クリスマスの朝

蔵屋

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エピソード3

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   大事なお母さんが、なんでこんなに
  ぽんぽんいうのか、わけがわかりま
  せん。
   お母さんはすぐいい過ぎたと
  思って、星むすめをやさしく
  抱き寄せました。
  「ごめんよ。エリザベート。泣かない
  でおくれ。お前がラップランド人の
  子どもだから、つい気をまわして
  しまうんだよ。かんにんしておくれね」
   それからまもなく、また、不思議な
  ことが起こりました。
   ある日、お母さんは
  つむぎ車をまわし
  ながら、旅に出ているシモンのことを
  考えていました。
   そして、ふと、
  「シモンの馬は、左のあと足の
  かなぐつを無くしたことがあった
  けど、こんどは大丈夫かしら。」
  と思いました。
   星むすめは、部屋の隅で、椅子を
  馬にして遊んでいましたが
  そのときすぐ、椅子に向かって、
  「お母さんはね、お前が左なあと足
  のかなぐつをおっことしたことを
  思いだして、心配しているんだよ」
  と、お母さんが心の中で思っていた
  通りのことをいいました。
  お母さんはびっくりして、
  「おまえ、どうして、
  馬のかなぐつのことを知って
  いるんだね。」
  「だって。あたし、見たんだもの。」
   星むすめは、無邪気な顔でいいまし
  が、お母さんは嫌な気がしました。
  『この子にはわたしが心で思っている
  ことまで、見えるのかしら。
   これからは気をつけたくちゃ。』と
  思いました。

   するとまた、不思議なことが
  起こりました。
   ある晩、この家に、旅の男が
  泊まりました。
  次の朝、テーブルの上に置いてあった
  金の指輪が見えなくなったので、
  大騒ぎになりました。
   旅の男が盗んだのかもしれないと
  その男の服からシャツまで調べまし
  たが、指輪は見つかりません。
  疑われた男は、かんかんになって
  おこりました。
  「おい。おまえたち、よくも俺を
  泥棒扱いしてくれたな。おい、
  どうしてくれるんだ。」
   旅の男はおしかぶさるようになって 
  シモンに詰め寄りました。
   シモンは平謝りに謝りましたが、
  男は承知しません。困りきっている
  と、ちょうどそのとき、ベッド🛏️で、
  寝ていた星むすめが、目を
  さましました。
   そしてその男を見ると
  びっくりしていいました。
  「おじさん、どうして口の中に
  指輪なんか、入れてるの?」
  男は慌てて、口の中から指輪を
  出しました。
   口の中に隠している指輪が、
  星むすめには、見えたのです。
  「この泥棒め。出ていけ!」
   シモンは、怒って男を
  追い出しました。
  「お前のお陰で、指輪が見つかったし
  悪いやつを追い払えたよ。
  ありがとう。ありがとう。」

   シモンは、星むすめを抱き上げて
  ほおずりしましたが、お母さんは
  いよいよ、この子はおかしい、
  と言って嫌がりました。

  to be continued

  

  
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