Dracaena fragrans cv."Massangeana"

青葉えめ

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Aconitum

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 チャイムの音に先に気付いたのは廉だった。
 風呂に入れた後お互い疲れて眠っていたようで、再び目を開けたときには、外の闇に浸食されたかのように部屋は真っ暗で、慌てて電気をつけてカーテンを閉めた。先にチャイムの音に気付いていた廉は時計を見てドアを見て翔平を見てとせわしない。
 よっぽどお迎えが嬉しいのだろう。認めたくはないが、今の廉にとって一番信頼に値する人はコウなのだ。
「廉、ちょっと待って」
 自分が出るわけにも廉を勝手に帰すわけにもいかないので、気は進まないが狼の部屋をノックする。しばらくの間返事がなかったのでもう一度ノックをすると、三秒後にものすごい勢いでドアが開いた上に伸びてきた腕に頭を鷲掴みにされ、遠慮も何もない力で押し飛ばされた。
「うるさいクソ犬」
「いっ、た」
 予想通りひどく機嫌が悪い。これはもう数発殴られる流れかと身を固くしたが、丁度良いタイミングで再びチャイムが鳴った。
「……ああ、そっか」
 こちらへ進みかけた足を止め、面倒そうに頭を掻きながら玄関の方へ向かった。
「お帰り~」
「俺の帰る家じゃないからただいまは言わないよ」
「なんだつれないの」
 先ほどまでの仏頂面はどこへやったのかと言うほどにこやかにコウを出迎えた狼は側にいた廉の背中を押す。
「何もしてないよね?」
「お前がそう思うならそうなんじゃない?」
 かと思えば急に廉の襟を掴んで引き上げた。
「っ、!」
 服を引っ張られて身動きがとれなくなった廉が慌てて体をばたつかせるが、狼は動じることなく笑みを深めた。
「こんなところに盗聴器付けて、玄関にこんな物まで転がして万全の体制にしてたのに、あれを止めなかったのは何でかなあ?」
 襟から何か小さな機械を引っ張って外し、靴箱の上に置かれていた小さな箱のような物とまとめてコウに投げつけるが、コウはなんでもなさそうにそれを片手で受け止めた。
「遠隔操作の起爆装置だろ。威力は低いけど牽制くらいには使える」
 起爆装置。その言葉にぎょっとしてコウの顔を伺うが、策略がばれていたにしては全く動揺していない様子で襟を掴まれたままの廉を奪い取った。
「全部分かってて楽しんでただろ。コウはそうやって良い人ぶってるけどさ、お前も僕と一緒だって事自覚しておきなよ」
 玄関まで寄ると首輪は電気を流すので近寄るに近寄れず少し離れたところから眺めていた翔平を狼が突然掴んで引っ張った。
「っぅあ!」
 ばち、と衝撃が走る。しかしまだ動けなくなるほどではなく、慌てて体を反らせて玄関から距離を取ると、その滑稽な動きを見てか狼は楽しそうにけらけらと笑った。
「おもちゃは他人に取られたくないけどおもちゃで遊ぶのは楽しい。違う?」
 何も言わないコウに興味を無くしたのか、深まるばかりだった笑みが引いていく。
「お前も僕も同じ人間の皮を被った化け物なんだよ」
 とうとうコウは狼の言葉に眉一つ動かすことはなかった。
「同僚が持ってきたおみやげ、アンタが嫌いだと思って全部持ってきた」
「うわどらやき? 僕それ大好きだよ。ああ、コウには嫌いって言ったんだっけ?」
 持っていた紙袋を玄関に置き、踵を返して去ってしまう。一瞬どうすればいいか視線をさまよわせていた廉だったが、すぐに小さくこちらへ手を振り、狼へは深々と礼をしてコウを追いかけて部屋を出ていってしまった。
「……あーあ、面白くないの。最高にイジりがいがあるのにあの無反応っぷり! 面白くないと思わないねえポチ?」
「しら、ない」
 朝から何度も電気を食らって満身創痍だというのに狼の意味不明な感情に付き合っている元気などどこにも残っていない。
「ポチはポチのくせに生意気だよ」
 胸ぐらを掴まれて至近距離であの不気味な笑みを見せる。せめて晩御飯くらいは食べたかったのだが、この調子では機嫌を損ねっぱなしの狼の腹いせが夜通し続くかもしれない。
「……お腹空きました、狼サン」
「こんな時だけ殊勝になっても意味ないよ、お馬鹿なポチ」
 失敗した。これから起きるであろう事を考え、それすら嫌になって翔平は体の力を抜いた。

***

 殺されないために、殺すだけだ。
――お前の顔を見ると虫唾が走る!
