クリスマスの朝

蔵屋

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エピソード4

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それから、幾日かたちました。親切なシモンは、旅に出ていました。二番目のパルテ兄さんが、“はしか“にかかったのです。牧師さんが、わざわざ、パルテ兄さんの病気を診に来てくれました。

その牧師さんは医者のことも上手だったのです。牧師さんの手当てで、パルテ兄さんは少し良くなりました。お母さんは牧師さんにお礼をしなければ、と思いました。ちょうど戸棚に新しい鮭が三匹しまってありました。お母さんはちょっと考えました。
『牧師さんに、大きい鮭をあげようか、小さいほうにしようか、まぁ小さいほうにしておこう。』その時、星むすめは部屋の隅で遊んでいました。洗濯ブラシを病気のパルテ兄さんの代わりにして、それから箒🧹が牧師さんの代わりでした。星むすめは箒🧹に言いました。「小さいのあげましょうか?大きいほうを上げましょうか?まぁ、小さいほうでいいでしょう。」お母さんは、それを聞くと、真っ赤になりました。自分のケチな心を見透されたのが、悔しくてたまらなかったのです。
牧師さんが帰ってしまうと、お母さんは、もう我慢ができなくなって、星むすめを怒鳴りつけました。
「このラップランドのガキめ‼️とうとう本性(ほんしょう)を丸出しにしたね。もう勘弁しないよ。このチビの魔法使いめ、今日限り、この魔法の目で、私を見ることができないようにしてやるから。さぁ、とっとと床下の穴ぐらに行っておしまい。これからずっと、お前はそこで暮らすんだよ。そのかわり、1日に1回だけ、ご飯を食べに穴ぐらから出してあげる。その時だって、厚い布切れで目隠しをしているがいい。私はお前のいやらしい目で、見られるのはまっぴらだからね。」かわいそうな星むすめは、床下の、暗いじめじめした穴ぐらに押し込まれました。人に何も悪いことなどしなかった子どもをそんなひどい目に合わせるのは、いいことではありません。けれども、シモンのお母さんは、村の人たちと同じように、ラップランド人は、魔法を使うのだと信じ込んでいたのです。その時、情け深いシモンは、遠いところにいました。星むすめは、たったひとり、床下の穴ぐらに座っていました。お母さんは、星むすめが凍えたり、お腹が空いたりしないように、着物も、食べ物も、ベッド🛌も用意しておきました。   
ただ、明るいお日さまの光と、お友達と、自由に走り回ることができないだけでした。でも、星むすめは、そんなに退屈しませんでした。なぜなら穴ぐらの中にある古い木切れや、口の欠けた土瓶や、糸巻きなどを友達にして、一人で遊んでいました。

木切はお父さん、欠けた土瓶はお母さん、糸巻きや、小さな瓶は兄さんたちです。木切のほかは、みんな桶(おけ)の中にいて、仕事をしたり遊んだりしています。星むすめは桶の中のおもちゃとお話をしたり、歌を歌ったりしました。でも、その歌を聞いてくれるのは、猫🐈だけでした。星むすめがこの家へ来てから、ちょうど三ど目のクリスマスが近づいていました。
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