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侍女アンヌ
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「わたし、処刑されるんですか……?」
―<初夜の儀式>から数日後。
王宮の家令に呼び出され、シュメルヒの部屋に連れて来られたアンヌは、真っ青になってブルブル震え出した。
「なぜ、そうなるのですか」
少女の口から出た物騒な言葉に驚きながらも、いつものように表情には出さないていると、アンヌはますますこの世の終わりのような顔をした。
シュメルヒの異様に整った顔立ちは平素のままでは冷たく、たとえ本人にそのつもりがなくても、恐ろしく見えてしまう。
堪え切れずにぷっと噴き出したのは、背後に控えていたハビエルだ。
が、アンヌを連れてきた家令に睨まれ、慌てて居住まいを正した。
「なぜ、私より彼を恐れるのです?」
ハビエルの主人はシュメルヒなのだから、普段から自分に対してもそれくらい気を遣って欲しいものだ。
コホン、と目の前の男が咳払いした。
王宮の人事を司る家令は、黒髪に白髪が混じった初老の男で、片眼鏡を掛け、きちっと伸びた背筋、がっしりした体格には威厳がある。
シュメルヒがオスロに来てからも何度か顔を合わせ、以来、何かと気にかけてくれる。
いかめしい顔つきだが、笑うと愛嬌が滲み出た。
ハビエルを専属侍従に付けてくれたのも彼だった。
「妃殿下。ハビエルはよくやっておりますか? 推薦した身としては、それが気がかりです」
背後からハビエルが期待に満ちた視線を送ってくる。
「多少、私に対しての礼儀を欠いている時もありますが」
背後の気配がしょぼしょぼと萎れた。
「……真面目で、気が利きます。たまに煩くはありますが、おかげで気が紛れて助かっています。彼を付けてくれて感謝します。ダリオン」
「左様で。嬉しいお言葉です。……ハビエル」
和やかだった目つきが一転、鋭くなる。
「は、はいっ!ダリオン様」
「後で来るように」
「かしこまりました……」
一度元気になった背後の気配が、再び消沈した。
ダリオンは次にアンヌを見やった。
「アンヌ」
「は、はい!?」
「お前は今日から、ヨアン殿下の部屋つき侍女に昇格となる。妃殿下たっての推薦だから、先にご挨拶に来たのだ。お前からも妃殿下に礼を述べなさい」
アンヌはポカンと呆けた顔をした。寝耳に水、という様子だ。
「私が殿下の? でも私、貴族ではありませんし、奉公もこれが初めてで、普段は厨房の床磨きが仕事で……実はあの時も、熱を出した同室の子とお役目を代っていただけなんです」
――あの時。
初夜の儀式でアンヌが取った行動には、ヨアンに対する献身が見て取れた。
皇太子を弟と引き合いに出すのはどうかと思ったが、アンヌは他人を色眼鏡で見ない質なのだろう。
今のヨアンに必要なのは、側にいてくれる<味方>だ。
(残念ながら、私はヨアン様に嫌われているし……)
ヨアンの<味方>になってあげたくても、不愛想で口下手、ハビエルが言う通り根暗な性格だ。
しかもヨアンはシュメルヒを怖がっている。
(現状、ヨアン様に好いてもらえる要素が皆無だ……)
秘かに落ち込んでいるシュメルヒを尻目に、ダリオンの話は続いていた。
「かつて殿下の乳母を勤めた御夫人がおられるから、まずはその方に付いて色々教えてもらいなさい。他にも部屋つき侍女はいるが、妃殿下たっての希望で、お前には専属として一番近くでお世話をするようにとのことだ」
アンヌは面食らっているが、ハビエルも同様に息を呑んだ気配がした。異例の大抜擢だ。
「ヒルデ女官長には私から伝えておこう」
異例の人事だが、イルミナが口添えしてくれたことで速やかに叶った。
シュメルヒ単独の推薦では、こうも簡単にダリオンが動いてくれたとは思えない。
「確か、母親が病気で出稼ぎのために城に上がったのだったな」
