番になんてなりたくない!

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学園生活

ウィルを見つけて…(クロ)

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リリィには、シロさんを通して伝えるよう犬に指示を出した。
勿論、この国の皇族でもあるウィルが行方不明なのだから、皇帝陛下にも連絡するようにした。
ただ、この国は、まだ皇帝の権力は十分ではない。
ウィルとリリィが密かに犬に指示出して、膿を出すべく情報を掻き集めているから、奴らに気づかれるわけにもいかない。
あくまで極秘に伝えるため、直接闇から潜み、伝える方法を取る。
彼らは優秀な間者でもあった。

今はウィルとリリィの犬だが。
2人がかわいそうだと、暗部組織の訓練所を作った時に呼び名を変えた。
高度な技術を身につけ、レベルも結構上がった者を犬達が鍛えて育成してくれてるんだからと。

2人は、『取り敢えずの旗印は考えてみたんだ。』と言って、図案を見せてくれた。
ウィルは絵を描くのが上手い。
繊細な色使いで、描かれたそれは、『犬』ではなくて、『狼』をモチーフにしていた。

「『犬』より『狼』の方がかっこいいもの…」

と言ったのはリリィ様。
彼女の案で、図案を考えたようだ。

私とシロさん的には犬には勿体無いと言ったんだがね。
ウィルが嬉しそうに言ってきたから、渋々OKした。

で、ネーミングも、『漆黒の牙』って付けたいと言ってきた。
嫌だったが、ウィルの、我が君の願いだから、頷いた。

しかし、私達の中ではやっぱり『犬』だ。
しっかり探してもらおう!!

色んな情報から、やっとウィルを見つけた。
学園からかなり離れた廃墟のような神殿跡。

数名の仲間を引き連れた。
あと、今後の制裁のために動けるようにと、配備して向かう。

かなり急いだが、時間は刻々っと過ぎていく。
ウィルに危害を与えられていないだろうか……

以前、シロさんから伝えられた、私達だけが知っていること。
そう、私とシロさんだけ。
リリィの夢の中に入った時に、シロさんは知り、私にだけ教えてくれた事。

ウィルとリリィが転生者であり、今と違う世界にいたという事。
そして、転生前は、今の性別とは別だという事。

だとすれば、急がなければ、ウィルの心が壊れる可能性もある。
私の守る者を壊されてたまるか!!

現地に着いた時は、月が頂上に位置し、月明かりが辺りをてらしていた。
建物内に入り、探す。
むろん、建物内の不穏な者達は、見つけしだい叩き潰した。
そして、ウィルの気配を探し、見つけた。
地下の部屋に続く階段を降り、ドアを蹴破る。
中に入り辺りを見回し、見つけたが……

他の者に、待機を指示し、自分だけ側に行く。

鎖で両手を拘束され、身体を吊り下げるようにされているウィル。
足首にも拘束をつけられて、身動きが取れないようにされており、猿ぐつわのように布を噛まされている。
服は引きちぎられたのか、端切れのようにされ、床に落ちており、ウィルは全裸にされていた。

「ウィル。なんてことだ……」

痛々しい傷痕などをが見て取れた。さっと確認し、上着を脱いで掛けた。
携帯していた暗器を取り出して、鎖を外す。
両脚を先に外し、両手を外すと、ウィルが倒れ込んできた。

急いで掛けた服に袖を通し、ボタンも閉めて包み込み、抱き上げる。
そして、この場で起きた事を魔力で見た。

あのマリアンヌ令嬢が指示を出し、3人に犯されるウィル。
許さない!

あの4人と自分自身を。

ウィルを害するものから守れなかった。
そんな自分も許せなかった。
だが、ウィルから離れる気はない。

「長居は無用だ。帰るぞ。」

そう言って、ドアへと駆け上がる。

「このような場所、破壊してしまえ!」

そうドアで待機していた者に指示し、その場を後にした。
建物から出ると、大木に隠すように繋いでいる馬のもとに行く。

ウィルを抱きこんだまま馬に乗り、掛けていく。

「ウィル、身体が辛いかもしれないが、しばらく我慢してくれ。」
「う……ん……」

身体に触れるウィルの身体が熱い。そして、悪寒がするのか、震えだしている。
あんな格好で放置されていたんだ。風邪をひいたのかもしれない。
急がなければ……

魔力で周囲の気温を少し上げる。
少しでもウィルを温めるために。
悪寒がしている時は、冷やすより、温めないといけない…

ウィルはそのまま意識を飛ばしてしまった……
もう少しだから、すぐに治療するからな。

犬達に魔力でウィルを見つけた事、医師の手配、そして、報復のための指示を出した。
タダではおかない!!


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