死に戻り毒妃の、二度目の仮婚 【オメガバース】

飛鳥えん

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イレニアとオスロの関係

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キイラが部屋から退出した後、シュメルヒはひとりになってほっと息を吐いた。

――14歳。
この頃の自分はひとりが寂しくて、孤独を恐れていたが……今となっては、ひとりはそんなに悪いものではないと思える。

(キイラは気立てが良い娘だがちょっと騒々しいし、こうして本を読んだりするのに一人は最適だ)

他の貴族や王族なら、こうはいかない。部屋には何人もの侍女や従僕がいて、常に誰かの目が行き届いている。
貴族社会ではそれが普通だということは知っているし、子供の頃はそんな風に周りを人に囲まれた生活に憧れてもいた。

誰かと食事をしたり、晴れの日に一緒にボート遊びをしたり、冬は暖炉の前で肩を寄せ合って本を読んだり……。

(だがまあ……これはこれで悪くない)
そう自分に言い聞かせる。
慣れてしまえば、ひとりは案外気楽なものだ。14歳の自分はともかく、今のシュメルヒは中身が21歳の大人である。
人恋しさよりも、置かれている状況に対処しなくてはという焦りの方が強かった。

(これは本当に過去の世界なのか?)

荒唐無稽で、それこそ子供の夢想のようだ。

もしや自分はとっくに死んでいて、ここは地獄で、キリアスの言うように贅沢と浪費の咎で罰を受けている最中なのではないか?
これから何度も何度も……同じ目にあって糾弾され、処刑されるために。

ぶるっと震えた身体を抱きしめると、何もかも小さくて頼りなかった。
肩も腕も細い。こんなに痩せていて、いざという時どうするんだと我が事ながら心配になってくる。

(考えなくては……何か、今できることを)



14歳の朝に戻ってから数日が経過したある日。
シュメルヒの姿は寝室と続き間になっている隣室にあった。

隣室は書斎になっていて、壁一面に備え付けの本棚がある。中には教本となるような本の他、まったく手をつけず埃を被った専門書も並んでいた。

本は嫌いだった。
優秀な教師を何人もつけられ、国王である父から直々に国の統治に関する教えを受けているナーシャと比較して、劣等感ばかりがすくすく育った。
そのうち、学びへの意欲が薄くなり、それでも誰もシュメルヒを責めないことに、また臍を曲げた。

(今思えば、なんて子供じみた態度を……)

じっとしていると当時を思い返して落ち着かず、吸い寄せられるように本棚の前をうろうろした。

上の段にある本を取ろうと背伸びして、気付く。えいやと手を伸ばすが、あと少しのところで届かない。
(私はこんなに背が低かったか?)
そういえば、最初に鏡で見た時も、一瞬自分だと分からなかったぐらい貧相で痩せていた。
14歳なんてこんなものだろうか。
成長期が遅く来るのは血統の特徴だった。そのせいもあって、シュメルヒは幼い妹の代わりにイレニアに仮妃として嫁いだ。

仕方なく、寝室から椅子を持ってきてその上に乗った。一番上の段にある「大陸主要国の歴史と皇統の変遷」「オスロ皇国 地政学にみる産業」「大陸以南の言語文化」「言語体系と宗教」を片端から引っ掴む。

(まったく、こんな上に置いておくから子供が読もうとしないんだ)
過去の自分の怠慢を棚上げにして文句を言いつつ、ぶわっと舞い上がった埃を手で払った。

探している本は他にもあったが、ここにはないようだ。王宮の図書室で蔵書を探す必要がある。

(となると、先にこれらだけでも目を通しておくのが良いか)

書斎には書き物机もある。
重厚な造りの椅子に腰掛けると、シュメルヒは気の向くままぱらぱらとページをめくっていった。昔のように、最初から詰め込もうとはしなかった。中にはすでに知っている内容も多い。

オスロの暮らしや文化は実体験として記憶に生々しかった。

それらを思い出しながら、知識を補完し、不明点は別の本を探してきて調べた。

本当は、何をすれば正解なのか分からない。
だからこそ、この狭い世界……自分の部屋にいながらできること、オスロ国に関する知識を増やしておこうと思ったのだ。

いずれ来る未来が予想通りなら、自分はまた、オスロへと嫁ぐことになるのだから――。

そうやって何日も読書に没頭するうち、あっという間に週末を迎えた。
その日、夕食を部屋に運んできたキイラは、書斎を見てあんぐり口を開けた。

書斎の中は書物を漁ったせいで取っ散らかっていた。
書き物机には、走り書きのメモとインクが散乱して汚れていた。夢中になって重たそうな本を読み漁っていたシュメルヒは、立ち尽くすキイラに気付くと、やっと顔を上げた。
「ああ、もうそんな時間か」
「なんですの、この有様は。シュメルヒ様が机に座っているところを初めて見ましたわ」
失礼な言い草だが、シュメルヒは気にした風もなく、さっさと周りを片付け始めた。
重たそうな本を脇にどかして、寝室のテーブルに用意された一人分の食事を、いつものように静かに行儀よく食べ始めた。

