リリィは可愛い(*´꒳`*)おじさん♡Ωに覚醒〜おサイコでαな旦那サマと結ばれて…からの、闘いの物語です!\\\٩(๑`^´๑)۶////

志村研

文字の大きさ
116 / 155

おじさん♡初恋でした

しおりを挟む
ヴィクトール♡

閉ざされし扉が、開かれた。

そして逆光を背負い、偉大なる影の人は堂々と参られた。

「止せ」
熱気と混乱で澱んだ王の間に、新鮮なる風が吹きこんでくる。

「我らが妻から、離れよ」
とても低い、清廉と、落ち着き払った声音である。

…セバスティアン、君なのか。

怒りの為に君のエメラルドの瞳の虹彩が、金色を帯びている。
まるで鬼神の如き威圧を纏う彼は、余の知らぬ男であった。

そして良く通る涼やかな声が彼に続く。
「叔母上、いけません」

おお、マクシミリアン…
君の晴れ渡る空色の瞳は変わらぬ。

「…我が君。いかに貴方がお望みであろうと、この方は放しません!」
一国を担う御方が一寸、たじろがれた。

「いえ。解き放たれるのは、貴女の方だ」

君は何処までもを見通す使い手で御座したが、こんなにも底の知れぬ男であったか。

「摂政殿、貴女は癒されねばならない」
セバスティアンは静かに語りかけた。
今の彼には彼女を威圧し、制する事も出来ようがなさらない。

…深い、慈悲を感じた。

彼は若く、またα気質のきつい人だ。
で、あれば、、
いかに肉親であろうと此度の暴挙を許せよう筈が無い。

ブレンダリー殿はルイス公国で最強の能力者であられる。
しかし今の彼は、彼女を上回っている。

それは彼らの妻が夫達に愛を垂れ、力を授けたからであろう。

その偉大なる妻が、彼らの目の前で狼藉を働かれている。
これは非道であり、本来なら問答無用で成敗して然り。

しかし、ルイスが若君方は大変に分別のある態度を示されておられる。

「時は戻らぬ。そしてリリィもまた、還らぬ」
セバスティアンはゆっくりと、彼の良く知る人の肩に触れた。

「叔母上。我らは、視作生と新世界を生きるのです!」
マクシミリアンもまたゆっくりと、彼の愛する人の背に手のひらを合わせた。

「…、、リリィは、居るわ。ここに。この、この方は、私の、、、」
未だ昏い眼のままで、摂政殿はむずがった。

「全く、聞き分けの無い方だ!この人は、視作生だ。貴女は一度、彼と御話しなさい。彼もそれを望んでいる」
セバスティアンは彼らしく、横柄に言い放った。

そして、彼は妻におもむろに口付けた!

…深い、口づけだ。
妻の口腔に舌を差し込み、そこいら中に這わせている。

そうして湧いた唾液を、喉奥に注ぐ。
白く滑らかな喉が、上下した。

すると、目に見えて『御人形』が生身を取り戻す。
やがてすっかりと生気を取り戻した視作生は、花が綻ぶ様に笑んだ。

…ああ、それか。
その笑みこそが、君のものか。

なんと、可愛い人だ!
弟の忠告は本当であった。

そう、呆然と独りごちる余を置き去りに…
夫婦らは情熱的に睦愛う。

マクシミリアンが堪らずと、戻った妻を背なから抱き締める。
すると彼の妻は線の美しい首を巡らせ、彼を求めた。

そして、また…
熱い口付けを交わすのだった。

胸が焼け付く。
俺は、これ程の怒りを感じた事は無いぞ!

目を閉じ、耳を塞ぎ、、
全てを遮ってしまいたい衝動に駆られる。

…無様だ。

だが、彼らはまだ追い討ちをかけてきた!
視作生は愛する男達にしがみつき、その逞しい身体を確かめている。

二人の夫は二人とも、満身創痍であった。
だがその体躯は歓喜に満ち、精力すらかんじさせるのである。

視作生は勿論、誰よりもそれを感じておろう。
彼は徐々に目元に朱を刷き、頬を火照らせる。

それから滲む様に、また笑んだ。
その濡れて潤んだ微笑は、明らかに誘惑を意図している。

とても美しい、笑みであり…
とても残酷な、笑みだ。

この、俺に、羨望を抱かせるのだから!
彼は昨夜、この俺に唯の少しも潤んではくれなんだのだぞ!

視作生。
君は俺に復讐しておられるのか。
この酷い嫉妬に胸を焦がす苦しみは、君が意図せぬ交わりを俺が望んだ罰なのか!

なんと恐ろしい、人なのだ…

視作生は彼の夫の頬に触れ、指で優しくなぞっている。
彼はそこに、痛々しい傷を見つけた。

視作生は傷ついた顔をして、それから怒って、ほろほろと泣いた。
そんな君をセバスティアンが慰め、マクシミリアンがあやしている。

彼らは想い合うている。
正しく、番いだった。

…美しい光景であると、私は見留めた。

そして同じく、その様を認めたブレンダリー殿は…
遂に崩れ落ちた。

その身はすかさず、相方のクラウディア殿が支えたのであった。
愛あるいたわりの、なんと強き事よ!

彼らはもう、麗しい家族と成られて居る。
それは偉大なる王として立つ俺が、終ぞ恵まれなんだものだ。

今宵、俺は惨めな部外者である。

それから無様な横恋慕に、震える敗者だ。
胸に去来するのは、虚しさだけ…

…いや、それだけではない。

この胸には、未だ、初恋の感動が居座っている。
ここに至ってまでも、まだ、視作生が恋しい。

全く…

俺は何とも、いじましい男であったものだ!

\\\٩(๑`^´๑)۶////
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...