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おじさん♡溺愛されます①
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セス♡
シルクの柔らかな寝間着を一枚まとっただけのリリィは美しい。
薄い桃色の生地がアイボリーの肌によく似合う。
私は愛らしい君が好きだ。
君が素敵だというだけで、私は心躍らせる。
多忙を極める日々でもその姿を思い起こすだけで、奮い立つ。
君を得た事で今がある。
以前は忙しさにすら見捨てられ、退廃の引き潮の中いた。
今の私は活力に満ち溢れ仕事に励む喜びと、妻を愛する悦びの中にある。
けれど今は浮ついてなど、いられない。
「昨夜はすまなかった」
里心がついて時に寂しげな君のために、妻の祖国の料理人を招いた。
しばらく食事をしていなかったリリィは、珍しくよく食べ、よく笑った。
料理人はβ種のよく喋る女性だった。
それは楽しい晩餐の席となった。
しかし料理人がリリィを目当てにした不審者について口を滑らせてしまった。
彼女なりにリリィを心配しての事だろうが、安易に口を挟むべきではない。
我々は妻を怖がらせたくない。
リリィは貴重な存在である。
危険に晒される事は当然だ。
けれどそんな事は決して君の可憐な耳に入れてはならない。
我々の宝物は、決して瑕ついてはならない。
妻は自身が危険に晒されている事を初めて知り、ショックを受けたのだろう。
和やかな場は乱れ、驚きと困惑に取り乱す君が可哀想でたまらなかった。
全く、台無しだった。
「ううん、平気。…それよりあの料理人さんは大丈夫だった?」
君はいつだって優し過ぎる。
「彼女なら無事に帰国した」
やはりβ種は油断がならない。
私は憮然となり、口を結んだ。
対して君は物言いたげに私をみる。
やはり恐ろしさに怯えているのだろう。
なんて可哀想な君。
私は思わず妻を抱きしめた。
君の香りがする。
私は少しばかり気を取り直す。
そのほっそりとした肩で肩紐が緩んでいるのに、ふと気づいた。
今にも解けそうで私は手をのばして蝶々のように結び直した。
妻が一瞬だけピクリとその身を震わせる。
「…ありがとう、セス」
君は吐息を吐くように言った。
妻の戸惑いが伝わってきた。
何も心配する事などない。
私とマックスが君を守る。
そう何度も伝えていた。
でもなぜか心に響かないようだった。
いつだってリリィは微笑みながら頷いて、不安気に揺れる瞳のままでそっと俯くのだ。
私はそれが気に入らない。
不満があるなら教えて欲しかった。
妻はβ種として生まれ育ちΩ種になった人だ。
そのどちらの種族でもない私には、知り得ない事がある。
これまでは知ろうともしなかった。
私にとってβ種の実情などはあまり重要ではなかった。
しかし今となっては違う。
私達は最愛の妻を理解するために努めるべきだ。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
シルクの柔らかな寝間着を一枚まとっただけのリリィは美しい。
薄い桃色の生地がアイボリーの肌によく似合う。
私は愛らしい君が好きだ。
君が素敵だというだけで、私は心躍らせる。
多忙を極める日々でもその姿を思い起こすだけで、奮い立つ。
君を得た事で今がある。
以前は忙しさにすら見捨てられ、退廃の引き潮の中いた。
今の私は活力に満ち溢れ仕事に励む喜びと、妻を愛する悦びの中にある。
けれど今は浮ついてなど、いられない。
「昨夜はすまなかった」
里心がついて時に寂しげな君のために、妻の祖国の料理人を招いた。
しばらく食事をしていなかったリリィは、珍しくよく食べ、よく笑った。
料理人はβ種のよく喋る女性だった。
それは楽しい晩餐の席となった。
しかし料理人がリリィを目当てにした不審者について口を滑らせてしまった。
彼女なりにリリィを心配しての事だろうが、安易に口を挟むべきではない。
我々は妻を怖がらせたくない。
リリィは貴重な存在である。
危険に晒される事は当然だ。
けれどそんな事は決して君の可憐な耳に入れてはならない。
我々の宝物は、決して瑕ついてはならない。
妻は自身が危険に晒されている事を初めて知り、ショックを受けたのだろう。
和やかな場は乱れ、驚きと困惑に取り乱す君が可哀想でたまらなかった。
全く、台無しだった。
「ううん、平気。…それよりあの料理人さんは大丈夫だった?」
君はいつだって優し過ぎる。
「彼女なら無事に帰国した」
やはりβ種は油断がならない。
私は憮然となり、口を結んだ。
対して君は物言いたげに私をみる。
やはり恐ろしさに怯えているのだろう。
なんて可哀想な君。
私は思わず妻を抱きしめた。
君の香りがする。
私は少しばかり気を取り直す。
そのほっそりとした肩で肩紐が緩んでいるのに、ふと気づいた。
今にも解けそうで私は手をのばして蝶々のように結び直した。
妻が一瞬だけピクリとその身を震わせる。
「…ありがとう、セス」
君は吐息を吐くように言った。
妻の戸惑いが伝わってきた。
何も心配する事などない。
私とマックスが君を守る。
そう何度も伝えていた。
でもなぜか心に響かないようだった。
いつだってリリィは微笑みながら頷いて、不安気に揺れる瞳のままでそっと俯くのだ。
私はそれが気に入らない。
不満があるなら教えて欲しかった。
妻はβ種として生まれ育ちΩ種になった人だ。
そのどちらの種族でもない私には、知り得ない事がある。
これまでは知ろうともしなかった。
私にとってβ種の実情などはあまり重要ではなかった。
しかし今となっては違う。
私達は最愛の妻を理解するために努めるべきだ。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
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