幼馴染の婚約者を馬鹿にした勘違い女の末路

今川幸乃

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EX 勘違い女の末路Ⅲ

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 それから一週間ほどして、いよいよジュリーはカルロスと対面する日がやってくる。
 ここ一週間ほどジュリーはアイザックのことも忘れて上機嫌であった。何せカルロスはきっとイケメンで性格もいいに違いないし、あの忌まわしい思い出のあるドレスを新調させてもらったのだ。
 きっとカルロスこそ自分の本当の美しさを分かってくれるだろう。 
 ジュリーの心の中でカルロスに対する評価はどんどんと勝手に上がっていくのだった。

 そして当日、いよいよジュリーは馬車に乗ってカルロスの屋敷を訪れる。
 そこはジュリーの婚約者となる人物の屋敷にふさわしく、荘厳な建物に立派な庭がついていた。
 その光景を見てさらに期待で胸を膨らませながらジュリーは応接間に通される。
 そこにジュリーと同じように着飾ったカルロスが入ってくる。彼の顔立ちは以前に遠くから見た時よりも格好良く、その一挙手一投足はまるで王族のように気品のあるものに見えた。

「やあジュリー、今日は来てくれてありがとう」
「いえ、こちらこそお招きいただきありがとうございます」

 挨拶を終えると、カルロスはジュリーを値踏みするように見つめる。
 そしてぽつりと言った。

「うーん、60点ぐらいかな」
「え?」

 突然よく分からない点数を口にされてさすがのジュリーも困惑する。

「いや、気にしないでくれ。今のは僕が100点だと仮定した場合の君の点数だ。普通の女は10点か20点だから十分に高い方だよ」
「そんな、60点だなんて……」

 完全にカルロスは上から目線である。
 いくらカルロスが相手でもそんな風に言われて許せる訳がない。
 そんな彼の態度にプライドの高いジュリーは早くもピキリとした。

「そもそも変な噂が経っている時点で20点減点だ」
「そんな、あれは周囲が勝手につまらないことを言っているだけですわ!」
「僕は完璧主義だから、婚約者にそういう評判が立っているだけでも許せないんだ。それに君のドレス、こことここの生地は少し安物だね。それにここの意匠も気に食わない。だからもう20点減点で60点だ。まあこれから頑張ればいいさ」

 そう言ってカルロスは無遠慮にジュリーのドレスに触れる。
 ジュリーは反射的に彼の手を離れるように飛びのいた。

 確かにカルロスの服の生地に比べれば多少は安いかもしれない。それでもこのように馬鹿にしたような物言いをされることはジュリーには我慢ならないことだった。

「黙って聞いていれば……あなたはさっきから上から目線で……」
「ん? だって僕の方が上だろ?」

 ジュリーの言葉にカルロスは不思議そうに言う。

「だからといって、そんな他人を小馬鹿にしたような物言い、許せませんわ!」
「何でだい? 上に立つ者がその立場から物を言うのの何が悪いんだ? 大体、君だって他の者にはそうしていたんだろう?」
「な……」

 カルロスの言葉にジュリーはまるで頭を殴られたような衝撃を受けた。
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