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エピソード1 お父さんが連れてきた赤ちゃん
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クリスマスの朝。🎄🎄🎄🎄🎄
シンムとパルテ、マッテの仲良し
三人兄弟は、遠い町へ買い物に
行ったお父さんの帰りを、楽しみ
にして、待っていました。
兄弟の家は、貧乏でしたので、長い
間、なにも買ってもらえなかった
のです。
「お父さんは、なにをおみやげに
くれるかな?ぼくは鉄砲がいいん
だけど?そしたらにくらしい
オオカミを一発で仕留めてやるんだ」
いちばん歳うえのシンムがいいました。
「ぼくは大工道具の方がいいよ。
ソリでも、スキーでも、
自分で作れるもの。」
二番目のパルテがいいました。
「ぼくは、オオカミよりも早く走る、
小馬がほしいなあ。そしたら
オオカミに追いかけられても
どんどん逃げて帰れるもの。」
小さいマッチがいいました。
そのとき、近くの教会⛪️の鐘🔔が
鳴り始めました。
〝ゴーン、ゴーン〝。🔔🔔🔔🔔🔔
おごそかなクリスマスの朝の
礼拝の鐘🔔の音(ね)です。
その鐘🔔の音と一緒にお父さんの
ソリが帰って来ました。🛷🛷🛷🛷🛷
「わあっー、おとうさん、おかえり
なさい。」
「ただいま。まったかい。おまえたち。
わたしのかけがえのない宝物。
これが、クリスマスの贈り物だよ。」
お父さんは、三人兄弟の手の上へ
塩や、小麦粉を入れた、
大きな袋を置きました。
それから、その上へ、獣の皮に
くるんだ、小さい女の子を、そうっと
やさしくのせました。👧👧👧👧👧
三人はびっくりして、目をぱちくり
させました。
「へえ、こ、これ、どうしたの。
おとうさん。」
「山の上で、神さまからいただい
たのだよ。」
お父さんは、茶色の髪の毛に
たまった雪を払ってから、
訳を話しました。
「まあ、お聞き。わしはノルウェーの
町のバドセーで買い物をすますと
夜の明けないうちに、ソリで帰っ
てきたのだよ。素晴らしい夜明け
だった。広い雪野原の上に、
オーロラが真っ赤な火花の
ように燃えていた。
星も数えきれないほど、
キラキラと光っていた。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ところがしばらく行くと、いちめん、
真っ白な雪野原の上に、ぽつんと
ひとつ、黒いものが見えるんだ。
『なんだろう。木の根っこだろうか。
獣の死骸だろうか。お父さんは
馬の手綱を引きしめて、そろそろと
黒いもののほうへ近づいて行った。
するとどうだろう。黒いものは、
小さな赤ん坊だったんだ。
トナカイの皮に包まれた赤ん坊が
雪の中に落ちていたんだよ。
その子はだいぶ長い間、雪の中に
転がっていたのに違いない。
大きな目をぱっちり開けて、泣き
もせず、お星さまを見ていたよ。
近くにスカンジナビア半島北端に
住むラップランド人の小さいソリの
跡が、二筋ついていたし、オオカミの
足跡たくさん残っていたから、
きっとその子はオオカミに襲われた
お母さんのソリから転げ落ち
たに違いないと思うよ。
ても、よくオオカミに噛み殺され
なかったもんだ。🐺🐺🐺🐺🐺
子どものまわりには、たくさんの
オオカミの足跡がぐるっとついて、
いたんだからね。でもお腹をすかし
たオオカミたちも、赤ん坊の無邪気な
目を見るとかみつくことが出来
なかったんだろうね。お父さんが
ちょうど、そこを通りかかった
のも、神さまのおはからいに違い
ない。だから、お父さんは、すぐ、
この子を拾って、ソリに乗せて、
連れて帰ったのだよ。」
「よかったね。僕、どんなおみやげ
よりも、嬉しいよ。」
いちばん年上のシンムがいいました。
「かわいい顔をしているね。星の
ようにキラキラした目をしているよ」
