リリィは可愛い(*´꒳`*)おじさん♡Ωに覚醒〜おサイコでαな旦那サマと結ばれて…からの、闘いの物語です!\\\٩(๑`^´๑)۶////

志村研

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おじさん♡います

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アレックス♡

私は非常に、曖昧な身分で御座います。

ある時は東の大国の後継者であり、またある時は北の古都の世継ぎでもある。

「ダルツェ公国の御使者殿、こちらへ」
只今の私は東の大国の若君として、取り扱われている。

今宵、私は女王の晩餐の会に招かれた。

これは女王とルーランス公国が王の婚約披露の前夜祭に等しい。
故に、西欧の全ての国より特使が馳せ参じていた。

西の大国ルーランス公国が領主、ヴィクトール様は新夫として女王の隣席に座しておられる。

…しかし、余り御顔の色が優れぬ様だ。

彼らしくもない。

いつも鷹揚とした方で、その明朗闊達さが凛々しい御身から溌剌と感じられる。
その様な、お人柄なのだ。

とても昨日に、女王との初夜を得た男とは思えぬ。

…何か、お有りだ。

それは、ある意味で希望です。
しかし、ある意味では失望だ。

視作生は彼の意に添わぬ性交を、強行されずに済んだかもしれない。

だとしたら、ヴィクトールの精神の強靭なることは凄まじい!
あの様なΩ女王を前に堪えたるなど、超人だ!

そう、私の兄は、至高の男性である。

その彼が、その身分に相応しく無い仕打ちを受けたのだとしたら!

私は、どうしても口惜しい。
彼は、愛されるべきだ御方だから!

…悩ましい事だ。

視作生の心身の健やかさは守られた。
しかし、兄上は苦悩の為に御力を揺らがせておられる。

王の御力の前で、私の如き若輩者はその足元にも及ばぬものだ。

しかし、只今の私には視作生が居てくださる。
お側に侍れずとも、この身の内には恋しい君の愛が宿っています。

『アレクサンドール…』
ああ、何という事でしょう。
…薄らとでも、聴こえる。

視作生の恩恵により、私の能力が規格外の威力を発揮した。

『ずいぶんと、凛々しゅうなった』
上位者たる王の御心が!
聴こえます…

兄上、お会いしとうございました。
しかしそれが容易く許されぬ、私達でございます。

『これが、彼に愛されし、男であるか…』
御顔には、全くと表れてはおらぬ。
しかし、兄上は私を羨んでいらっしゃる。

『気に、恐ろしきかな!この俺が、弟に、この少年に!』
…兄上、僭越ながら!
私は成人いたしましたよ!
最早、青年です!

『羨望を、抱くなど!あり得ぬ…』
貴方の様な方が、私にそれを抱く等とはあり得ぬ事でございます。

しかし、あり得ぬ事が起こりましたか!
ああ、それは、それでは…

「ルーランス王、時期に花嫁が参られまする。祝い花を御胸に」
先触れに参られたブレンダリー様が、私の『読心』を破った。

彼女は私と兄上の間に立つと、新夫の御胸に『リリィの花飾り』を刺した。

そして、私の視線に気付いた摂政様は訝しみながら、こちらに向かっておいでになった。

いけない。
私が、姉の術中を抜け出している事を気取られてはならぬ!

女王の侍女は、私の胸に手を伸ばした。
…気づかれたか!

「ダルツェの若君、花飾りが乱れておりますわよ」
「…かたじけない」
申し訳ござらぬ。
御恥ずかしゅうございます、叔母上。

「さあ、これでよいわ。ほれ、大人しゅう御座りになって」
まるで幼児にするように…
気安く肩に手をかた彼女は、撫でる仕草で促した。

ブレンダリー様には、幼児の頃よりご面倒をおかけしている。

私には、ヴィクトールの他に家族が無い。
幼少期の私は、ある政治闘争の渦中にあった。
母方の血筋を縁に、ルイスが後見に立った事で私は救われた。

その様な故あって、私はこの方とそしてクラウディア様に、末の息子として躾けて頂きました。

御恩ある大尽だ。
慈愛ある、御婦人方なのだ。

此度の暴挙が、心無い仕打ちが、彼女達の全てでは無い。
私は知っております。

ついと郷愁に気をとられた私は、兄上の心情から、肝心なる部分を聞き損ねている。

歯軋りする胸の内を押し殺し、私は席に着席した。

…気を鎮め、耳を澄ませ。

周囲には各国からの使者達が御着席になっていた。
皆様、祝意も露わに浮かれておいでだ。

当然である。
Ω女王が立位すれば、いずれ全国にもその恩恵が垂れる日が来るのだから!

