!」
最後まで言い終わらないうちに、宮地が勢いよく首を振った。
「違うんですよ。エロいのは大歓迎なんですよ! ねだられるのも嬉しいんですけど!! ~~~ああもう!!」
一思いに叫んだかと思うと、宮地は大きな音を立てて俺の耳元に手をついた。
「悟さんがあんまりにもエロくて可愛いから、オレばっか余裕がなくなるじゃないですか。なんか……悔しいです。」
切なげに顔を歪めた宮地が、そんなことを言う。
「―――ぷっ…」
気付けば、笑ってしまった後だった。
「あー、笑った! どうせ、ガキとか思ってるんでしょ!? どうせガキですよ!」
「いや……ふふ…っ」
いやもう、あんまり笑わせないでもらえないかな?
お互い、思ってることは一緒なんだなって。
そう言ってやりたいのに、笑いが邪魔して何も言えないじゃないか。
「ううぅー…。いつまで笑ってるんですか!」
いつまでも笑いが収まらない俺に、顔を真っ赤にした宮地が思い切り体重をかけてきた。
「ほら、いきますよ。ちゃんと、煽った責任は取ってくださいね?」
間近で、熱い吐息がそう囁く。
責任を取れ、だなんて。
お前がそれを言うのかよ。
「それはお互いに、だな。」
先の行為を求めるように手足を絡めて、そう言い返してやる。
お前の方こそ、どうしてくれるんだ。
逃げる俺を捕まえたのは、他でもないお前だろうが。
一方的に俺を飲み込んで、人を好きになるなんて感情を俺に叩き込んで、ここまで強くお前を求めるようにしたくせに。
お前だって責任を取って、早く俺を満たしてくれ。
桜庭さんの面影なんて、遥か遠くへ霞むくらいに。
俺が唇を重ねると、次には宮地が荒々しく舌を絡めてくる。
それを受けて俺が体をすり寄せれば、宮地もそれを受け止めるように俺を抱き締める。
「ん、う―――ああっ!!」
互いに深く求め合いながら。
そうして自分の中に受け入れる熱を、言葉では表現できないほどに愛しく感じた。
「う…っ」
微かに呻く宮地の頬から汗が伝う。
隘路の中で震えるそれはすでにかなり昂っているようで、今までよりもずっとずっと熱いように思えた。
余裕がないって、本当のことだったんだ……
繋がった場所からそれが分かって、意外に思うと同時に、なんだか無性に嬉しくなった。
「大丈夫か?」
額に浮かぶ汗をそっと拭って訊ねる。
奥歯を噛んでいた宮地は、体を小刻みに震わせながら息を吐き出した。
「よすぎてやばいです……」
言うや否や、興奮の程を知らしめるように、熱いそれが大きく膨らむ。
たったそれだけのことで、目がくらむくらいに気持ちよくて……
「んっ…」
「………っ」
快感をやり過ごすように身動ぎをすると、途端に宮地が苦しそうに息をつめた。
「悟さん、好きです。」
何度目かも分からないその言葉が耳朶を打つ。
「もう、逃げちゃ嫌ですからね。朝起きたらいなくなってるなんて、そんな幻みたいなことはもうしないでくださいよ? お願いですから、ちゃんとオレの腕の中にいてください。」
宮地は額から離れていきかけた俺の手を捕まえると、それを自分の頬に当てて目を閉じた。
祈るようなその仕草に、胸がぎゅっと切なくなる。
互いの性欲を処理するための行為。
でも、それだけが全てじゃない。
今、それを強く実感している。
宮地の気持ちを受け止めて、宮地が悦んでいることを感じられるだけで、もう十分に満足だ。
まだよく分からないけど、幸せってのはこういう気持ちのことをいうのかもしれない。
「安心しろ。どこにも行かねぇよ。」
これまでの経緯があるので、ちゃんと音にしてそう伝える。
宮地は、しばらく俺の手を強く握り締めたまま黙り込んで―――
そして、ちょっとだけ泣きそうな顔で無邪気に笑った。
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