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おじさん♡諦めません
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アレックス♡
ルーランス王は一昨年、三十路の門を無事にくぐられた。
強き力が有れば、ある程に…
短命にして早逝するのが、α貴公子の宿命である。
しかし、彼はその呪いを打ち破る強運をお持ちだった。
ルーランスが民は強き王を祝福し、盛大なる誕生祭を催して、その偉業を讃えた。
以降、その日は国民の祝日とされている。
それ程に…
青年期を全うする事が、α男性の上位者にとっては難しい。
彼は非常に恵まており、真実に強運の持ち主なのだ。
彼は心身共に剛健であり、能力にも長けたる御仁であり…
私が、愛してやまぬ方である。
ルーランス公ヴィクトール=ジ=ラ・グウィネズ。
我が、異父兄で御座る。
ルイスが領主の花盛りのあの城で…
兄上は『リリィ』と番われるであろう。
そして、盛大なる花祭りで!
御結婚を披露なさるのだ。
私には、見送る事しか出来なんだ…
視作生の愛の恩恵を受けた私には、実は他の手立てもあった。
私には、愛する妻を拐う事も出来たのだ。
そうして隠してしまう事すら、出来た。
だが、私はしなかった。
何故なら私には、望みがある。
それは私と、私の敬愛する兄上方と…
何より愛する視作生とが織りなす、美しい未来だ!
若輩者では御座います。
ですが、私は妻が為に!
精一杯に働く所存だ。
その為に、私は無謀を止した。
そうして、私は操り人形として使用される。
「アレクサンドール、おいでなさい」
グレイテール嬢は、疲労の色濃きお声で命じた。
「貴方のお力が、それで…ほんに良かったわ」
姉上のその声がけで、私は承知した。
自分が、為さねばならぬ事ごとを。
私は、指図されずとも向かった。
そして、息をのんだ。
応接の間は、セバスティアンの流した赤い血の匂いに満ちていた。
力尽きた兄上は、冷たく白い大理石に倒れ臥している。
「アレクサンドール。若君を塔へお連れなさい。そして安らかにして、差し上げて」
姉上はその様に指図なさった。
私は彼女の意のままに、その通りにしましょう。
親愛なる兄上を肩に担ぎ、心が取り乱さぬよう…
気をつけながら、光なき場所に向かった。
兄上。
私は頑張ります。
此度の事には、その価値が有る。
何故なら、私には、分かっておるのです!
クラウディア様率いる淑女方と、視作生が和やかに過ごされたあのひと時は…
決して、見せかけでは無かった。
私はその場に居らずとも、感じていたのだ。
女性方の真に慕わしげな、愛情に満ちた御心を!
彼女達は『視作生』を可愛がっておられた。
あの人を知って、それで愛さずになどいられようか!
だから、私は諦めぬ。
こうなったら、私が…
私だけが、我が妻が為に動く駒となれよう。
私は、きっと切札になる。
そして、必ずや君を取り戻してみせよう!
\\\٩(๑`^´๑)۶////
ルーランス王は一昨年、三十路の門を無事にくぐられた。
強き力が有れば、ある程に…
短命にして早逝するのが、α貴公子の宿命である。
しかし、彼はその呪いを打ち破る強運をお持ちだった。
ルーランスが民は強き王を祝福し、盛大なる誕生祭を催して、その偉業を讃えた。
以降、その日は国民の祝日とされている。
それ程に…
青年期を全うする事が、α男性の上位者にとっては難しい。
彼は非常に恵まており、真実に強運の持ち主なのだ。
彼は心身共に剛健であり、能力にも長けたる御仁であり…
私が、愛してやまぬ方である。
ルーランス公ヴィクトール=ジ=ラ・グウィネズ。
我が、異父兄で御座る。
ルイスが領主の花盛りのあの城で…
兄上は『リリィ』と番われるであろう。
そして、盛大なる花祭りで!
御結婚を披露なさるのだ。
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私には、愛する妻を拐う事も出来たのだ。
そうして隠してしまう事すら、出来た。
だが、私はしなかった。
何故なら私には、望みがある。
それは私と、私の敬愛する兄上方と…
何より愛する視作生とが織りなす、美しい未来だ!
若輩者では御座います。
ですが、私は妻が為に!
精一杯に働く所存だ。
その為に、私は無謀を止した。
そうして、私は操り人形として使用される。
「アレクサンドール、おいでなさい」
グレイテール嬢は、疲労の色濃きお声で命じた。
「貴方のお力が、それで…ほんに良かったわ」
姉上のその声がけで、私は承知した。
自分が、為さねばならぬ事ごとを。
私は、指図されずとも向かった。
そして、息をのんだ。
応接の間は、セバスティアンの流した赤い血の匂いに満ちていた。
力尽きた兄上は、冷たく白い大理石に倒れ臥している。
「アレクサンドール。若君を塔へお連れなさい。そして安らかにして、差し上げて」
姉上はその様に指図なさった。
私は彼女の意のままに、その通りにしましょう。
親愛なる兄上を肩に担ぎ、心が取り乱さぬよう…
気をつけながら、光なき場所に向かった。
兄上。
私は頑張ります。
此度の事には、その価値が有る。
何故なら、私には、分かっておるのです!
クラウディア様率いる淑女方と、視作生が和やかに過ごされたあのひと時は…
決して、見せかけでは無かった。
私はその場に居らずとも、感じていたのだ。
女性方の真に慕わしげな、愛情に満ちた御心を!
彼女達は『視作生』を可愛がっておられた。
あの人を知って、それで愛さずになどいられようか!
だから、私は諦めぬ。
こうなったら、私が…
私だけが、我が妻が為に動く駒となれよう。
私は、きっと切札になる。
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\\\٩(๑`^´๑)۶////
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