「なんだって突然こんな……」
独りごちて、キイラはふと書斎に積まれた本の題名を見た。
大陸の他国に関する専門書や風土記のようだ。

あることに気付いた。

(オスロ王国に関するものが多いのね。産業や地理はともかく……言語まで?シュメルヒ様はオスロにご遊学でもなさりたいのかしら)

「明日、ジュール様にお会いにならなくて本当によろしいのですか?」
「……うん」
シュメルヒの返事は相変わらず素っ気ない。

(先週まではあんなに楽しみにして、ジュール様の好きなお菓子やお茶を用意させていたのに、喧嘩でもされたのかしら)
あの二人に限って、そんなことはないと思うのだが。

ジュールと会う約束を反故にしたあの日から、シュメルヒは自室に閉じこもってひたすら本棚の書物をひっくり返しては、読みふける生活を送っていた。
足りないと思えば王宮の図書室へ行き、目当ての本を見つけては、それも方端から読んだ。

書を楽しむというよりは、もっと切実で切羽詰まった動機からだった。
必死に探していたのだ。
「答え」を。

どうすれば過去の過ちを防ぐことができたのか。
どうすれば自分が処刑されずに済んだのか……その答えを死に物狂いで本の中に探し求めたが、結局見つからなかった。

分からなければ、誰かに尋ねればいい。

これまでは、困ったことがあればジュールを頼っていた。それ以外にシュメルヒに優しくしてくれる人間はいなかったから、シュールが無理だと言ったら、何事も諦めるよう習慣がついていたのだ。

けれど、この時代のジュールはまだ子供だ。
こんな荒唐無稽なことを言っても信じてもらえないだろうし、たとえ信じても手に余るだろう。

(頼る先なら、他にもあるかもしれない……!)
それはある種の天啓だった。
たとえジュールが無理でも……自分の問いに答えてくれそうな人間が、もう一人いることに気付いたのだ。
それは14歳の自分なら、考えもしないような相手だった。

翌朝。
朝食を済ませた後、いつものように黒絹の手袋を装着し、服と髪を整えてから、客間兼教室でもある階下の部屋に移動した。

正式な客人と会う時や身分のある人物と同席する時は、手袋をするのが礼儀だと言い含められてきた。
侍女たちがしている手袋が「護身」のためなら、シュメルヒのこれは「配慮」を示す小道具といったところだった。

(実際は、あまり意味など無かったな)

今にして思えば、話す時に距離を取る、近くに居ても直に肌に触れないようにする……これらを徹底するだけでも十分なのだが。
していないとシュメルヒの周りが落ち着かない顔をするのだ。仕方ない。

赤子として産声をあげてからこれまで……処刑されて死ぬまで、家族とも誰とも肌を触れ合わせたことがなかった。


<王室家庭教師>を名誉職と思う輩を、ガシムは馬鹿にしないまでも、同調もできなかった。
はっきり言って、給金は好いが、彼のような根っからの研究畑の人間は、せいぜい同じ根っから学者肌の学生の相手をしながら自分の論文を書いているのが似合いで、煌びやかな場所は性に合わないのだ。

齢50を過ぎ、後継も育って、あとは隠居して大好きな土いじりでもしながら愛妻と余生を過ごそうと思っていたのに。
ひょんなことから第一皇子殿下の家庭教師を仰せつかってしまった。

第一皇子シュメルヒに対して……ガシムはどう接してよいか悩んでいた。

(どうも、この方は勉学がお好きでない……というか、儂のことも嫌いだろうな)

学府の生徒と言うまでもなく身分が違うし、ガシムは結局のところ爵位もない平民である。
皇子殿下に何をどこまで教示したらいいか、実は今ひとつピンとこない。
教師は他にもいるし、ガシムの担当教科は歴史や文化と言った広い教養体系なので、帝王学を教え込む使命のある教師からは軽く見られがちだ。

ちなみにその教師は、シュメルヒ皇子ではなくナーシャ皇女の専属である。
<毒持ち>はイレニアでは不吉の象徴とされているため、シュメルヒ皇子は生まれた時から王位継承権を持たないのだ。よって、帝王学を学ぶ必要もない。