ダリオンは自身の顎に手をやりながら、
「言うまでもなく、給金は今の何倍にもなるだろう。もちろん、その分責任は重くなるから、心してお引き受けしなさい。お前の立場を羨む者も多いだろうから、くれぐれも慢心して敵を作る事のないよう、先輩方に教えを乞うのだぞ」
戸惑いしかなかったアンヌの目の奥に、少しずつ力が漲っていく。
「ご期待に恥じぬよう頑張ります。妃殿下」
「ええ。ヨアン様を頼みます」
ダリオンが二人を見て頷いた。
「よろしい。では、今の大部屋から荷物をまとめて来なさい。服も別に用意した物に着替える必要がある。……急いで。てきぱき動く!」
「は、はいっ」
ダリオンはシュメルヒには好々爺然として優しいが、部下である使用人たちに対してはまるで軍の教官のようだ。
ハビエルが後ろで借りてきた猫のように大人しくなっているのも分かる気がした。
「……アンヌは上手くやれるでしょうか」
あの調子では、そそっかしいアンヌは早々に音を上げて故郷に逃げ帰ってしまうのではないか……。
「アンヌを推薦したのはシュメルヒ様でしょ。ダリオン様はああ見えて、おっかないんですから……まあ、アンヌの場合、他にも厄介な問題が出てくると思いますけど」
「彼女をヨアン様に付けることにしたきっかけは貴方なのですよ、ハビ」
薄く笑うと、ハビエルは意味が分からない様子できょとんとした。
ハビエルのように、ヨアンにも心許せる相手がいてくれたらいいと思ったのだ。
「ですから貴方も同罪です」
◇
―数日後。
シュメルヒは王宮の庭園にある四阿単語で、ハビエルの給仕する紅茶を飲みながら本を読んでいた。
ひとりの時間を潰すのは得意だ。
それに今世ではオスロの読み書きを習得してきたおかげで、たくさんの本が読める。
初めて目にする物語や詩集、専門書……王宮の図書室で面白そうな蔵書を見つけては、つい色々と手を伸ばしてしまう。
前世ではあんなに本が嫌いだったのに、変われば変わるものだ。
今では、この愉しみは人生に欠かせない。
書架はただでさえ貴重だ。文字の読み書きが出来るのだって恵まれていると、つくづく思う。
真昼の陽気の中、静かに読み耽っていると、ふいに生垣の向こうに気配を感じだ。
「……?」
ウサギか、それとももっと大きな動物か。広大な庭園には野生動物も迷い込むから、キツネやアナグマかもしれない。
しかし、どれも違った。
枝の隙間から見え隠れする、黒い光沢のある衣服。
途切れがちに聞こえてくる小声のやりとり。
「ヨアン様、話しかけに行かないんですか?」
「お前が行って、妃と話してきて」
「私がですか? い、嫌です。妃殿下は凄くお綺麗だけど、いつも無表情でいらっしゃるし、怖いんですもの」
「命令だ。行ってきてよ」
「ヨアン様がご自分で行ってきてください」
「叔母上が、妃に謝罪して来なさいと言うから。ねえ、花を渡したら、すぐ帰っていい?」
「ヨアン様……二度も助けてくださった方に対してそんな態度は……。それにお花だって。そんな萎れたのじゃなくて、もっとちゃんとした綺麗なのがたくさん咲いてるのに」
(ヨアン様とアンヌ? 隠れてるつもり、なんだろうか)
明らかにこちらに気付いていながら、一向に生垣から出てこない。かといって立ち去る気配もない。
途切れ途切れの会話が聞こえてくる。
それにしても。
(<毒持ち>だからと恐れられるのはいつものことだが、『無表情』だから怖いとは。あの娘はやはり変わっている)
ハビエルとふたり、思わず顔を見合わせた。
「何なさってるんでしょうね、あの二人」
「さあ」
シュメルヒの方が聞きたい。
「声をかけて来ましょうか?」
「いえ、やめましょう。殿下は私に近づくのはお嫌でしょうし、声をかけて気まずい思いをさせたら申し訳ないですから」
「でも、あの様子では殿下はシュメルヒ様に用があるみたいですよ」
ハビエルがわざとらしく大きな咳ばらいをした。
