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おじさん♡純愛です
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ステラマリア♡
「リリィ♡今日のお衣装ですよ。お靴はこちら…」
我が妹、リンダマリアは新調したばかりのお人形とそのお道具に夢中です。
それは西欧の少女が初めての節句に決まって与えられる、伝統のお人形だ。
「アリィエール、いかがでしょう!」
彼女はグレィテールが末妹と仲がよろしい。
「まあ、リンダマリア。とても素敵♡百合づくしになさいましたのね!」
本日の彼女達は、領主様のお召しでお城に参内する誉れに預かっております。
その支度の仕上げに、少女は手持ちのお人形を着せ替えておいでだ。
「ええ!やはりリリィには百合のお花が良いでしょう♡色味はいかがかしら。髪色に合わせましたの。薄いピンクは肌色にも映えますでしょう!」
以前のお人形は金髪で白い肌でした。
新しいお人形は黒髪で象牙色の肌です。
「素晴らしい采配です♡後は髪飾りと、結い上げの仕方ですわねぇ」
お二人は仲良く一つのお人形のお世話を分かち合い、勤しんでおられます♡
だって!
アリィエールの手持ちのお人形は前のリリィのままなのです。
彼女はお行儀悪く、その事を不満だ等とは仰らぬ。
しかし、リンダマリアの新しいお人形がやはり羨ましいのでしょうね♡
当然だわ!
今生のリリィは歴代の女王を遥かにしのぐ、美器で御座いますもの♡
「いとも愛らしい光景ですわね、ステラマリア♡」
「ええ!グレィテール。それに懐かしいわ。私達も熱心にお世話したものです♡」
幼くとも気高く、美々しき小公女達がお人形遊びに興じておられる。
幼気で他愛いなく、実に無邪気で和やかだ。
しかし、これは来たるその日の為のお勉強でもございます。
「リンダマリア!髪飾りにこちらはいかが?真珠に絹のリボン♡」
「良いわ!お目々の黒瞳の艶が、真珠の光り方とお揃いです♡」
よくお気づきになりました!
リンダマリアの『リリィ』の目は黒真珠が使われております。
ガラス玉の奥に黒真珠を沈め、ピッチリと閉じ込めてあるの♡
アリィエールの『リリィ』は瞳に磨き抜かれた黒曜石を使用するのだという。
極上の石の取り寄せに手間取り、今回の参内に間に合わなかったのは残念だ。
しかし、新旧の『リリィ』が揃いぶみとなるのは案外と良い演出かもしれぬ。
「未来の侍女候補は優秀ですわね♡」
グレィテールが満足気な笑みで後輩を褒め称える。
「ねえ♡きっと最良の侍女に成り上がるわ!」
それは中欧の全α少女、共通の夢♡
…しかし、これはずっと叶わぬ夢だった。
けれど今、ようやく…
私達はその夢を叶えようとしている!
それは、とても幸運なこと。
…ああ、喜びがまた胸に迫る。
同胞たる少女達を見つめつつ、つい郷愁に浸ってしまいますわね!
すると、マディリーンが先触れに参られた。
「さあ、お嬢様方!お人形も貴女方も良く良く仕上がっておられます♡いざ、控えの間に参りましょう」
「はい!」
少女達は期待と興奮に頬を紅潮させ、爽やかにお返事なさいました。
そして、いそいそとお姉様に付き従って行かれた。
…この娘らの為にも、此度の任務を成功させねばなりませぬ。
「では、グレィテール。我らも参りましょう」
「ええ、ステラマリア。久しぶりに五人官女がお揃いよ♡」
「そう!嬉しいわ♡楽しみだこと」
この数ヶ月というものを、リリィの速やかなる戴冠が為、私達は忙しく立ち働いて参った。
それを本日、一堂に会するようにと召集されるに至った。
我らがクラウディア公が、いよいよ動かれます。
この日を待ちわびておりました!
遂に、リリィが正しい身分に立たれるのです。
これでようやっと!
男性方から我が主の奪還が叶うだろう。
我が王の采配とはいえ、腹の煮える日々だった…
慈しみの君、クラウディア様。
先だっての御子息の失態に、一度は激怒なさったものの…
結局はお許しになってしまった。
その事には我ら一同、酷い憤りを持て余したものだ!
けれど。
リリィは当の夫達と仲睦まじく…
その福々とした様子を見守るうちに、いつの間にか私達の身の内は穏やかに澄んでしまったの。
それに!
リリィがアレクサンドールを新夫と迎えた事も大きく影響した。
新たな男手でを得たあなたは、精食も満ち足りて…
体調も宜しく健やかでつつがない!
素敵です。
これで次の受胎にも抜かりがなくなりました♡
そして、なにより!
リリィの妊娠が非常に順調なのです♡
まさかこんなにも早く、あなたの腹部がまろみを帯びるのを見ようとは…
思いもよらなんだ♡
ついに、ここに至って…
御方様はリリィの側近くに侍る事が出来ぬ不便に、我慢の糸をお切らしになりました。
だって、あなたは日増しにΩらしくお成りなのですもの♡
それを見逃して良い筈が無い!