二番目のパルテが、のぞきこんで
いいました。
「きっとひとりぼっちで、山の上に
寝ているときに、お星さまの光が
上に、この子の目にぽとりと、
目薬のように落ちたんだろうよ。」
お父さんがいいますと、すえの
マッチが「それじゃあ、星むすめと
いう名にすればいいよ。」
「まあ、星むすめなんて、いやですよ。
ねえ、赤ちゃん。あんたには、わたし
の名前をあげようね。エリザベート
という名がいいわよね。」
とお母さんは言って、赤ちゃんを
抱きとりました。そして、すぐに
トナカイの皮から出して、暖かい
ミルクを飲ませました。
それから赤ちゃんを揺すりながら
いいました。
「かわいそうな赤ちゃん。神さまが
お前をわたしたちに下さったのだよ」
まあ、ほんとにきれいなおめめだ
こと。今日からシモン•ソルサが
お前のお父さんで、エリザベート•
ソルサ、つまりこのわたしが
お前のお母さんだよ。そして、
シンムとパルテとマッチは、お前の
にいさんだよ。だけど、この子は
キリストの洗礼を受けたのかしら。」
「さあ、どうだか、わからんね。
ラップランド人は、ずっと北の方の
雪の中に住んでいて、牧師さんの
ところからはとても遠いからね。
子どもたちが、何人かになる
まで、洗礼をのばしておくんだよ。
そして、子どもたちが、三人か
四人になると、子どもたちだけで
教会へ行って、洗礼をしてもらう
のだそうだ。だから、この子も
まだ、洗礼がすんでいないだろう
よ。きょうは、ちょうど都合が
いい。クリスマスの朝の洗礼が
始まったところだから、すぐ、
この子を教会⛪️へ連れていって、
洗礼をしてもらうといいよ。」
と、シモン•ソルサはいいました。
「それは、いいことに気がつきました。」
そうしましょう。」
お母さんとシモンは、早速、
拾った子を抱いて、教会⛪️へ
行きました。
牧師さんは、その子に洗礼をしてから
お母さんの名をとって、エリザベート
と名づけました。
「神さま、どうぞ、この子をお恵み
ください。」
牧師さんが、うやうやしく、お祈りを
していますと、子どもの瞳が星の
ようにキラキラと輝きました。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
それを見た牧師さんは、式がすんだ
あとで、冗談のようにいいました。
「この赤ちゃんは、エリザベートと
いうより、星むすめというほうが
ぴったり、するようですね。」
「まあ、神父さままでが。そんな
ことをおっしゃるなんて!」
とお母さんは、ふくれました。
でも、シモン•ソルサもお祈りの
ときに、子どもの瞳が、星のように
輝いていたのを見たのです。
それで。「わしも、星むすめと
いう名は、エリザベートという名と
同じくらい、いい名と思うよ。」
といいました。すると、お母さんは
いよいよ、機嫌をわるくして、
「何ですって。この子に、魔がさす
ようなことを言わないでくださ
いよ。この子は、この子は
ラップランド人の子だし、
ラップランド人は、魔法🧙を使うと
いう話しですからね。シンムだって、
パルテだって、マッチだって、
きれいな灰色の目をしているじゃ
ありませんか。この子に別の名を
つけてやりたいなら、茶色の目を
しているから、猫🐈の目とか、猫🐈
むすめと言ったらどう?」
ぽんぽんいいました。
それでシモンは、星むすめと言わない
ことにしていましたが、この子の
目があまりにも美しいので、近所の
人たちまで、『星むすめ』と、
呼びはじめました。
星むすめは、三人の兄さんたちと
一緒に大きくなりました。
兄さんたちは、じょうぶ(丈夫)で
がっしりした男の子になり、
星むすめは、可愛らしい
女の子になりました。👦👧👧👧👧
毎朝、太陽が出ると星むすめは、
真っ赤なスカートをはいて、
元気よく、外に遊びに行きます。
いつも、真っ白なはと(鳩)が
