潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

文字の大きさ
166 / 435
第十五章 晩餐にて

怒り

しおりを挟む
その怒りの元は、おじ様から来ているのかもしれない。
おじ様もまた、そのように、愛情の仮面をつけた怒りを、怒りという毒の入った愛情を、潤に与え、受け取ることを強制していたのかもしれない。

潤は、自分もまた、それを人に与えてしまうことを恐れて、人を遠ざけている。
セックスはしているけれど、淫らな自分をさらけ出しているようでいて、けして自分を見せていない。

潤の内包する怒りが、潤自身を恐れさせ、人を畏れさせていた。
潤は、愛すると殺してしまうかもしれない、と自分を恐れていた。

けれど、怒りは、エネルギーでもある。
潤の怒りは、潤を責めて潤を疲弊させているのだろうけれど、潤の憤怒や激怒が解消されて、潤が、楽になりますように。
潤が、自分の感じている感情を、苦しみなく、感じて手放すことができますように。
その手助けを、僕ができますように。



おじ様の、潤を目に入れても痛くない、というような眼差し。

エゴイスティックで狂気じみた愛情。

「潤、さあ、あと一皿あるよ」

白い楕円の皿に、赤い肉が並べられていた。

「んっ、あっ、いやっ」

潤は、おじ様に掴まえられて、あらがった。

軽い抵抗は、捕縛者を逆に興奮させた。

抗いは、媚態と化してしまっていた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...