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第一章
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第一章『神戸流星と今田美波の場合』
師走に入り最初の日曜日である。
二人は心斎橋筋を腕を組んで、通りに面した高級専門店のウィンドウを見ながら散策している。
実は美波は母親の涼子からCHANELのハンドバッグを買ってきて欲しいとお金を預かったのである。
母親の涼子に頼まれたショルダーバッグは
シャネル ショルダーバッグ 22 ミニ AS3980 シャイニーカーフスキン ブラック チェーンバッグ ゴールド金具 CHANEL
という商品であった。店頭価格は100万円前後である。
心斎橋筋を難波方面から本町方面にかけてかなり広範囲に歩いた。
やっと母親の涼子に頼まれていたショルダーバッグを見つけたのである。
「あったぁ。やっと見つけたわ。」
美沙は満面の笑みを浮かべて流星に話し掛けた。
「良かったね。やっと見つけたね。良かった」
流星も自分のことのように喜んだ。
美沙と流星は一緒に店内に入った。
店内には上品な年配の女性と若い女性達数名がいた。店内に来ているお客と接客中であった。
年配の女性が美波に近づいて来た。
「いらっしゃいませ。よかったらお目当ての品をお手に取りご覧下さいませ」
丁寧な挨拶である。
流石に高級品を扱っている女性らしい。
彼女には高級品を扱っているという自負があるのであろう。
美波が店頭に陳列されているショルダーバッグを指さした。
「あちらの商品をお願いします」
「まあ、お目の高い。あの商品は今年秋から冬に掛けての新作の商品なんですよ(笑い)」
「遭難ですね。母に頼まれたものですから(笑い)」
「まあ、お母様にですか。どちらにお住まいなのですか?」
「芦屋の六麓荘です」
「まあ、あの高級住宅街にお住まいなの。
素晴らしいですわ」
「そうなんですか。生まれた時から住んでいますので」
「まあ、羨ましいですわ。あんな地価の高い高級住宅は私どもには縁がなくて。お恥ずかしい限りですわ」
「そんな。お恥ずかしいなんて」
「さあ、こちらにお座りになって。お飲み物は如何いたしましょうか?」
「ええ。飲み物が飲めるんですか?」
「はい。お連れの方もこちらにお座りになって」
「分かりました。ありがとうございます。
流星は何にする?」
「ブラックコーヒーで」
「分かった。私はホットコーヒーでお砂糖とミルクをつけて下さい」
「畏まりました。しばらくお待ち下さい。
こちらの用紙にお名前とご住所、連絡先などご記入下さい」
「はい。分かりました」
美波は年配の女性から用紙を受け取り机の上に用紙を置き備えつけのボールペンを右手に握り書き始めた。
流星は美波の隣に座り、美波が記入している用紙を見つめていた。
美波が用紙にすべてを記入した。
しばらくして年配の女性が飲み物を持って来た。
流星と美波はコーヒーを美味しそうに飲み始めた。
二人は談笑しながら将来の夢を語った。
「流星は将来の夢、あるのかな?」
「もちろんあるよ。大学を卒業したら大企業に就職して早く出世して美沙と結婚するんだ。そして僕たちの赤ちゃんを三人つくって、幸せな家庭を築くんだよ(笑い)」
「素晴らしい。よく出来ました。でも流星が出世するまでダメなの。別に出世しなくても私は構わないわよ。流星と一緒に暮らせるなら。早く結婚したいな」
「しかし、男として、それはどうかな」
「男としてじゃなくて二人の問題なのよ。
そんなチンケなセリフ、私聞きたくないわ。流星がそんな程度の男だとは私、思いたくないわよ」
「ごめん。美波、怒ったの」
「別に怒ってはないよ。もう少し考えてみてね。真剣に結婚のこと。分かった!」
「はい。分かりました」
しばらくして年配の女性が商品を紙袋の中に入れて持って来た。
美波は代金を支払い、領収書を受け取った。
商品名 CHANELショルダーバッグ
購入価格 99万円
商品税 9万9千円
合計 108万9千円
美波は母親から預かっていた現金120万円から110万円を白い封筒から取り出して支払った。
年配の女性は店内のレジスターに預かった現金を入金しお釣り1万1千円を取り出した。
そしてそのお金を美波に手渡した。
美波は商品を受け取り流星と一緒に腕を組んで仲良く店を出て行った。
年配の女性は深々と頭を下げて、二人の後ろ姿をいつまでも見つめていた。
年配の女性は今どきの若者には見られない二人の清々しい立ち居振る舞いと素敵な笑顔に将来の日本国の希望という光を確信したのであった。
第二章では二組目のカップルのお話です。
高杉勇斗25歳と永野すず25歳の
恋人歴7年の結婚前提でお付き合いしている
カップルの物語です。