 自分の身を守るために、自分が生き残るために。
――アンタは本当にあの人によく似てるね
 この世界は弱肉強食。えらい人が唱える優しいだけの人間は真っ先に狙われて食いつぶされて、惨めな死を遂げるだけだ。
 身勝手に苦しめてくる奴も、正論で決めつけてくる奴も、理解したような振りして利用する奴も、みんなみんな消えていなくなればいい。生き残るのは自分だ。
 強者であり続ければ、誰を殺しても文句は言われないのだから。
「オムライス。鶏肉は無いけど」
「何で無いの」
「お前自分で買い忘れた~って言いながら帰ってきたのもう忘れたのかよ」
 目の前に置かれたオムライスにケチャップをかけてスプーンを突き立てる。ホテルのふわふわな卵が良い、とごねてみたもののそこまでの技術は無いのか普通に薄焼き卵を巻かれてしまった。
 翔平の料理は食べられないほど悲惨なものではなかったが、料亭で食べる様なものほど洗練された味でもなかった。大抵出てくるのは一品料理ばかりで、それこそ男の一人暮らしで作るレベルの食事だ。
 食べたいものをリクエストしても大体の場合無視されるか却下されるかのどちらかで、それでも腹いせに適当な食料を買い込んでは名前もないようなよく分からない鍋や炒め物を出されるのがここ最近の日常になっている。
「即席のスープとか味噌汁買っといたら?」
「別にそこまで必要なくない? ポチデブになったらステーキにして食うよ」
「お前がいない間ちゃんと筋トレしてるし」
「へーぇ」
「あっ信じてないだろ! 最近ちゃんと腹筋割れてきたんだぞ」
 ほら、と突然シャツをめくって割れたらしい腹に手を当てる。わざわざここで報告しなくても毎晩のように服を剥いている身としてはその程度の変化などとうの昔に知っているのだけれど、自慢げに腹筋を披露する翔平がなんだか可笑しくてそのままにしておいた。
「あんまり凝ったもの作れないんだから、せめて品数増やすとか……」
「だから要らない。品数増やして何になるわけ?」
 カン、とスプーンが皿に当たり耳障りな音が響く。それに怖気づいたのか翔平はそれ以上言及することなく自分のオムライスを食べすすめた。
 コウの家に預けてからというもの、翔平は引き際を作るのが上手くなった。以前より口が悪くなっているし狼に対して尊敬の念が欠片も見られないのは問題だが、その程度のきつい言葉の応酬はコウともよくしている。
 今の会話だってそうだ。世間一般的には食事には数品出すことが常識なのだろうし、翔平もそれを言いたかったのだろうが、狼が本気で腹を立てる直前になってそれ以上の言葉を呑みこんだ。
「……別に、イイコになってほしかったわけじゃないんだけど」
「んあ?」
 スプーンをくわえようとしたままの姿で翔平が動きを止めてこちらを見る。あまりにも不細工だったので笑い飛ばしてやると、拗ねてしまったようで突然オムライスをかき込んで食べきり席を立ってしまった。
「ポチさあ、この間僕の部屋勝手に入ったでしょ」
「寝言がうるさかったから一発殴っただけだ」
 夜に眠ると、決まって悪夢を見る。
「僕を殺す絶好の機会だったんじゃない?」
 自分が手にかけた父親と母親の夢。陥れたたくさんの人間の夢。責め立てる何も知らない奴らの夢。みんなが我先にと自分に手を伸ばし、逃げようのない闇の中に引きずり込まれる。逃げられない自分は闇の中で痛くて苦しくて悲しくてたまらなくなって、どれだけ謝っても許してもらえないのに結局謝り続けるしかなくて。
「殺してほしかったのかよ」
「全然。ポチがそんなことに気付かないお馬鹿で良かったと思ってたところ」
