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第七章 ギルドと集団暴走
229 特別な乗り物……
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コウヤは商業ギルドのことを一旦、宮廷魔法師隊とビジェに任せると、教会に帰ってきた。
「棟梁、予定通り出発できそうですか?」
「ああ」
「良かった。一応、商人達の方はカタが付きそうです。これに懲りず、また王都観光してみてくださいね?」
「分かった……手間をかけさせたな……」
「いいえ」
集合は屋上だ。既にマンタを出してあり、積み込み作業が始まっている。ドーム型の不可視の結界で覆っているため、外から教会の居住区上の屋上にマンタがあることは見えない。
荷物の確認に行くという棟梁と別れると、ニールがアルキスと八人の兵を連れて来ていた。
「あ、その方達が常駐される兵の方ですか?」
「おう。で? なんでこんな新兵レベルのをここに? 言ってはなんだが、門番補佐ぐらいしか出来ねえぞ?」
落ち込んだ表情の兵達。彼らは兵の中での落ちこぼれ。兵になれるギリギリの水準しか力を持たない者たちだ。そういう彼らは、外壁の門での通行者確認の仕事ぐらいしか任せられない。門番ですらないのだ。問題がある侵入者を捕らえる力さえない。
日々多くの人の往来がある王都だからこそ、役割り分担として彼らを使うことが可能。だが、そういったことしかさせてはもらえない言わば、兵の中の事務作業要員だ。
「十分ですよ? ここで必要なのは、外門から出る時と入る時の手続きが出来る人です。この方達にチェックしてもらえれば、領内に出たり入ったりしても問題ないですよね?」
「あ? ああ。その証明も宰相から出て、持たせているが……?」
今日、この日の昼までに間に合えば良いのでお願いしますと、ベルナディオ宰相には委細説明して頼んでおいたのだ。
「とりあえず、皆さんの仕事場に案内しますね。その道中お話します」
居住区の上階へ案内する。不安そうな表情は変わらないので、早速説明を始める。ニールが最後尾、アルキスがコウヤの隣に並んだ。
「アルキス様はご存知だと思いますが、一部の神官達は転移が使えます。領を跨ぐ場合は聖域間での移動しか無理ですので、そこは王が許可してくださいました。『神官の転移による入領、出領には制限をかけない。ただし、責任はすべて聖魔教会に一任する』と」
この転移は現在、白夜部隊とベニ達しかできない。聖域間の転移が可能なのは、コウヤ謹製の四円柱を持つ神子か巫女の力を有する者。または大神官、大巫女の職業を持つ者だけ。
それは『神に認められた者』と言っても過言ではない。だからこそ、領への出入りに制限をかけないことになった。
だが一つ問題がある。神官達は信用されたが、神官達が一緒に転移してきた者は別だ。保護してきた場合もあるだろう。それは、身分証も持たない者かもしれない。領内で騒動に巻き込まれて他領にという場合もある。その時、この中に門番が居れば良いと思ったのだ。
「なので、この教会内部に、転移によって移動して来た者のための門を用意したんです。門では基本、身分証を確認するだけでしょう? それをここでやってもらおうと思うんです。ここの神官達はその辺の兵の方達にも負けない力を持ってますし、荒ごとの心配はいりません」
「まあ、それに神官らが悪い奴らを連れてきた所で、そのまま外には出さんだろう……」
「あ、すごい信頼されてます?」
「いや、だって神官殺しを許している状況だしな?」
「ですよねー」
聖魔教に責任をというのは、全部含めて信用していますよということだ。神に認められた教会というのも信頼度が大きい。
そこで、聞いていた兵達が恐る恐る声をかけてきた。
「あ、あの……し、神官殺しと聞こえたように思ったのですが……っ」
「ええ。転移できるのは大司教と司教以外、全員が神官殺しだった人たちです。大丈夫ですよ? 今はちゃんと正気ですし、彼らが味方なら怖いものはないでしょう?」
「ないですね……」
「ない……かも」
「味方なら……」
納得してくれたらしい。
「それでですね。門番を今日この時までにとお願いしたのには理由があって、俺が所有している特別な乗り物でここから出発したいからです」
「特別な乗り物……コウヤのってのが問題ありそうだな……一度あの神官らにバイク見せてもらったが、アレはないわ。俺にもくれ」
目が輝いた。言いたかったのだろう。機会があればと思っていたのがわかりやすい。
「最後のが重要そうですね? でもダメです。アルキス様に渡したら、大事な時に帰って来なさそうなので」
「……なんで分かるんだよ……」
あんな物を渡したら、絶対に遊び歩くに決まっている。
「勘です。それは置いておいて、ドラム組と屋台部隊をまとめて連れて来た乗り物がありまして、この屋上に発着場を作ったんです。なので、これからこの王都を出て行く人たちのチェックをお願いします。ユースールの方でも同じように教会内で入領手続きができるようにしてありますので、後はここにあなた方を常駐させるだけだったんですよ」
「……おい、コウヤ……もしかしてそれ……飛んでくのか?」
「はい。あ、先に見ます?」
そのまま屋上に案内した。下には転移用の兵に居てもらう場所があると簡単に説明しておいた。
