潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第四章

竹春の語り 13

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「暴力は、よくないよ。別に、からかわれるくらいどうってことないよ。僕は、成績がいいから、みんなに一目置かれているんだ。進学校で成績は大事だよ。成績がよければ、多少人と違う、変わったところがあっても、みんなから認められる。それが中学の時とは違う、進学校のいいところだ。だから、竹春も、もうちょっとテスト勉強を、した方がいい」

「兄さんの美貌も成績も権威だからね。だけど俺は、腕力で」

「お前の体格の良さだって権威だろう。でも、暴力は、傷害罪に問われることだってある。違法だ。中学生でもないのに、まして進学校で腕力を奮っても、何のパワーの証明にもならない。権力で統制されていない暴力はあくまで違法な暴力にすぎない。法治国家で、暴力で権力を勝ち取ることはできないし権威にも無関係だ。腕力で権威を勝ち取りたいなら、スポーツという形で示せ。幸い、うちの高校は文武両道をうたっているから」

私は、兄に諭された。

「わかったよ、もう、つまらないことで殴ったりするのは、やめる」

私は、うなだれた。

私たちは、しばらく黙って歩いた。

兄は、相変わらず、単語帳で何かを覚えながら歩いていた。

「でも、ずるいよ、いつも兄さんばかり、いい思いして」
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