静寂の後、やがて気まずそうな顔をした二人がのろのろと生垣から出てきた。
―<初夜の儀式>から数日後。
王宮の家令に呼び出され、シュメルヒの部屋に連れて来られたアンヌは、真っ青になってブルブル震え出した。
「なぜ、そうなるのですか」
少女の口から出た物騒な言葉に驚きながらも、いつものように表情には出さないていると、アンヌはますますこの世の終わりのような顔をした。
シュメルヒの異様に整った顔立ちは平素のままでは冷たく、たとえ本人にそのつもりがなくても、恐ろしく見えてしまう。
堪え切れずにぷっと噴き出したのは、背後に控えていたハビエルだ。
が、アンヌを連れてきた家令に睨まれ、慌てて居住まいを正した。
「なぜ、私より彼を恐れるのです?」
ハビエルの主人はシュメルヒなのだから、普段から自分に対してもそれくらい気を遣って欲しいものだ。
コホン、と目の前の男が咳払いした。
王宮の人事を司る家令は、黒髪に白髪が混じった初老の男で、片眼鏡を掛け、きちっと伸びた背筋、がっしりした体格には威厳がある。
シュメルヒがオスロに来てからも何度か顔を合わせ、以来、何かと気にかけてくれる。
いかめしい顔つきだが、笑うと愛嬌が滲み出た。
ハビエルを専属侍従に付けてくれたのも彼だった。
「妃殿下。ハビエルはよくやっておりますか? 推薦した身としては、それが気がかりです」
背後からハビエルが期待に満ちた視線を送ってくる。
「多少、私に対しての礼儀を欠いている時もありますが」
背後の気配がしょぼしょぼと萎れた。
「……真面目で、気が利きます。たまに煩くはありますが、おかげで気が紛れて助かっています。彼を付けてくれて感謝します。ダリオン」
「左様で。嬉しいお言葉です。……ハビエル」
和やかだった目つきが一転、鋭くなる。
「は、はいっ!ダリオン様」
「後で来るように」
「かしこまりました……」
一度元気になった背後の気配が、再び消沈した。
ダリオンは次にアンヌを見やった。
「アンヌ」
「は、はい!?」
「お前は今日から、ヨアン殿下の部屋つき侍女に昇格となる。妃殿下たっての推薦だから、先にご挨拶に来たのだ。お前からも妃殿下に礼を述べなさい」
アンヌはポカンと呆けた顔をした。寝耳に水、という様子だ。
「私が殿下の? でも私、貴族ではありませんし、奉公もこれが初めてで、普段は厨房の床磨きが仕事で……実はあの時も、熱を出した同室の子とお役目を代っていただけなんです」
――あの時。
初夜の儀式でアンヌが取った行動には、ヨアンに対する献身が見て取れた。
皇太子を弟と引き合いに出すのはどうかと思ったが、アンヌは他人を色眼鏡で見ない質なのだろう。
今のヨアンに必要なのは、側にいてくれる<味方>だ。
(残念ながら、私はヨアン様に嫌われているし……)
ヨアンの<味方>になってあげたくても、不愛想で口下手、ハビエルが言う通り根暗な性格だ。
しかもヨアンはシュメルヒを怖がっている。
(現状、ヨアン様に好いてもらえる要素が皆無だ……)
秘かに落ち込んでいるシュメルヒを尻目に、ダリオンの話は続いていた。
「かつて殿下の乳母を勤めた御夫人がおられるから、まずはその方に付いて色々教えてもらいなさい。他にも部屋つき侍女はいるが、妃殿下たっての希望で、お前には専属として一番近くでお世話をするようにとのことだ」
アンヌは面食らっているが、ハビエルも同様に息を呑んだ気配がした。異例の大抜擢だ。
「ヒルデ女官長には私から伝えておこう」
異例の人事だが、イルミナが口添えしてくれたことで速やかに叶った。
シュメルヒ単独の推薦では、こうも簡単にダリオンが動いてくれたとは思えない。
「確か、母親が病気で出稼ぎのために城に上がったのだったな」
ダリオンは自身の顎に手をやりながら、
「言うまでもなく、給金は今の何倍にもなるだろう。もちろん、その分責任は重くなるから、心してお引き受けしなさい。お前の立場を羨む者も多いだろうから、くれぐれも慢心して敵を作る事のないよう、先輩方に教えを乞うのだぞ」
