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彼を含まない”大人”について
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夕方のテレビを見ながら時計が六時を回ったことを確認し、包まっていた毛布から体を出してエアコンを付ける。本当は日中でも寒ければ付けていて良い、と言われているのだが、自分一人で広いリビングを温めるのもなんだか申し訳なくていつも厚着をするか布団を被って生活してしまう。
六時に仕事が終わるコウは車通勤なので、買い物が無ければ三十分程で帰ってくる。そのタイミングでエアコンを付けるのがやせ我慢がばれず、かつコウにあたたかい空間を提供できる丁度良いタイミングなのだ。
「(晩御飯聞かれたら、なんて答えよう)」
こっそりと冷蔵庫を漁って残りの食材を眺める。野菜類はほぼ切らさずストックしてあるのだが、肉類はまちまち。半端に残っているウインナーを見つけたので、今日の答えはポトフに決まった。満足して冷蔵庫を閉めたところで鍵の開く音がしたので、玄関に向かった。
「お、かえりなさい」
無言でドアを開けて部屋に滑り込んだコウはこちらの声が聞こえているのかいないのか、玄関に鞄を放り出し壁に手を付きながら靴を雑に脱ぐ。
「……? ああ、ごめん廉。ご飯後で作るから、ちょっと寝かせて」
ようやく廉を視界にとらえたコウが覇気のない声で呟く。顔がひどく青ざめていて、動きも覚束ない。体調が悪いのに無理して働いたのだろうか。
「コウ、さん……風邪ですか?」
「アンタはそんなこと、気にしなくて、良い……か、ら」
体勢を崩したコウがそのまま玄関先で倒れこんでしまう。慌てて駆け寄ると、両の瞼は既に閉じられていた。
「コ、さ……?」
体を揺さぶり、何度も名前を呼ぶ。しかしその体は死体かのようにほんの少しの反応も返してはくれくれない。そこまできてようやく背筋が凍った。
「コウさ、コウさん……っ!」
このまま死んでしまうのではないか、と。不安が脳裏によぎり、嫌な想像が一気に膨れ上がる。昨日までは普通に過ごしていた。それこそ今日の朝だって普通にいつも通りの朝ご飯を食べて仕事に行った。それなのにどうして今こんなことになっているのか。このまま放っておいていいはずはないが一体今からどうすればいいのか。
「……え、っと」
部屋に置いてある電話に駆け寄り受話器を取る。救急車は一一〇番か、一一九番か、どちらだっただろうか。思い出さなければ、早く、コウが死んでしまう前に。取り返しのつかなくなる前に。
一か八かで打ち込んだ一一九番に繋いだ電話は、ワンコールも待たずに繋がった。お決まりの火事ですか救急ですか、という言葉に慌てた挙句、喉が固まる。
『大丈夫ですか? 落ち着いて、今何が起きてますか?』
焦れば焦るほど声が消えていき、電話口の相手も不審に感じたのか何度も呼びかける。
「……た……」
早くしなければ、急がなければ。
「た……すけ、て」
情けない声でも何でもいい、無理だと締まる喉を無理やりこじ開けて声を出す。だってそうでもしなければ、今自分が頑張らなければ、コウが死んでしまうかもしれないのだ。
「コ、さん……死んじゃう……っ」
そこから何を話したのか、よく覚えていない。しかし気が付けば家に救急隊員が部屋に上がりこみ、玄関で倒れたままのコウをあっという間にストレッチャーに乗せて行ってしまった。
「君が電話をくれた廉くんだね?」
こちらへ寄ってきた隊員に一つ頷く。突然近くまで寄られたことに驚いて一歩引くと、少し驚いた顔をしたもののすぐに膝を曲げて視線を自分より下げてくれた。
「……コ、さ……し、なな、い……?」
「大丈夫だよ、一度病院まで一緒に来てくれるかな?」
手を引かれて外へ出る。何がなんだかわからなかったが、コウを救うことができたのかもしれないと思うと、少しだけ縮こまっていた心臓が緩まった。
自分がとった行動が最悪の選択肢だったということになど、知識の浅い自分には分かるはずもなく。
救急車に乗り病院に着くまでの間、コウのことに関してたくさんの事を聞かれた。そのどれも、廉には答えることができなかった。彼の名前すらだ。そのまま病院に運び込まれてロビーで待つこと一時間、笑顔の看護士に連れられてベッドに横たわっているコウと再会した。