御方様の心中はお察しして、余りある。
こうなれば、三年を待たぬとも出産が成るかも知れぬのだ。
それはもう、居ても立っても居られない♡
・:*+.\(( °ω° ))/.:+
「リリィ♡今日のお衣装ですよ。お靴はこちら…」
我が妹、リンダマリアは新調したばかりのお人形とそのお道具に夢中です。
それは西欧の少女が初めての節句に決まって与えられる、伝統のお人形だ。
「アリィエール、いかがでしょう!」
彼女はグレィテールが末妹と仲がよろしい。
「まあ、リンダマリア。とても素敵♡百合づくしになさいましたのね!」
本日の彼女達は、領主様のお召しでお城に参内する誉れに預かっております。
その支度の仕上げに、少女は手持ちのお人形を着せ替えておいでだ。
「ええ!やはりリリィには百合のお花が良いでしょう♡色味はいかがかしら。髪色に合わせましたの。薄いピンクは肌色にも映えますでしょう!」
以前のお人形は金髪で白い肌でした。
新しいお人形は黒髪で象牙色の肌です。
「素晴らしい采配です♡後は髪飾りと、結い上げの仕方ですわねぇ」
お二人は仲良く一つのお人形のお世話を分かち合い、勤しんでおられます♡
だって!
アリィエールの手持ちのお人形は前のリリィのままなのです。
彼女はお行儀悪く、その事を不満だ等とは仰らぬ。
しかし、リンダマリアの新しいお人形がやはり羨ましいのでしょうね♡
当然だわ!
今生のリリィは歴代の女王を遥かにしのぐ、美器で御座いますもの♡
「いとも愛らしい光景ですわね、ステラマリア♡」
「ええ!グレィテール。それに懐かしいわ。私達も熱心にお世話したものです♡」
幼くとも気高く、美々しき小公女達がお人形遊びに興じておられる。
幼気で他愛いなく、実に無邪気で和やかだ。
しかし、これは来たるその日の為のお勉強でもございます。
「リンダマリア!髪飾りにこちらはいかが?真珠に絹のリボン♡」
「良いわ!お目々の黒瞳の艶が、真珠の光り方とお揃いです♡」
よくお気づきになりました!
リンダマリアの『リリィ』の目は黒真珠が使われております。
ガラス玉の奥に黒真珠を沈め、ピッチリと閉じ込めてあるの♡
アリィエールの『リリィ』は瞳に磨き抜かれた黒曜石を使用するのだという。
極上の石の取り寄せに手間取り、今回の参内に間に合わなかったのは残念だ。
しかし、新旧の『リリィ』が揃いぶみとなるのは案外と良い演出かもしれぬ。
「未来の侍女候補は優秀ですわね♡」
グレィテールが満足気な笑みで後輩を褒め称える。
「ねえ♡きっと最良の侍女に成り上がるわ!」
それは中欧の全α少女、共通の夢♡
…しかし、これはずっと叶わぬ夢だった。
けれど今、ようやく…
私達はその夢を叶えようとしている!
それは、とても幸運なこと。
…ああ、喜びがまた胸に迫る。
同胞たる少女達を見つめつつ、つい郷愁に浸ってしまいますわね!
すると、マディリーンが先触れに参られた。
「さあ、お嬢様方!お人形も貴女方も良く良く仕上がっておられます♡いざ、控えの間に参りましょう」
「はい!」
少女達は期待と興奮に頬を紅潮させ、爽やかにお返事なさいました。
そして、いそいそとお姉様に付き従って行かれた。
…この娘らの為にも、此度の任務を成功させねばなりませぬ。
「では、グレィテール。我らも参りましょう」
「ええ、ステラマリア。久しぶりに五人官女がお揃いよ♡」
「そう!嬉しいわ♡楽しみだこと」
この数ヶ月というものを、リリィの速やかなる戴冠が為、私達は忙しく立ち働いて参った。
それを本日、一堂に会するようにと召集されるに至った。
我らがクラウディア公が、いよいよ動かれます。
この日を待ちわびておりました!
遂に、リリィが正しい身分に立たれるのです。
これでようやっと!
男性方から我が主の奪還が叶うだろう。
我が王の采配とはいえ、腹の煮える日々だった…
慈しみの君、クラウディア様。
先だっての御子息の失態に、一度は激怒なさったものの…
結局はお許しになってしまった。
その事には我ら一同、酷い憤りを持て余したものだ!
けれど。
リリィは当の夫達と仲睦まじく…
その福々とした様子を見守るうちに、いつの間にか私達の身の内は穏やかに澄んでしまったの。
それに!
リリィがアレクサンドールを新夫と迎えた事も大きく影響した。
新たな男手でを得たあなたは、精食も満ち足りて…
体調も宜しく健やかでつつがない!
素敵です。
これで次の受胎にも抜かりがなくなりました♡
そして、なにより!
リリィの妊娠が非常に順調なのです♡
まさかこんなにも早く、あなたの腹部がまろみを帯びるのを見ようとは…
思いもよらなんだ♡
ついに、ここに至って…
御方様はリリィの側近くに侍る事が出来ぬ不便に、我慢の糸をお切らしになりました。
だって、あなたは日増しにΩらしくお成りなのですもの♡
それを見逃して良い筈が無い!
御方様の心中はお察しして、余りある。
こうなれば、三年を待たぬとも出産が成るかも知れぬのだ。
それはもう、居ても立っても居られない♡
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