戸惑いしかなかったアンヌの目の奥に、少しずつ力が漲っていく。
「ご期待に恥じぬよう頑張ります。妃殿下」
「ええ。ヨアン様を頼みます」
ダリオンが二人を見て頷いた。
「よろしい。では、今の大部屋から荷物をまとめて来なさい。服も別に用意した物に着替える必要がある。……急いで。てきぱき動く!」
「は、はいっ」
ダリオンはシュメルヒには好々爺然として優しいが、部下である使用人たちに対してはまるで軍の教官のようだ。
ハビエルが後ろで借りてきた猫のように大人しくなっているのも分かる気がした。
「……アンヌは上手くやれるでしょうか」
あの調子では、そそっかしいアンヌは早々に音を上げて故郷に逃げ帰ってしまうのではないか……。
「アンヌを推薦したのはシュメルヒ様でしょ。ダリオン様はああ見えて、おっかないんですから……まあ、アンヌの場合、他にも厄介な問題が出てくると思いますけど」
「彼女をヨアン様に付けることにしたきっかけは貴方なのですよ、ハビ」
薄く笑うと、ハビエルは意味が分からない様子できょとんとした。
ハビエルのように、ヨアンにも心許せる相手がいてくれたらいいと思ったのだ。
「ですから貴方も同罪です」
◇
―数日後。
シュメルヒは王宮の庭園にある四阿単語で、ハビエルの給仕する紅茶を飲みながら本を読んでいた。
ひとりの時間を潰すのは得意だ。
それに今世ではオスロの読み書きを習得してきたおかげで、たくさんの本が読める。
初めて目にする物語や詩集、専門書……王宮の図書室で面白そうな蔵書を見つけては、つい色々と手を伸ばしてしまう。
前世ではあんなに本が嫌いだったのに、変われば変わるものだ。
今では、この愉しみは人生に欠かせない。
書架はただでさえ貴重だ。文字の読み書きが出来るのだって恵まれていると、つくづく思う。
真昼の陽気の中、静かに読み耽っていると、ふいに生垣の向こうに気配を感じだ。
「……?」
ウサギか、それとももっと大きな動物か。広大な庭園には野生動物も迷い込むから、キツネやアナグマかもしれない。
しかし、どれも違った。
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途切れがちに聞こえてくる小声のやりとり。
「ヨアン様、話しかけに行かないんですか?」
「お前が行って、妃と話してきて」
「私がですか? い、嫌です。妃殿下は凄くお綺麗だけど、いつも無表情でいらっしゃるし、怖いんですもの」
「命令だ。行ってきてよ」
「ヨアン様がご自分で行ってきてください」
「叔母上が、妃に謝罪して来なさいと言うから。ねえ、花を渡したら、すぐ帰っていい?」
「ヨアン様……二度も助けてくださった方に対してそんな態度は……。それにお花だって。そんな萎れたのじゃなくて、もっとちゃんとした綺麗なのがたくさん咲いてるのに」
(ヨアン様とアンヌ? 隠れてるつもり、なんだろうか)
明らかにこちらに気付いていながら、一向に生垣から出てこない。かといって立ち去る気配もない。
途切れ途切れの会話が聞こえてくる。
それにしても。
(<毒持ち>だからと恐れられるのはいつものことだが、『無表情』だから怖いとは。あの娘はやはり変わっている)
ハビエルとふたり、思わず顔を見合わせた。
「何なさってるんでしょうね、あの二人」
「さあ」
シュメルヒの方が聞きたい。
「声をかけて来ましょうか?」
「いえ、やめましょう。殿下は私に近づくのはお嫌でしょうし、声をかけて気まずい思いをさせたら申し訳ないですから」
「でも、あの様子では殿下はシュメルヒ様に用があるみたいですよ」
ハビエルがわざとらしく大きな咳ばらいをした。
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