「暗黒時代の終焉ですな!」
「心躍る西欧が開花期の幕開けだ!」
「ルイス万歳!」
「ルーランス王、万歳!」
まだ宴が始まる前から、大変な賑やかしさである。

この浮き足立ち様では、いざ女王がお出ましになった時、彼らは失神しかねぬのではないか。
そんな心配に、私はまたついと気を削がれる。

すると唐突に、兄上の胸の呟きが私の耳を突いた!
『茶番だ』

…ヴィクトールは、苦悩しておいでだ。
『俺は、彼の…女王の番いでは、無い』

そう、なのですね。

…初夜は、成りませんでしたか。
それはお気の毒でございます。

とても、残念です。
酷く矛盾しているが、本心だ。

それに!

兄上と、私と、視作生が同じ場にあるのなら…
もっと晴れ晴れしい、場であるべきだ。

この様な、葬儀にも等しき重苦しさは…
あんまりです。

セバスティアンとマクシミリアンの、視作生との婚儀は素晴らしかった!

それはごく身内のみの、ささやかなものだった。
しかし、私の胸を打った。

ルイスの王の間の、中心には玉座に続く青き絨毯の道をがある。
視作生は、ルイスが王たるクラウディアにご挨拶をなさる為に、しずしずと歩まれた。

視作生は変態による損傷から回復したばかりで、おぼつかぬ足取りだった。
それを二人の新夫が愛おし気に、大事、大事と付き添うておられた。

君は夫達に完全に身を委ねて、安心しておられましたね。
左右にふりふりと首を巡らしては、二人に微笑みかけていた。

それに返す夫君の笑顔が…
泣き顔の様に、喜びに濡れていたのです。

これが幸福というものだと、私は初めて知った!

とはいえ当時の私は、姉の計らいで使用人としてその場に紛れ込んでいただけの、他人だった。
遠い広間の隅で、拝見致しただけの事だ。

しかし、たったのそれだけで…
私は猛烈な、家族への憧れに胸を焦がしたのです。

今宵のこの、婚約の晩餐が…
兄上と私が視作生に愛を誓う、披露目の会であれば良かった。

今宵のこれは、偽りに満ちた不幸の披露宴だ!

『リリィ、君が恐ろしい…』
なんと…
その様に気弱な!

しかも、なんです!
私の妻は、それは可愛い人ですぞ!

『…彼がここ来て、俺は正気でいられようか』
貴方らしくもない。

貴方は全α男子の憧れの君です!

鋼の男、ヴィクトール=ジ=ラ・グウィネズ!
私の何よりの誇りなのです!

「女王のお出ましにで、ございます」

熱狂の広間が静まり返った。

ああ、やっと、やっと君に逢える…

そしてしずしずと、君はおいでになりました。
あの時と同じ青の道を、今の君は一人で歩まれる。

私は胸が潰れそうです。
視作生、視作生、私の視作生!

どうか、君が、君でありますように…

『…え、え、え、えぇ~!、、嘘でしょ~!』

君の悲鳴が!
私の耳をつんざいた!

『い、い、いやぁ~!、、冗談は、ヨシコさん!!』

良かった!
やはり、君は無事でしたね!

『Ω女王リリィ』の内から…
それはそれは元気の良い、妻の雄叫びが聴こえた。

安心しました。

君は強い!
信じておりましたが、それでも愛故に不安でした。

いや!
面目ない!

\\\٩(๑`^´๑)۶////



『…お花が、、お花が!、、そんな、そんな所に、僕のお花が…』

:(;゙゚'ω゚'):
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