【完結】喰われる秘書、囁く社長(3部作の1)

リリーブルー

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第一章:社長室に響く足音

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 瀬名(せな)律(りつ)は緊張しながら、書類を抱えて社長室の扉をノックした。
 社内では、
「東条社長に気に入られた者は二度と普通の部署に戻れない」
と、まことしやかに囁かれている。
 だが今の律にとっては、そんな噂よりも、すぐ隣のデスクに座る先輩――山瀬に少しでも認められたい一心だった。だから、そんなうわさなんか気にしない。むしろ、積極的に、みんなの敬遠する社長室にも行って、「仕事のできる新人」として、山瀬先輩に認めてもらいたい! 腕いっぱいの書類のみならず、そんな思いも同時に抱えて、律は、意気揚々と社長室の扉の前に立っていた。

「失礼します……秘書課の瀬名です。本日のスケジュールと、契約書の確認事項をお持ちしました」

「……ああ。入りなさい」

東条の声は低く、艶やかだった。喉の奥でなめらかに響くバリトン。その声だけで、背筋がぞくりとした。

東条は、まだ三十代のイケメン社長だ。
だが、高嶺の花。律から見たら手の届かない存在だ。
秘書課に所属しているから、こうして直接、社長と接することができるけれど、あくまで仕事上。
忙しい社長の邪魔をしないように、用を済ませたらすぐに退室するつもりだった。

扉を閉めた瞬間、後ろからぴたりと背中に気配が重なる。

「君、山瀬に……恋してるんだろう?」

「――っ!?」

東条は、まるで悪戯を仕掛けるように、囁きながら律の耳朶(じだ)に唇を寄せてきた。反射的に身を引こうとしたが、腕を取られて動けない。

「隠さなくていい。だが、山瀬には“恋人”がいる。女性の。知らなかったのか?」

律の脳が真っ白になった。手に持っていた書類がはらりと床に落ちる。

「でも、君のその純粋な想い……悪くない。だから、取引をしよう」

静かに、だが有無を言わせぬ手つきで顎を掴まれる。

「俺のものになれば、山瀬には何も言わない」

「やめ……社長、それは――っ」

「“やめて”って言葉、何度も言うことになると思う。でも……身体は嘘つかない」

そのまま、社長室の奥――ソファに押し倒される。逃げ場も、助けもない。だが東条の手つきは意外なほど丁寧で、まるで獲物を壊すまいとするかのように、じっくりと身体をまさぐってくる。

シャツのボタンが外され、硬くなった乳首に舌が這う。

「……っ、やっ……やめ、て」

「敏感なんだな……ココだけで、顔が歪む」

東条の舌が胸元をねっとりと這い、律は恥ずかしさと戸惑いで身体を震わせる。抵抗しようとするが、下半身はすでにじんわり熱を帯びていた。

「可愛いな……素直になれば、もっと気持ちよくしてやるのに」

その言葉と共に、ズボンの前が引き下ろされ、冷気に晒された律のそこに、温かな舌が触れる。

「や、あっ……! そんなっ、舐め……ないで、っ……」

だが、東条の舌は止まらない。粘着質に、いやらしく、根元から先端までを何度も何度も舐め上げる。啜るような音が社長室にこだまし、律の理性を削っていく。

「これも大好きな山瀬先輩のため、だろう? だったら……気持ちよくなってしまうことくらい、我慢できるよな? 山瀬と、こういうこと、したくてたまらなかったんだろう? わかるよ。律の、山瀬を見つめる熱い眼差しを見れば……」

腰を抱え上げられ、舌がさらに深く潜り込む。

「ん、ぅあ、……やだ、奥まで……っ、あぁぁっ……!」

快感に翻弄される中、律の脳裏には、先輩の優しい笑顔が浮かんでいた――けれど。

(違う……こんなの、望んでない……はず、なのに)

東条の囁きと、舌と、指が、その思考すらじわじわと蕩けさせていく――。

---

次章予告

第二章「指先の奥、濡れる言い訳」
東条は、律の体の奥深くに触れ始める。拒絶と快楽の狭間で揺れる律の感情が、やがて予想もしなかった「快楽の渇望」へと変わっていく。


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