「大丈夫、お父さん寝不足だっただけみたい」
父親ではないのだが年齢差的にそう捉えられたのか、看護士はそう言って廉の頭を撫でて出て行ってしまう。何をすればいいか分からず、傍にあった椅子に座ってぼんやりと時間を過ごした。
重い病気ではなかったことにまずほっとした。しかしそれと同時にじわじわと不安が押し寄せてくる。寝不足だったのはいつからなのか、廉の存在が何か彼の負担になっていたのではないか、考えれば考えるほど止まらなくなった。
「……コウさん」
そう待たずして、コウは覚醒した。ゆったりと瞼を持ち上げて数度瞬きをし、緩慢な動きで起き上った。
「……廉?」
少ししてこちらに気付いたコウが廉の名前を呼ぶ。それだけで一気に体中にまとわりついていた泥のような重たい不安が削ぎ落されたような安堵感に包まれた。
「ここは……そうか、倒れて……」
ぼそぼそと今までの記憶を反芻していたコウが突然目を見開きものすごい勢いで廉の方を掴む。
「救急車を、呼んだ……?」
あまりの気迫に声を出すこともできずに一つ頷く。コウは一体何に焦っているのだろうか。
「自分の名前を、電話で伝えた?」
「……あ、」
そこでようやく全てが繋がる。自分が電話をしたのは“そういう”場所だ。そこに自分の名前を伝えれば、捜索願が出ている久住廉だと気付かれてもおかしくはない。否、気付かれないはずがない。
なんてことをしてしまったのだろうか。コウを助けたい一心で、危険に晒してしまった。
「あ、ごめん、なさ」
「お目覚めですか」
突然スーツを着た二人組の男がこちらへやってくる。廉の肩から手を離したコウは反対側に立った男たちを見て悟ったように一つ息を吐いた。
「米沢孝幸さん、こちらで療養された後署までご同行願います」
よねざわたかゆき。それは一体誰のことだ。
「彼が行方不明中の久住廉くんだったことは、ご存知でしたね?」
「……山で行き倒れてたところを拾った、都合がいいと思ってそのまま隠して育ててた。何も弁解することはありません」
一体、何の話をしているのか。
「こんな犯罪者の言う事なんて聞きたくないかもしれませんが、最後に少しだけ廉と話をしても?」
「ええ、構いません。ただし、今日以降久住廉くんはこちらで保護させていただきます」
どうしてこんなにトントン拍子に話が進んでいくのか。
男たちが部屋から出ていき、コウがゆっくりと振り返る。その顔に焦りや怒りなど一切なく、むしろ至っていつも通りの顔だった。
「……残念ながら、ゲームオーバーみたいだ」
「……え、」
「無様だね。さっさとアンタを別の場所に捨てれば良かっただけなのに、そうできなかった俺の責任だ」
コウの手が廉の頬に伸び、するりと撫でられる。先ほどまで寝ていたせいか、首を竦めたくなるほどにその手は冷たかった。
「アンタが怯えるほど大人は怖い奴ばかりじゃない。他の人の言う事をよく聞いて、今度こそ幸せになるんだよ」
「……ま、って」
離れようとする手を掴み頬に押し付ける。彼が一体どんな悪いことをしたというのだろうか。廉にあたたかいご飯と心地よい寝床と幸せな空間をくれた人なのに。他の誰も廉にしてくれなかったことを唯一してくれた人なのに。
「やだ、コウさんと、一緒にかえりたい」
「駄目なんだ、俺はもう廉と一緒にはいられない」
「やだ、やだ……っ!」
どうして。どうして自分の幸せは、こうも容易く奪われていく。多くは望まない、ただ一人彼と一緒に居られればもう他には何も要らないのに、やっと自分の居場所を見つけられたと思ったのに。
「廉、勘違いするな。俺はアンタを金で買った、性処理に使う目的で」
違う、もし本当にそうだったとしても、それを越えて余りある恩を彼から貰った。
「アンタはたくさんの大人に良いように使われて、今までがあまりに不幸すぎて今が幸せだと勘違いしてるだけなんだ」
「コウ、さんと、一緒がいい……っ」
「廉!」
突然の大声に肩が竦む。すぐ外に待機していたのか、先ほどの男たちが勢いよくドアを開けて入り込んできた。
「……廉は馬鹿じゃない。もうどうするべきか分かるね?」
何かしでかそうものなら今すぐにでも取り押さえかねない雰囲気の男たちとは裏腹に、コウはただひたすらに穏やかだった。
「……廉は、過去に不特定多数の人間に性的暴行を受けていたので大人を怖がります。吃音症のせいで会話も難しいかもしれませんが、連れていくからには丁重に扱ってください」