(いやしかし、シュメルヒ様は王位を継がないとはいえ、いずれは国の重鎮に降嫁される御方なのだから)
広い分野の教養を身に着けることは、絶対に必要なことなのだ、と。
ガシムはひっそりと使命感を持っているのだった。

「ガシム教授。王宮より使者が参りまして、週末の午後の授業をお願いいたしたいと」
「え? それは先日、急遽大事な予定があるとかで流れたはずでは……突然また」

学府の研究室でクッキーを摘まんでいたガシム教授は、顎ひげにクッキーの欠片をぼろぼろ付けたまま咽た。
慌てて紅茶で流し込み、従者の後ろに控えた身なりの良い「使者」を見つめる。
使者はガシムの乱雑にとっ散らかった机や、インクや埃で汚れた床を極力視界から排除して、慇懃に頷いた。

「シュメルヒ殿下が、教授のご都合さえよろしければ、前回中断してしまった講義を最初からお願いしたいと」
「へ?殿下が?本当にシュメルヒ様がそうおっしゃられたのですかな?」
使者は無表情にうんうんと頷いた。
ガシムは紅茶のカップを受け皿に戻すと、もごもごと口の中で呟き、ややあって感動して目を瞑った。
(なんと……ついにシュメルヒ様も、学問の喜びに目覚められたのだ。儂の教えは間違っていなかった!)

その喜びが『遠からずも当たらず』であったことを、ガシム教授が知るのは随分後になってからだった。


オスロは海からの暖流のために一年を通して温暖な気候が続くが、イレニアは逆に、四季の移り変わりが目まぐるしく、夏が短く、冬が長い。
滅多に雪が降らないオスロからすると、冬季に体力を温存するために家屋に篭って越冬するイレニアの暮らしはまるでアナグマのようだと揶揄されることもある。
気候変動が大きいということは天災も多く、とくに農耕は不作の時ほど領民が苦しむ。
国土はイレニアよりずっと広いが、そのほとんどが渓谷と、農耕に不向きな荒地だ。

とはいえ、オスロ皇国は大陸で大きな存在感を放っている。それが、軍事力だ。もともとは狩猟民族が大陸で覇権を争って生まれた国である背景もあって、良馬を産出する領地が多く、優秀な騎馬兵を輩出している。また、国庫の収益を軍部へ惜しみなく注ぎ、国防に関してはカラ山脈が自然の防護壁となっている。

最後に他国侵略をしたのは30年前のレイテ領の討伐で、これは大陸主要国の中でも後援を受けていた。
その中心にいたのが、イレニアだ。

イレニアとの関係はカラ山脈を隔てた隣国同士。比較的友好で、オスロと交易する商人も多い。
気候のせいかおっとりした国民気質のオスロと、反対に厳格で忍耐強いとされるイレニア。

国力が同じくらいの大国がふたつ並ぶと、二者間はできるだけ同盟関係を強化し、お互い利益を得たいと考えるのが常だ。

それが、全ての始まりだった。

ふたつの国の末永い同盟を願って。ちょうど年の近い皇子と皇女の婚約が結ばれたのだ。
ちょうど、二人とも<特種>……アルファとオメガであり、本能で惹き合う<番>になれることも都合が良かった。

順風万風だったわけではない。

イレニアのヨアン皇子はアルファの徴候が弱く、虚弱体質で、癇癪持ち。年若いのもあって周囲からの人望が薄かった。
一方、オスロのナーシャ皇女は王家の特性が濃く、身体発達が遅れ気味で、8歳という実年齢より小さく幼い。

政治情勢がごたついている他国に幼い皇女を向かわせることに、国王夫妻は足踏みした。
しかし、そう言っている内によその国が介入して横やりを入れてくるのも避けたかった。悩んだ末、イレニア国王は古い慣習に習うことにした。

即ち、本当の皇女を嫁がせるまでの<仮妃>を、オスロに遣わすことにしたのだ。

両国の約束を歳月によって断絶させないため。
ナーシャが成長した暁には、速やかに本来の婚姻が結べるよう、友好関係を持続させ、他国の介入を防ぐ。
政略結婚の歴史において、珍しいことではなかった。

問題は、誰を<仮妃>とするかだった。

<仮>とはいえ妃なのだから、出自が卑しいなど論外。できれば皇族に連なる血筋が望ましい。
中継ぎの間、若い皇帝がよそに目移りしないよう関心を引いておける程度には、見目麗しい方が良いだろう。

そして一番重要なことは……。
間違ってもナーシャ皇女を差し置いて、子を為すようなことがあってはならない。

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