Trade Secret R ~ やがて、あの約束へ ~

あたか

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第4幕 無駄なアナログ感は正確に伝わるだろう

第7章 現場主導のリスクベース評価はやめておけ①

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突然、「ドオォン」と爆発音が鳴り響いた。

何事かと駆け寄って、呆然と焼けこげた離れの一角を眺める四人。

いつの間にか風のせいで庭に転がっていた除草スプレー缶が爆発した瞬間、焼き芋の火が跳ね、東の対の離れに隣接する建物の板壁が「バンッ!」と音を立てて思い切り吹き飛んだ。

炎はすぐ鎮火した。

だが、焼け焦げと爆風の跡だけがはっきりと建物に残った。


「ちょっと待って……爆発した……!」


「うわぁ、やっちまった。おい、侑斗ゆきと……大丈夫か、これ?!」


遥と早馬が慌てた様子で、侑斗ゆきとを振り返るが、彼はこんな時でもポーカフェイスで苦笑いを浮かべていた。

むしろ、先程より元気そうだ。


「くっ……よりによって重文か」


「な、なにそれ? もしかして……」


「……国指定重要文化財のことか?」


「ああ、そうだ」


遥と早馬の最終確認に、侑斗ゆきとは苦笑いのまま短く返事をした。


「保険は効くのか? そもそも、お前ら日本の文化財管理システムはどうなっている?!」


状況が状況なだけに、サルヴァトーレも顔こそ冷静だが、少し慌てているようだ。

しかし、保険金の心配を先にするあたり、合理主義の彼らしい。


そんな、彼に、早馬と遥は絶望交じりの表情で説明する。


「東京の文化財とはわけが違うぜ」


「国宝に次ぐ国の重要財産よ。イギリスだとグレード・ワン……最低でもツー・スターってところじゃない」


そして、侑斗ゆきとがとどめの余命宣告とばかりに淡々と続ける。


「ああ、よくて本家からの修理費という名の損害賠償請求か、御上おかみから行政罰、
最悪……四人揃ってシャバの空気を吸えなくなるかもしれない」


「待て、俺達は未成年だ。こういう時にもってこいの免罪符だろ?」


サルヴァトーレの指摘は、あくまで子供の立場を最大限利用すべきだという実に悪ガキの悪知恵らしい提案だった。

それを聞いた瞬間、侑斗ゆきと自嘲気味じちょうぎみに笑みを浮かべてこう言った。


「そんなにうちの親父に怒られたいか? 
言っておくが、お務めする方がまだ楽だと思うぞ」


「…………」


刑務所に行くより、恐怖を抱かせる父親も世の中にはいるらしい。
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