星むすめの手のひらに止まりに
来ます。
『幸せ』という神さまのメッセージを
運んできます。
シンムとパルテ、マッテの仲良し
三人兄弟は、遠い町へ買い物に
行ったお父さんの帰りを、楽しみ
にして、待っていました。
兄弟の家は、貧乏でしたので、長い
間、なにも買ってもらえなかった
のです。
「お父さんは、なにをおみやげに
くれるかな?ぼくは鉄砲がいいん
だけど?そしたらにくらしい
オオカミを一発で仕留めてやるんだ」
いちばん歳うえのシンムがいいました。
「ぼくは大工道具の方がいいよ。
ソリでも、スキーでも、
自分で作れるもの。」
二番目のパルテがいいました。
「ぼくは、オオカミよりも早く走る、
小馬がほしいなあ。そしたら
オオカミに追いかけられても
どんどん逃げて帰れるもの。」
小さいマッチがいいました。
そのとき、近くの教会⛪️の鐘🔔が
鳴り始めました。
〝ゴーン、ゴーン〝。🔔🔔🔔🔔🔔
おごそかなクリスマスの朝の
礼拝の鐘🔔の音(ね)です。
その鐘🔔の音と一緒にお父さんの
ソリが帰って来ました。🛷🛷🛷🛷🛷
「わあっー、おとうさん、おかえり
なさい。」
「ただいま。まったかい。おまえたち。
わたしのかけがえのない宝物。
これが、クリスマスの贈り物だよ。」
お父さんは、三人兄弟の手の上へ
塩や、小麦粉を入れた、
大きな袋を置きました。
それから、その上へ、獣の皮に
くるんだ、小さい女の子を、そうっと
やさしくのせました。👧👧👧👧👧
三人はびっくりして、目をぱちくり
させました。
「へえ、こ、これ、どうしたの。
おとうさん。」
「山の上で、神さまからいただい
たのだよ。」
お父さんは、茶色の髪の毛に
たまった雪を払ってから、
訳を話しました。
「まあ、お聞き。わしはノルウェーの
町のバドセーで買い物をすますと
夜の明けないうちに、ソリで帰っ
てきたのだよ。素晴らしい夜明け
だった。広い雪野原の上に、
オーロラが真っ赤な火花の
ように燃えていた。
星も数えきれないほど、
キラキラと光っていた。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ところがしばらく行くと、いちめん、
真っ白な雪野原の上に、ぽつんと
ひとつ、黒いものが見えるんだ。
『なんだろう。木の根っこだろうか。
獣の死骸だろうか。お父さんは
馬の手綱を引きしめて、そろそろと
黒いもののほうへ近づいて行った。
するとどうだろう。黒いものは、
小さな赤ん坊だったんだ。
トナカイの皮に包まれた赤ん坊が
雪の中に落ちていたんだよ。
その子はだいぶ長い間、雪の中に
転がっていたのに違いない。
大きな目をぱっちり開けて、泣き
もせず、お星さまを見ていたよ。
近くにスカンジナビア半島北端に
住むラップランド人の小さいソリの
跡が、二筋ついていたし、オオカミの
足跡たくさん残っていたから、
きっとその子はオオカミに襲われた
お母さんのソリから転げ落ち
たに違いないと思うよ。
ても、よくオオカミに噛み殺され
なかったもんだ。🐺🐺🐺🐺🐺
子どものまわりには、たくさんの
オオカミの足跡がぐるっとついて、
いたんだからね。でもお腹をすかし
たオオカミたちも、赤ん坊の無邪気な
目を見るとかみつくことが出来
なかったんだろうね。お父さんが
ちょうど、そこを通りかかった
のも、神さまのおはからいに違い
ない。だから、お父さんは、すぐ、
この子を拾って、ソリに乗せて、
連れて帰ったのだよ。」
「よかったね。僕、どんなおみやげ
よりも、嬉しいよ。」
いちばん年上のシンムがいいました。
「かわいい顔をしているね。星の
ようにキラキラした目をしているよ」
二番目のパルテが、のぞきこんで
いいました。
「きっとひとりぼっちで、山の上に
寝ているときに、お星さまの光が
上に、この子の目にぽとりと、
目薬のように落ちたんだろうよ。」