廉の体温を吸って温まりかけていた手があっさりと離れる。そのまま片方の男に手を引かれて病室を連れ出される。コウの最後の言葉が暴れてでもこの場に留まりたい自分の心をがんじがらめにした。
ドアが閉まる。その目がこちらを向くことは、二度となかった。
六時に仕事が終わるコウは車通勤なので、買い物が無ければ三十分程で帰ってくる。そのタイミングでエアコンを付けるのがやせ我慢がばれず、かつコウにあたたかい空間を提供できる丁度良いタイミングなのだ。
「(晩御飯聞かれたら、なんて答えよう)」
こっそりと冷蔵庫を漁って残りの食材を眺める。野菜類はほぼ切らさずストックしてあるのだが、肉類はまちまち。半端に残っているウインナーを見つけたので、今日の答えはポトフに決まった。満足して冷蔵庫を閉めたところで鍵の開く音がしたので、玄関に向かった。
「お、かえりなさい」
無言でドアを開けて部屋に滑り込んだコウはこちらの声が聞こえているのかいないのか、玄関に鞄を放り出し壁に手を付きながら靴を雑に脱ぐ。
「……? ああ、ごめん廉。ご飯後で作るから、ちょっと寝かせて」
ようやく廉を視界にとらえたコウが覇気のない声で呟く。顔がひどく青ざめていて、動きも覚束ない。体調が悪いのに無理して働いたのだろうか。
「コウ、さん……風邪ですか?」
「アンタはそんなこと、気にしなくて、良い……か、ら」
体勢を崩したコウがそのまま玄関先で倒れこんでしまう。慌てて駆け寄ると、両の瞼は既に閉じられていた。
「コ、さ……?」
体を揺さぶり、何度も名前を呼ぶ。しかしその体は死体かのようにほんの少しの反応も返してはくれくれない。そこまできてようやく背筋が凍った。
「コウさ、コウさん……っ!」
このまま死んでしまうのではないか、と。不安が脳裏によぎり、嫌な想像が一気に膨れ上がる。昨日までは普通に過ごしていた。それこそ今日の朝だって普通にいつも通りの朝ご飯を食べて仕事に行った。それなのにどうして今こんなことになっているのか。このまま放っておいていいはずはないが一体今からどうすればいいのか。
「……え、っと」
部屋に置いてある電話に駆け寄り受話器を取る。救急車は一一〇番か、一一九番か、どちらだっただろうか。思い出さなければ、早く、コウが死んでしまう前に。取り返しのつかなくなる前に。
一か八かで打ち込んだ一一九番に繋いだ電話は、ワンコールも待たずに繋がった。お決まりの火事ですか救急ですか、という言葉に慌てた挙句、喉が固まる。
『大丈夫ですか? 落ち着いて、今何が起きてますか?』
焦れば焦るほど声が消えていき、電話口の相手も不審に感じたのか何度も呼びかける。
「……た……」
早くしなければ、急がなければ。
「た……すけ、て」
情けない声でも何でもいい、無理だと締まる喉を無理やりこじ開けて声を出す。だってそうでもしなければ、今自分が頑張らなければ、コウが死んでしまうかもしれないのだ。
「コ、さん……死んじゃう……っ」
そこから何を話したのか、よく覚えていない。しかし気が付けば家に救急隊員が部屋に上がりこみ、玄関で倒れたままのコウをあっという間にストレッチャーに乗せて行ってしまった。
「君が電話をくれた廉くんだね?」
こちらへ寄ってきた隊員に一つ頷く。突然近くまで寄られたことに驚いて一歩引くと、少し驚いた顔をしたもののすぐに膝を曲げて視線を自分より下げてくれた。
「……コ、さ……し、なな、い……?」
「大丈夫だよ、一度病院まで一緒に来てくれるかな?」
手を引かれて外へ出る。何がなんだかわからなかったが、コウを救うことができたのかもしれないと思うと、少しだけ縮こまっていた心臓が緩まった。
自分がとった行動が最悪の選択肢だったということになど、知識の浅い自分には分かるはずもなく。
救急車に乗り病院に着くまでの間、コウのことに関してたくさんの事を聞かれた。そのどれも、廉には答えることができなかった。彼の名前すらだ。そのまま病院に運び込まれてロビーで待つこと一時間、笑顔の看護士に連れられてベッドに横たわっているコウと再会した。
「大丈夫、お父さん寝不足だっただけみたい」
父親ではないのだが年齢差的にそう捉えられたのか、看護士はそう言って廉の頭を撫でて出て行ってしまう。何をすればいいか分からず、傍にあった椅子に座ってぼんやりと時間を過ごした。
