潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十五章 晩餐にて

愛しい laccio 罠

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Caro laccio dolce nodo,
いとしい絆よ、優しい結び目よ、

ふいに、空間に、澄み切った、ボーイソプラノが流れてきた。

甘く優しい歌声。古く暖かい音。アナログの音。

ピアノ伴奏と共に、軽やかに、甘い空気が流れた。

譲が、席を立って、骨董品のレコードプレーヤーにレコードをセットし、針を落としたのだ。

針を落とす時の、ジジっという音、ただ水平にくるくる回る黒い盤の旋舞。

古い大きなスピーカーの豊かな響き。

「laccioは、『罠』なんだよ」

おじ様の、豊かな幅のある声が、少年の美声にからんだ。

「鳥や獣を捕らえる投げ縄のことだよ。こんな風に」

と言って、おじ様は、潤の首の周りを、ぐるりと一周、指でなぞった。

「先が輪になっている縄のことだ」

潤が、触られて気持ちよさげに

「ん……」

と喉を鳴らした。

「首吊りの縄みたいですね」

僕は、いやな感じがして言った。

「君もまた、不吉なことを言うね。実際、その意味もある」

おじ様が、僕の方を見て言った。

僕は、おじ様を憎むべき立場なのに、そうして見つめられると、たじろいでしまう。

「人に強制する時に、首に縄をかける、というその縄もそうだ」

おじ様は、再び、潤に視線を戻した。

「転じて、絆とか、関係、の意味がある」
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