お父さんがいいますと、すえの
マッチが「それじゃあ、星むすめと
いう名にすればいいよ。」
「まあ、星むすめなんて、いやですよ。
ねえ、赤ちゃん。あんたには、わたし
の名前をあげようね。エリザベート
という名がいいわよね。」
とお母さんは言って、赤ちゃんを
抱きとりました。そして、すぐに
トナカイの皮から出して、暖かい
ミルクを飲ませました。
それから赤ちゃんを揺すりながら
いいました。
「かわいそうな赤ちゃん。神さまが
お前をわたしたちに下さったのだよ」
まあ、ほんとにきれいなおめめだ
こと。今日からシモン•ソルサが
お前のお父さんで、エリザベート•
ソルサ、つまりこのわたしが
お前のお母さんだよ。そして、
シンムとパルテとマッチは、お前の
にいさんだよ。だけど、この子は
キリストの洗礼を受けたのかしら。」
「さあ、どうだか、わからんね。
ラップランド人は、ずっと北の方の
雪の中に住んでいて、牧師さんの
ところからはとても遠いからね。
子どもたちが、何人かになる
まで、洗礼をのばしておくんだよ。
そして、子どもたちが、三人か
四人になると、子どもたちだけで
教会へ行って、洗礼をしてもらう
のだそうだ。だから、この子も
まだ、洗礼がすんでいないだろう
よ。きょうは、ちょうど都合が
いい。クリスマスの朝の洗礼が
始まったところだから、すぐ、
この子を教会⛪️へ連れていって、
洗礼をしてもらうといいよ。」
と、シモン•ソルサはいいました。
「それは、いいことに気がつきました。」
そうしましょう。」
お母さんとシモンは、早速、
拾った子を抱いて、教会⛪️へ
行きました。
牧師さんは、その子に洗礼をしてから
お母さんの名をとって、エリザベート
と名づけました。
「神さま、どうぞ、この子をお恵み
ください。」
牧師さんが、うやうやしく、お祈りを
していますと、子どもの瞳が星の
ようにキラキラと輝きました。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
それを見た牧師さんは、式がすんだ
あとで、冗談のようにいいました。
「この赤ちゃんは、エリザベートと
いうより、星むすめというほうが
ぴったり、するようですね。」
「まあ、神父さままでが。そんな
ことをおっしゃるなんて!」
とお母さんは、ふくれました。
でも、シモン•ソルサもお祈りの
ときに、子どもの瞳が、星のように
輝いていたのを見たのです。
それで。「わしも、星むすめと
いう名は、エリザベートという名と
同じくらい、いい名と思うよ。」
といいました。すると、お母さんは
いよいよ、機嫌をわるくして、
「何ですって。この子に、魔がさす
ようなことを言わないでくださ
いよ。この子は、この子は
ラップランド人の子だし、
ラップランド人は、魔法🧙を使うと
いう話しですからね。シンムだって、
パルテだって、マッチだって、
きれいな灰色の目をしているじゃ
ありませんか。この子に別の名を
つけてやりたいなら、茶色の目を
しているから、猫🐈の目とか、猫🐈
むすめと言ったらどう?」
ぽんぽんいいました。
それでシモンは、星むすめと言わない
ことにしていましたが、この子の
目があまりにも美しいので、近所の
人たちまで、『星むすめ』と、
呼びはじめました。
星むすめは、三人の兄さんたちと
一緒に大きくなりました。
兄さんたちは、じょうぶ(丈夫)で
がっしりした男の子になり、
星むすめは、可愛らしい
女の子になりました。👦👧👧👧👧
毎朝、太陽が出ると星むすめは、
真っ赤なスカートをはいて、
元気よく、外に遊びに行きます。
いつも、真っ白なはと(鳩)が
星むすめの手のひらに止まりに
来ます。
『幸せ』という神さまのメッセージを
運んできます。
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