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第四章
昔語り4
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「お兄さんは、愛情欠乏症だったんですね?」
僕は、おじ様の言葉を繰り返して尋ねた。
「そう思う。だから、あんなつまらない男から愛情をもらうために、身体まで差し出したのだと思う。兄さんの美しい肉体も汚れのない無垢な心も、捧げてしまったのだと思う。それだけ切実に無条件の愛が欲しかったから」
「そういうことですか」
僕は、ため息をついた。
「その行いは愚かだったが、気の毒な兄さんだ。なぜ、あんなに賢い人が、そうなってしまうのか、私は、悔しくてならなかった。どんなに泣いたかわからない」
おじ様は、さめざめと泣いているようだった。
暗闇の中、椅子に腰掛けて、床を見つめて、両の拳を握りしめていた。
潤が、起き上がる気配がした。
振り返ると、潤は、心配そうな顔で、おじ様を見ていた。
台の上に、ちょこなんと座りこんで、三歳児のような幼い表情で、親の心配をする潤。
ああ、潤にとっては、この人が親なのだ。
礼拝堂の闇で、うなだれて座っている、この人が、血のつながりのある、潤にとって頼れる唯一の大人だったのだ、と僕は再認識した。
この哀れな心の傷ついた弱い人に、頼らざるを得なかったのだ。
どうして潤を責めることができようか?
そして困ったことに、僕は、敵であるおじ様に、同情してきてしまっていた。
僕は、おじ様の言葉を繰り返して尋ねた。
「そう思う。だから、あんなつまらない男から愛情をもらうために、身体まで差し出したのだと思う。兄さんの美しい肉体も汚れのない無垢な心も、捧げてしまったのだと思う。それだけ切実に無条件の愛が欲しかったから」
「そういうことですか」
僕は、ため息をついた。
「その行いは愚かだったが、気の毒な兄さんだ。なぜ、あんなに賢い人が、そうなってしまうのか、私は、悔しくてならなかった。どんなに泣いたかわからない」
おじ様は、さめざめと泣いているようだった。
暗闇の中、椅子に腰掛けて、床を見つめて、両の拳を握りしめていた。
潤が、起き上がる気配がした。
振り返ると、潤は、心配そうな顔で、おじ様を見ていた。
台の上に、ちょこなんと座りこんで、三歳児のような幼い表情で、親の心配をする潤。
ああ、潤にとっては、この人が親なのだ。
礼拝堂の闇で、うなだれて座っている、この人が、血のつながりのある、潤にとって頼れる唯一の大人だったのだ、と僕は再認識した。
この哀れな心の傷ついた弱い人に、頼らざるを得なかったのだ。
どうして潤を責めることができようか?
そして困ったことに、僕は、敵であるおじ様に、同情してきてしまっていた。
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