Trade Secret R ~ やがて、あの約束へ ~

あたか

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第3幕 男を愚かにさせるものとは

第8章 女と男を美しくするものとは②

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壇上だんじょうでは、シンデレラ役の侑斗ゆきとと王子役のサルヴァトーレを中心に、クラスメイト達が周囲に立って、最後の挨拶をしていた。


「ご高覧こうらんいただきまして、誠にありがとうございました。
この舞台で僕達が伝えたかったことは、誰かに用意された道ではなく、自分で現実を恐れず見つめて考えて、未来を選択するという大切さでした。
そして――」


学級委員長の侑斗ゆきとの言葉が終わると、会場は再度盛大な拍手に包まれた。

中には立ち上がって、手を叩く者もいる。

観客の顔には、これは高校生によるただのお遊戯会ではない、確かに大人達社会への挑戦状だと、そしてそれをしかと受けとったと、彼らを認めるような表情が浮かんでいた。

そんな空気に包まれた侑斗ゆきとを含めた蛍雪高校けいせつこうこう一年A組の生徒達の顔には、やり切ったという達成感があった。

ただし、サルヴァトーレはこんな賞賛は当たり前だと言わんばかりに、相変わらずふてぶてしい無表情だったが。

そんな憎たらしい顔をして腕組をしている王子の格好をしている彼の隣で、舞踏会で披露したきらびやかなドレス姿の侑斗ゆきとが声をかける。


「サルヴァ」


「なんだ?」


「許せ」


突然、侑斗ゆきとが優等生の仮面を外し、不敵に笑うとサルヴァトーレの首に手を回し、この金髪が美しい少年の唇に自分の唇をそっと重ねた。


「…………?!」


サルヴァトーレの綺麗な紫色の瞳が大きく見開かれる。


「ふふ」


その予想だにしない展開に驚いたサルヴァトーレの表情を見て、侑斗ゆきとは今にも噴き出しそうな顔で微笑んだ。

そして、後ろにいる遥にこう言った。


はるか、これでどうだ? 願いは叶ったか?」


「そうね。及第点ギリギリってとこかな」


「くっ……手厳しいな。これで合格にしてくれ」


悪戯いたずらっぽく笑う遥に侑斗ゆきとは苦笑いで応じた。


「……おい、どういうつもりだ?」


「――優勝を狙うための、観客への最後の演出だ。
俺のファーストキス、お前にやる」


サルヴァトーレが冷静な表情のまま眉だけしかめている様子に対して、侑斗ゆきとはしてやったりと無邪気に笑っている。

そして、
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