もふもふの世界に落っこちて、気がついたら離してくれなくなった件

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もふもふの世界へ

お世話され

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何故か可愛らしいレースたっぷりのドレスに着替えさせられた。
こんな可愛らしい服着たのは何年ぶり?
昔、ピアノの発表会で母に着せられたぶりか?
これを着る年齢ではないと思うのだが、あれよあれよと着替えさせられて、今の現状だ。

「似合ってるね。可愛い」
「ほんと、可愛い。誰にもみせたくないぐらい」
「ありがとうございます。」
「ん?なんだか不満そうだね。もっとかわいいのが良かった?」
「女性だものね。レースもう少しあった方が良かったかなぁ……」

私を何歳だと思ってるのだろう……いくら日本人が童顔でも……確か、20歳って年齢言っておいたはず…

「あの~~、私20歳、大人です。確か年齢言いましたよね?」
「言ったね」
「聞いたね」
「では何故?この世界は……」
「この世界に渡ってきた女性達が可愛いのが好きだったからかなぁ……嫌い?可愛いの?」

へっ!?そうなの?
可愛いのは好きだし、もふもふも好きだけど、好きと実際に着るのは違うのでは……そんなうるうるした目で見ないでください……

「嫌いではありませんが、私がいた所では、成人女性はこんな可愛らしいドレスはあまり着ないと………」
「どんなのが好き?好きな色は?」
「動きやすい方が好きです。シンプルなもので、淡い色?」

コテっと小首を傾げて考えた。
世界が違ったら、私の好みでは浮くのだろうか……それは困るし……

「シンプルなのはどうかなぁ……わかった。もう少しだけ大人しめにしておくよ。セバス、それで手配して」

側にいた執事にそう命じ、そのまま庭園に連れて行かれた。
色とりどりの花に囲まれて、中央に噴水がある。綺麗。
小鳥のさえずりも聞こえ、そよ風に花の香りが運ばれて、少しホッとした。

座ってと庭に置かれたテーブル席の椅子を引かれ、座らされる。
テーブルの上には軽食が置かれていた。

「お腹すいただろ。食べよう」

そう言って、両隣に座られ、世話を焼かれる。
何故手を拭いてくれる?何故嬉しそうに食べさせようと……

「これ、美味しいよ。あ~ん」

呆れてぽかんと開いていた口の中に一口サイズに切られたサンドイッチが入れられた。
思わず咀嚼して飲み込んだ。

「美味しい……」
「良かった。次はこれ」

そう言って、反対側から果物を入れられた。
美味しいけど……美味しいけど……ちょっと待って……

「食べる姿も可愛いな……全部してあげたくなる」
「こんな気持ちになったのは初めてだ。ほら次これ美味しいよ」

咀嚼して飲み込んでは放り込まれ、まるで雛鳥になったみたいだ。
そんな嬉しそうに微笑まれては断りにくいが……どうしたらいいの……
これは、何かの罰?私何かした?

「ふふっ、頬が赤く染まって、可愛い」

2人から頬にキスされた。
ぐっ……衝撃で、詰まる……

そっと背中をさすってくれて、お茶を勧められた。慌てて飲み干す。
良かった、助かった……じゃなくて、

「一人で食べれます。大丈夫ですから……」
「ん?そうだね。でもしてあげたいから」
「そうだね。大人の女性だしね。でも可愛いから」

ダメだ、取り合ってもらえない。
仕方ない。後でこの国の事とか、この世界のこととか、聴きながら相談しよう。
この世界、この国では常識で、もといた世界では非常識な事があるかも知れないから……
多分、あるだろうけど……

それよりも、帰れるかどうかも聴きたいし、『渡り人』とか言っていたから、過去の人たちの事も聴きたいし……
今は流されよう……

そう考え直して、ありがたくお世話されることにした。
でも、イケメンからの『あ~ん』は恥ずかしいよ~~~~~~


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