どうぞお楽しみに。
to be continued
師走に入り最初の日曜日である。
二人は心斎橋筋を腕を組んで、通りに面した高級専門店のウィンドウを見ながら散策している。
実は美波は母親の涼子からCHANELのハンドバッグを買ってきて欲しいとお金を預かったのである。
母親の涼子に頼まれたショルダーバッグは
シャネル ショルダーバッグ 22 ミニ AS3980 シャイニーカーフスキン ブラック チェーンバッグ ゴールド金具 CHANEL
という商品であった。店頭価格は100万円前後である。
心斎橋筋を難波方面から本町方面にかけてかなり広範囲に歩いた。
やっと母親の涼子に頼まれていたショルダーバッグを見つけたのである。
「あったぁ。やっと見つけたわ。」
美沙は満面の笑みを浮かべて流星に話し掛けた。
「良かったね。やっと見つけたね。良かった」
流星も自分のことのように喜んだ。
美沙と流星は一緒に店内に入った。
店内には上品な年配の女性と若い女性達数名がいた。店内に来ているお客と接客中であった。
年配の女性が美波に近づいて来た。
「いらっしゃいませ。よかったらお目当ての品をお手に取りご覧下さいませ」
丁寧な挨拶である。
流石に高級品を扱っている女性らしい。
彼女には高級品を扱っているという自負があるのであろう。
美波が店頭に陳列されているショルダーバッグを指さした。
「あちらの商品をお願いします」
「まあ、お目の高い。あの商品は今年秋から冬に掛けての新作の商品なんですよ(笑い)」
「遭難ですね。母に頼まれたものですから(笑い)」
「まあ、お母様にですか。どちらにお住まいなのですか?」
「芦屋の六麓荘です」
「まあ、あの高級住宅街にお住まいなの。
素晴らしいですわ」
「そうなんですか。生まれた時から住んでいますので」
「まあ、羨ましいですわ。あんな地価の高い高級住宅は私どもには縁がなくて。お恥ずかしい限りですわ」
「そんな。お恥ずかしいなんて」
「さあ、こちらにお座りになって。お飲み物は如何いたしましょうか?」
「ええ。飲み物が飲めるんですか?」
「はい。お連れの方もこちらにお座りになって」
「分かりました。ありがとうございます。
流星は何にする?」
「ブラックコーヒーで」
「分かった。私はホットコーヒーでお砂糖とミルクをつけて下さい」
「畏まりました。しばらくお待ち下さい。
こちらの用紙にお名前とご住所、連絡先などご記入下さい」
「はい。分かりました」
美波は年配の女性から用紙を受け取り机の上に用紙を置き備えつけのボールペンを右手に握り書き始めた。
流星は美波の隣に座り、美波が記入している用紙を見つめていた。
美波が用紙にすべてを記入した。
しばらくして年配の女性が飲み物を持って来た。
流星と美波はコーヒーを美味しそうに飲み始めた。
二人は談笑しながら将来の夢を語った。
「流星は将来の夢、あるのかな?」
「もちろんあるよ。大学を卒業したら大企業に就職して早く出世して美沙と結婚するんだ。そして僕たちの赤ちゃんを三人つくって、幸せな家庭を築くんだよ(笑い)」
「素晴らしい。よく出来ました。でも流星が出世するまでダメなの。別に出世しなくても私は構わないわよ。流星と一緒に暮らせるなら。早く結婚したいな」
「しかし、男として、それはどうかな」
「男としてじゃなくて二人の問題なのよ。
そんなチンケなセリフ、私聞きたくないわ。流星がそんな程度の男だとは私、思いたくないわよ」
「ごめん。美波、怒ったの」
「別に怒ってはないよ。もう少し考えてみてね。真剣に結婚のこと。分かった!」
「はい。分かりました」
しばらくして年配の女性が商品を紙袋の中に入れて持って来た。
美波は代金を支払い、領収書を受け取った。
商品名 CHANELショルダーバッグ
購入価格 99万円
商品税 9万9千円
合計 108万9千円
美波は母親から預かっていた現金120万円から110万円を白い封筒から取り出して支払った。
年配の女性は店内のレジスターに預かった現金を入金しお釣り1万1千円を取り出した。
そしてそのお金を美波に手渡した。
美波は商品を受け取り流星と一緒に腕を組んで仲良く店を出て行った。
年配の女性は深々と頭を下げて、二人の後ろ姿をいつまでも見つめていた。
年配の女性は今どきの若者には見られない二人の清々しい立ち居振る舞いと素敵な笑顔に将来の日本国の希望という光を確信したのであった。
第二章では二組目のカップルのお話です。
高杉勇斗25歳と永野すず25歳の
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どうぞお楽しみに。
to be continued
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