闇に堕ちた公爵令嬢:ゴブリンの呪印

神

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プロローグ　闇に囚われた公爵令嬢

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夜の闇が静かにクロエ・ハートフィリアの屋敷を包み込んでいた。かつては、この屋敷が彼女にとって心安らぐ避難所であり、未来への希望に満ちた場所だった。しかし今、クロエはその重厚な壁に閉じ込められた囚人のように感じていた。

クロエ・ハートフィリア、公爵令嬢として生まれた彼女は、美しさと知性を兼ね備え、誰もが羨む存在だった。魔術学園での優秀な成績、そして第一王子との婚約は、彼女の輝かしい未来を約束するかのようだった。しかし、その未来は、一つの過ちによって一瞬にして崩れ去ってしまった。

それは、夏の夜に起きた。クロエは冒険者としての憧れを胸に、誰にも告げずに一人でゴブリン討伐に出かけた。しかし、彼女が自信を持って挑んだその任務は、予想だにしなかった結末を迎えた。クロエはゴブリンの罠にかかり、囚われ、そして呪印を刻まれてしまったのだ。

「これでお前は私のものだ…」

ゴブリンの冷たい声がクロエの耳に残っている。彼女の美しい黒髪を掴み、彼は嘲笑を浮かべながら呪印を刻んだ。その瞬間から、クロエの人生は暗転した。彼女はもはや自由を失い、ゴブリンの命令に逆らうことのできない存在となってしまった。

さらに彼は、クロエの屋敷に従魔として住み着き、昼間は忠実な従魔を装いながら、夜には彼女を犯し、屈辱的な命令に従わせた。クロエは、昼間は公爵令嬢としての役割を果たしながら、夜にはゴブリンの奴隷として命令に従うという二重生活を余儀なくされた。

その秘密を家族や婚約者である第一王子に知られてはならない。クロエはいつも通りの笑顔を浮かべ、学園での生活を続けながら、心の奥底に恐怖と屈辱を抱え込んでいた。彼女の心には、かつての自分への懐かしさと、今の自分への嫌悪感が交錯していた。

今夜もまた、クロエはゴブリンの命令に従わなければならない。彼の冷たい視線が彼女の全身をなぞり、命令に背くことが許されないことを痛感させる。その度に、クロエの心は深い闇に沈んでいく。かつての自由な日々は、まるで別の人生だったかのように思える。

クロエは鏡の前に立ち、無表情な自分の顔を見つめた。黒髪と黄金色の瞳は、彼女の美しさを保ち続けていたが、その瞳の奥にはかつての輝きはもう見当たらなかった。彼女はもう、ゴブリンの命令に従うだけの存在に成り果てていた。

「私は…公爵令嬢なのに…」

かすかに震える声で呟いたその言葉も、もう空虚な響きを持つだけだった。クロエは自分の運命を受け入れるしかないと感じていた。彼女の心に残るのは、ただ深い絶望と、誰にも話せない秘密の重荷だった。

闇がますます深まる中で、クロエは静かに部屋を後にした。彼女は今夜もまた、ゴブリンの命令に従い、その屈辱に耐えなければならない。そして、その命令が終わる頃には、彼女の心の中に残る光もさらに小さくなっているだろう。

クロエは、この闇の中で永遠に囚われ続ける運命なのかもしれない。彼女の物語は、光を求めることさえ許されない、深い闇の中で始まるのだった。

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