 それを振り払うように悪行に悪行を重ね、人の好意を踏みにじり、自分の力だけで優しいだけの人の群れを踏み台に高みへと上り詰めた。汚い自分の手が汚いと思う感覚すら消えるまで、ゆっくりと自分の心を殺していったのだ。それなのに、
「後悔するならなんで殺したんだよ」
 地獄に垂らされた一本の蜘蛛の糸のように、闇に光が差した、だなんて。
「(だとしたら傲慢な自分が行く先は結局地獄か)」
 勢いよく立ち上がったせいで皿ががちゃりと音を立てる。慌てた様子で翔平が一歩引いたが、無理矢理腕を掴んでリビングに放り投げた。
「いっ、だ」
「自分が生き残るためだよ、お馬鹿なポチ」
 遠慮なく翔平の上に乗り拳を振るう。殴るのは、なんだか久々なような気がした。最近はどこか穏やか過ぎたのだ。翔平はあまりにも躾け甲斐が無くなってしまったから。
「痛いのは嫌だから、死にたくないから、だから殺した。何が悪い?」
 そもそも、なんでまだ苦しめられなければいけないのだろうか。
「ッ、お前がそう思ってないから、謝るんだろ」
 自分で自分を許せてないから。
「……今日は何して遊ぼうか、ポチ?」
 ゆっくりを弧を描く口とは裏腹に心は冷めていく。自分は、負けていない。だからまだ、勝者だ。どれだけ敗者が喚こうと、自分が勝ち続ければいいだけの話だ。たったそれだけの単純な世界なのだから。
 いつも通り道具を使って翔平の体を好きに弄り倒す。心底嫌そうな顔をするのに仕込まれた彼の体はいつだって少し良い所を刺激してやるだけで簡単にとろける。なんて可哀想な奴隷なのだろうか。
 狼がしてきたことが理解できないくらいに普通の世界で育ってきたはずなのにこんな体にされて、奴隷として一生を終える運命になってしまうだなんて。
「きょう、は……おれが、する」
 散々好きにされた体を引きずりながら翔平は狼の上に乗る。ここ最近はどういう風の吹き回しか、挿入時にリードしたがるようになった。
 好き勝手にされたくないがための苦肉の策だと分かってはいるのだが、毎日反抗的な翔平がこの時ばかりはしおらしく自分の上で言うことを聞いているかわいらしい姿を拝む事が出来るので、些細な優越感を感じられて嫌いではなかった。
「なんだかんだ言って気持ちいいこと大好きだね、ポチ」
「うっさい……ん、ぁ」
 ゆっくりと腰を落とし、狼の屹立を柔らかくなった後孔が飲み込んでいく。腹に突いている手が時折ぴくりと震え、少し進む度に喜ぶかのように後孔が不規則に収縮を繰り返す。
「ほんと、おっそいんだから」
「んゃ、あ!?」
 翔平の腰を掴み一気に引き下ろす。同時に腰を上げて打ち付けると、勢いよく翔平の背がしなり、開きっぱなしの口からだらしない嬌声をあげた。
「そんなんじゃいつまでたっても、終わらないよっ」
「あ、だめ、うごくな、ぁっ」
 奥まで押し入れる度にこつこつと当たる最奥に踏み入れるために掴んでいた腰をさらに前に引き寄せ、退かないままさらに深くへとゆっくり押し込んでいく。
「いぁっ……それ、やだ、おくだめ、っ!」
「ほーら、結腸気持ちいいね」
「ぁ、ああっ!」
 翔平が体を保てなくなったのか前に倒れ込み、その反動で奥まで入り込んでいた屹立が少し戻る。何度やっても結腸だけは嫌いなのか翔平はぽろぽろと泣きながら額を狼の胸に押しつけた。
 もちろんそんなことで許してやるような優しい人間ではないが、この状態からこの男がどう動くのかは少し興味がある。
「ほらポチ、頑張れ」
「……ぁ、」
 肩を押して翔平の体をもう一度押し上げる。ぼんやりとこちらをみた瞳が不意に一瞬煌めいた、ような気がした。
「……ぇ、た」
 突然翔平の両手が勢いよく飛びつき、寝そべっている狼の首を絞める。
