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おじさん♡ひかれました④
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ヴィクトール♡
酷い疲労を感じる。
しかし、眠る事は出来ない。
目を閉じれば、瞼の裏に浮かぶのだ。
激しい損傷を受け、それでも妻の元に駆けつけずにはおれなかった、青年の姿が…
余は、彼に嫉妬している。
…彼の放った言葉が、胸に触ったのだ。
『彼を、愛しなさい』
無論のことだ。
リリィは恩恵垂れる女王で、余は選ばれし番いである。
Ωとαは愛し合うものだ。
当たり前の事を、彼は言ったまでだ。
言うに及ばぬ事だった。
…しかし、なんとも気に触る。
彼は乱心の上に狂気をきたしていた。
故にその言動を真に受ける必要は無い。
分かっている。
…それでも、気がすまぬのだ!
彼はこうも言った。
『彼と、向き合いなさい』
この麗しい『御人形』と、彼はどう向き合ったのだろうか。
幼い少女のするように『リリィ』に話しかけていたのか。
余に、この俺に!
ままごと遊びをしろと言うのか。
馬鹿馬鹿しい。
気味が悪い。
それから彼は、確かこうも言った。
『知るべきだ』
それは一体、何ぞをや。
何を知らせたいのだ。
不可解であり、理解を超える。
…セバスティアン、見損なったぞ。
貴殿は頼もしい友人であった。
君の相方であるマクシミリアンもそうだった。
余は君達が可愛かったのだ。
我を兄とも慕い、熱く澄んだ瞳で敬慕の念を示してくれた。
それが王として数々の苦難に立たされし時、精神の支えとなっていた。
我々は皆、稀少なる上位者である。
共感を有する、得難い存在でもあるのだ。
余は先輩として、少年達の希望でなくてならなかった。
君達を決して失望させぬ。
その矜持が余の背を正して参ったのだ。
そうして我が切り開いた道を、君達に託すはずだった。
しかし、当の若者らは身を持ち崩してしまった。
この、魔性の『リリィ』が為に!
余は彼らを失ってしもうた!
…いや、違う。
そうでは、無い。
俺は、問題をすり替えたいのだ。
…無様だ。
俺らしくもない逡巡をしては、傷つけられた誇りを補おうとしている。
この、俺が!
何たる醜態であろう。
俺は、酷く苛立っている。
リリィとの初夜は、成らなかった。
女王の秘所は頑なで…
俺を拒んで一切、開かなかった。
見かねたルイスが領主に、諌められた程だ。
「いけませぬ。リリィは破瓜によってのみ、傷つけられるものだ」
…我を失ったのは、俺の方だ。
君が、欲しくてたまらないのに!
それでも、獣の様に、君を犯さずに済んだのは…
それこそは、なけなしの…
王の矜持の為だった。
\\\٩(๑`^´๑)۶////
酷い疲労を感じる。
しかし、眠る事は出来ない。
目を閉じれば、瞼の裏に浮かぶのだ。
激しい損傷を受け、それでも妻の元に駆けつけずにはおれなかった、青年の姿が…
余は、彼に嫉妬している。
…彼の放った言葉が、胸に触ったのだ。
『彼を、愛しなさい』
無論のことだ。
リリィは恩恵垂れる女王で、余は選ばれし番いである。
Ωとαは愛し合うものだ。
当たり前の事を、彼は言ったまでだ。
言うに及ばぬ事だった。
…しかし、なんとも気に触る。
彼は乱心の上に狂気をきたしていた。
故にその言動を真に受ける必要は無い。
分かっている。
…それでも、気がすまぬのだ!
彼はこうも言った。
『彼と、向き合いなさい』
この麗しい『御人形』と、彼はどう向き合ったのだろうか。
幼い少女のするように『リリィ』に話しかけていたのか。
余に、この俺に!
ままごと遊びをしろと言うのか。
馬鹿馬鹿しい。
気味が悪い。
それから彼は、確かこうも言った。
『知るべきだ』
それは一体、何ぞをや。
何を知らせたいのだ。
不可解であり、理解を超える。
…セバスティアン、見損なったぞ。
貴殿は頼もしい友人であった。
君の相方であるマクシミリアンもそうだった。
余は君達が可愛かったのだ。
我を兄とも慕い、熱く澄んだ瞳で敬慕の念を示してくれた。
それが王として数々の苦難に立たされし時、精神の支えとなっていた。
我々は皆、稀少なる上位者である。
共感を有する、得難い存在でもあるのだ。
余は先輩として、少年達の希望でなくてならなかった。
君達を決して失望させぬ。
その矜持が余の背を正して参ったのだ。
そうして我が切り開いた道を、君達に託すはずだった。
しかし、当の若者らは身を持ち崩してしまった。
この、魔性の『リリィ』が為に!
余は彼らを失ってしもうた!
…いや、違う。
そうでは、無い。
俺は、問題をすり替えたいのだ。
…無様だ。
俺らしくもない逡巡をしては、傷つけられた誇りを補おうとしている。
この、俺が!
何たる醜態であろう。
俺は、酷く苛立っている。
リリィとの初夜は、成らなかった。
女王の秘所は頑なで…
俺を拒んで一切、開かなかった。
見かねたルイスが領主に、諌められた程だ。
「いけませぬ。リリィは破瓜によってのみ、傷つけられるものだ」
…我を失ったのは、俺の方だ。
君が、欲しくてたまらないのに!
それでも、獣の様に、君を犯さずに済んだのは…
それこそは、なけなしの…
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\\\٩(๑`^´๑)۶////
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