重い病気ではなかったことにまずほっとした。しかしそれと同時にじわじわと不安が押し寄せてくる。寝不足だったのはいつからなのか、廉の存在が何か彼の負担になっていたのではないか、考えれば考えるほど止まらなくなった。
「……コウさん」
そう待たずして、コウは覚醒した。ゆったりと瞼を持ち上げて数度瞬きをし、緩慢な動きで起き上った。
「……廉?」
少ししてこちらに気付いたコウが廉の名前を呼ぶ。それだけで一気に体中にまとわりついていた泥のような重たい不安が削ぎ落されたような安堵感に包まれた。
「ここは……そうか、倒れて……」
ぼそぼそと今までの記憶を反芻していたコウが突然目を見開きものすごい勢いで廉の方を掴む。
「救急車を、呼んだ……?」
あまりの気迫に声を出すこともできずに一つ頷く。コウは一体何に焦っているのだろうか。
「自分の名前を、電話で伝えた?」
「……あ、」
そこでようやく全てが繋がる。自分が電話をしたのは“そういう”場所だ。そこに自分の名前を伝えれば、捜索願が出ている久住廉だと気付かれてもおかしくはない。否、気付かれないはずがない。
なんてことをしてしまったのだろうか。コウを助けたい一心で、危険に晒してしまった。
「あ、ごめん、なさ」
「お目覚めですか」
突然スーツを着た二人組の男がこちらへやってくる。廉の肩から手を離したコウは反対側に立った男たちを見て悟ったように一つ息を吐いた。
「米沢孝幸さん、こちらで療養された後署までご同行願います」
よねざわたかゆき。それは一体誰のことだ。
「彼が行方不明中の久住廉くんだったことは、ご存知でしたね?」
「……山で行き倒れてたところを拾った、都合がいいと思ってそのまま隠して育ててた。何も弁解することはありません」
一体、何の話をしているのか。
「こんな犯罪者の言う事なんて聞きたくないかもしれませんが、最後に少しだけ廉と話をしても?」
「ええ、構いません。ただし、今日以降久住廉くんはこちらで保護させていただきます」
どうしてこんなにトントン拍子に話が進んでいくのか。
男たちが部屋から出ていき、コウがゆっくりと振り返る。その顔に焦りや怒りなど一切なく、むしろ至っていつも通りの顔だった。
「……残念ながら、ゲームオーバーみたいだ」
「……え、」
「無様だね。さっさとアンタを別の場所に捨てれば良かっただけなのに、そうできなかった俺の責任だ」
コウの手が廉の頬に伸び、するりと撫でられる。先ほどまで寝ていたせいか、首を竦めたくなるほどにその手は冷たかった。
「アンタが怯えるほど大人は怖い奴ばかりじゃない。他の人の言う事をよく聞いて、今度こそ幸せになるんだよ」
「……ま、って」
離れようとする手を掴み頬に押し付ける。彼が一体どんな悪いことをしたというのだろうか。廉にあたたかいご飯と心地よい寝床と幸せな空間をくれた人なのに。他の誰も廉にしてくれなかったことを唯一してくれた人なのに。
「やだ、コウさんと、一緒にかえりたい」
「駄目なんだ、俺はもう廉と一緒にはいられない」
「やだ、やだ……っ!」
どうして。どうして自分の幸せは、こうも容易く奪われていく。多くは望まない、ただ一人彼と一緒に居られればもう他には何も要らないのに、やっと自分の居場所を見つけられたと思ったのに。
「廉、勘違いするな。俺はアンタを金で買った、性処理に使う目的で」
違う、もし本当にそうだったとしても、それを越えて余りある恩を彼から貰った。
「アンタはたくさんの大人に良いように使われて、今までがあまりに不幸すぎて今が幸せだと勘違いしてるだけなんだ」
「コウ、さんと、一緒がいい……っ」
「廉!」
突然の大声に肩が竦む。すぐ外に待機していたのか、先ほどの男たちが勢いよくドアを開けて入り込んできた。
「……廉は馬鹿じゃない。もうどうするべきか分かるね?」
何かしでかそうものなら今すぐにでも取り押さえかねない雰囲気の男たちとは裏腹に、コウはただひたすらに穏やかだった。
「……廉は、過去に不特定多数の人間に性的暴行を受けていたので大人を怖がります。吃音症のせいで会話も難しいかもしれませんが、連れていくからには丁重に扱ってください」
廉の体温を吸って温まりかけていた手があっさりと離れる。そのまま片方の男に手を引かれて病室を連れ出される。コウの最後の言葉が暴れてでもこの場に留まりたい自分の心をがんじがらめにした。
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