「……え?」
「つか、まえた」
 容赦ない力で首が締まっていき、声を出すことはおろか息をすることも出来なくなる。
「ずっと逃がしてくれれば許してやろうと思ってたけど、気が変わった。お前は俺が責任もって殺してやる」
 どれだけ躾と称して痛めつけてプライドを踏みにじっても死ぬことの無かったまっすぐな目が狼を睨みつける。その力の強さは、今までの子犬のような反抗とは比べものにならなかった。
 この世は弱肉強食だ。強い者が食らい、弱い者が食らわれる。けれど、ほんの少しでも油断すれば蟻ですら蟷螂を食い物にする世界だ。
 翔平は弱者でありながらただひたすらに機を窺っていた。狼が油断するほんの一瞬を、手に掛けられるたった一度きりのチャンスを。
「……は、」
 だとするなら、天晴れだ。
「……おまえ、を」
 酸素が足りなくなり、歪む視界の中でゆっくりと翔平の頬に手を添える。
「おまえを、ころさなくて、よかった」
 これだけ強い獣に食い殺されるのなら、本望だ。
「……は?」
 動揺したのか、一瞬だけ翔平の手が緩む。ほんの少しだけできたその隙に腹を蹴り上げて翔平を跳ね除けた。首を絞めていた手があっけなく離れ、ベッドから転げ落ちた体を容赦なく踏みつぶした。
「はい残念、油断したお前の負け」
「あ、ぐっ!」
 いざという時に弱さを見せる様な奴に殺されてやるわけにはいかない。
「ポチお人よしって言われたことない? あれだけ痛い目に遭わせたのにちょっと弱み見せただけで躊躇するなんてさ」
 体をねじって狼の下から抜け出した翔平が息を荒げながらずり下がる。あれだけ猛獣のような強い光を放っていた瞳は今では揺れるだけの滑稽なものになり下がっていた。
「あ、んなの……反則だろ」
「反則だろうが最後に生き残った方が勝ちなんだよ。よく覚えときな、お馬鹿なポチ」
 近寄る狼から逃げているつもりなのか翔平は尻を付いたままずるずると後退していくが、壁際まで追い込んだところで観念したようにきつく口を噤んだ。
「僕は生き残るためなら誰だって殺す、勝つためならどんな優しい奴だって陥れる、そうしなきゃこんな汚い世の中で生きていけないからね」
 翔平の顎を掬い、視線を合わせる。まだどこかで怯えが残っているくせに少しでも気を緩めれば噛み付かれそうな威嚇に思わず笑いがこぼれた。
「僕が間違ってることを証明するには僕が負けるしかない、死ねば自動的に負けになる。死なない限り僕は正しくて紛れもない勝者だ」
「……そ、んな、の」
「だからさ、僕の事を殺してみなよ」
 殺されても良いやなどと思ったのは、生まれて初めてだったのだ。
「……そこまで言うなら、もう少し隙作れよ」
「やなこった。こっちが手抜かないと勝てないような奴に負けるつもりはないからね」
 物心ついた時から間違え続けた自分を誰かに罰してほしい? 否、そんな崇高な思いではない。これはただのゲームだ。どちらが最後まで生き残れるか、勝者と敗者を決めるだけのちゃちなゲーム。そこに何を賭けるかなんて自由だろう。
「とりあえず今日はこれからお仕置きね」
「は? あ、やだ待て、それっ!」
 ベッドの下から取り出した道具たちに翔平が青ざめて逃げ出そうとするが組み伏せて阻止する。そもそも逃げたところで逃げ場など無いと何度も教えているはずなのに未だに逃げ出そうとするのは本当に馬鹿なのか、彼なりのせめてもの抵抗なのか。
「……はやく殺してね、ポチ」
 しびれを切らして自分が先に彼を手にかけるようなことにならないうちに。



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