番になんてなりたくない！

怪しい気配

ミシュル辺境伯とのやり取り

ミシュル領について、すぐに領主のもとに行く。
先ぶれはだしてあるから、大丈夫だとは思うけど……

屋敷の門をくぐり、邸宅の入り口に馬車を停車させる。
玄関先に、この地を治めているミシュル辺境伯が待っていてくれた。

クロさんとシロさんに馬車の扉を開けてもらい降りる。

「ようこそおいで下さいました。このような辺境の地へ、お疲れではございませんか？お部屋など準備させていますので、案内させますね。」

そう言って、多分この屋敷の執事であろう老紳士に部屋を案内してもらった。
華美では無いが、落ち着く空間の部屋だ。
クロさんが、入浴の準備をしてくれているので、少しさっぱりして、疲れを取ろう。
その後、今回の目的の話と調査の件を話そうと思う。

「ウィル、準備ができた。入るだろう？」
「勿論！」

そう言って、浴室に入り、クロさんに手伝ってもらって入浴する。
皇族は自分で身の回りができたとしても、臨機応変に使用人に任せないといけない事がある。
恥ずかしいけどね……

湯船に入り、香りで癒される。
クロさんが疲労回復にと、何か入浴剤のような物を入れてくれたんだろう。
湯の色は変化してないが、少しトロッとしている。

「ウィル、湯加減はどうだ？」
「うん、気持ちいいよ。ありがとう。」
「頭洗うから、こっちに来い。」

言われた所に頭を乗せて、少し寝そべるようにする。
香りの良い洗髪剤で洗われながら、マッサージもされた。
気持ちいいし、頭がスッキリする。

ある程度温もり、全身磨かれて、浴室から出た。
しっかり水気を切り、髪を乾かして、着替える。
少しラフな格好だが、皇族はらしい格好だ。

リリィも着替えたのか、スッキリして、シロさんの入れてくれたお茶を飲んでいた。

コンコンとドアがノックされ、クロさんが対応する。
さっきの執事だ。

「おくつろぎのところ、申し訳ございません。お食事の準備が整いましたので、ご案内いたします。」

そう言って、案内された。
長テーブルに配置された椅子に座り、会食を楽しむ。
ある程度して、ミシュル辺境伯に話を振ってみた。
今回の目的を……

「ミシュル辺境伯、この国の本と、噂などで聞いたのですが、生き物の生存できない湖があるとか？」
「あぁ、アリア湖ですか？ここより少し北に位置した湖なのですが、残念ながら、魚も他の生き物も住めない湖なんです。もちろん飲料水にも使えず……あれが使えれば、農業用水として、作物を作るのに使えるのですが、残念です。」

そうか、寒さだけでなく、農業用水の確保も必要だった。
でも、それは別のルートでどうにかなりどうだから………

「もしよかったら、案内していただけませんか？興味があって見てみたかったんです。」
「こちらとしては、大丈夫ですが、何もなく、つまらないですよ？」
「大丈夫です。よろしくお願いします。」

約束を取り付けれた。良かった。
明日案内してくれるらしい。
塩湖であれば良いんだけど……
ドキドキしながら、明日を楽しみにした。