「こっちの通路が飛行船の出入口です。なので、飛行船の発着がある場合のあなた方の仕事部屋はこちらになります」
今はもう、荷物の積み込みも終わったらしく、人の出入りはない。一応は空港の入場ゲートっぽいものを作ってみた。
見た目だけだが、奥には貨物用のエレベーターもあるので、最終的に乗り込む時にはこっちからという決まりを作ってある。そのゲートの手前に研修口のようなものを用意した。そこで入出領手続きをしてもらう。
屋上に出る前。そこには、見張りの神官が立っていた。
「あ、ケラさん。お疲れ様です。今は誰も?」
「はい。全員、昼食に行かれました。荷物の積み込みも終わっております。次はそちらのゲートからというのもお伝えいたしました」
「ありがとうございます」
彼女は白夜部隊の一人。気配察知に優れた人物だ。【極】の上の【越】を持っている。
コウヤはアルキス達を振り向いて説明する。
「ここを使う時は、こうして気配察知【極】以上の者を待機させます。出発する場合、荷物の積み込みが終わったら、一旦全員退艦してもらい、誰も居ないことを確認します」
「それであっちから改めて入ってもらうってことか」
「はい。それで、全員にこのリボンを渡してください」
コウヤが見せたのは、赤い五センチ幅のリボン。
「これをこうして……腕に近付けると……」
「うおっ。巻き付いた!?」
アルキスの腕に近付けると、触れた一瞬でシュルリと腕に巻き付いた。
「これは、そこのゲートを潜らないと外れません」
「っ……あっ、マジだっ。スルって! ん? 壁にくっ付いた?」
リボンは外れてゲートの壁にペタリとくっ付いた。磁石でもあるようだ。
それを見たニールが感心したように何度も頷く。
「なるほど。それで全員が確実にそこを通ったかが分かるのですね」
「そうです。出て行く時に人数の報告が着陸予定の場所に出来るように伝達の魔導具もあるので、それで確認もできます」
少し落ち着いた所で、ついにお披露目だ。
「では、お待たせしました。これが闇飛行船マンタです!」
「なんじゃこりゃぁぁぁっ」
「っ!?」
「……こ、これが……もしかして、飛ぶ?」
「これが?」
「すごい……」
「素晴らしい! さすがはコウヤ様です!」
ニールは絶賛してくれた。
「ということなので、よろしくお願いしますね?」
「……」
「……」
「……」
因みに、コウヤが転移できるというのはまだ秘密なので、テンキの特殊能力だと説明しておいた。
コウヤは、目を丸くするアルキスや兵達と共に、ドラム組達と屋台部隊の乗るマンタを見送った。船長にダンゴが居れば問題ない。
ケラに兵達への仕事内容の確認を任せ、コウヤはアルキスとニール、ビジェを連れて王宮へ向かった。
「色々と驚かされたが……報告だな。ってか、魔法師が走り回ってたんだが……あれ、コウヤか?」
魔法師達も既に調べを終えて城に戻っているらしいのだ。
「はい。調べるのを手伝ってもらいました。覚えた魔法は使える機会があれば使いたいと思うのが魔法師ですからねっ」
「……やっぱ、コウヤに掌握しといてもらって正解だわ……」
そんな話をしながら案内された部屋には、生き生きと書類を読むベルナディオ宰相と、常に頭を抱えるアビリス王とジルフィス。そして、キレ気味なミラルファが居た。
「えっと……大変そうですね?」
「ん? む、コウヤっ。すまんな……また手伝ってもらったようだ」
アビリス王が弱ったような顔でそう告げた。かなりお疲れだ。後で何か差し入れしようと決める。
「いえ。ちょっと抗議に行っただけです。それでコレは……逆に申し訳ないのですけど」
「いやいや、これで膿が出し切れるというものだ。商業ギルドまで腐ってしまっていたとはさすがに驚いたが、これで良くなるのならば願ってもない」
既に商業ギルドの代表本部には抗議を入れたらしい。そちらからも監査が入るようだ。本部がまともであることを願う。ユースールの商業ギルドで問題が出た時にきちんと動いてくれたのを考えると、恐らく大丈夫だろう。
「それでですね。先に神教国について、一つお話ししなくてはならないことがありまして……」
申し訳なさそうに、コウヤは手を合わせる。ここでまた問題をというのが本当に申し訳ない。
「なんだ?」
「えっとですね……アビリス王の罹っていた病についてです。あの病は呪いが入ってまして……特殊な魔導具とか、生贄とかも必要になるんですけど……はっきり言ってしまうと、原因は神教国の教会だったってことが分かってしまいました」
「はあ!?」
「なんだと!?」
飛び上がるように、全員が立ち上がっていた。
************
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
「棟梁、予定通り出発できそうですか?」
「ああ」
「良かった。一応、商人達の方はカタが付きそうです。これに懲りず、また王都観光してみてくださいね?」
「分かった……手間をかけさせたな……」
「いいえ」
集合は屋上だ。既にマンタを出してあり、積み込み作業が始まっている。ドーム型の不可視の結界で覆っているため、外から教会の居住区上の屋上にマンタがあることは見えない。
荷物の確認に行くという棟梁と別れると、ニールがアルキスと八人の兵を連れて来ていた。
「あ、その方達が常駐される兵の方ですか?」
「おう。で? なんでこんな新兵レベルのをここに? 言ってはなんだが、門番補佐ぐらいしか出来ねえぞ?」
落ち込んだ表情の兵達。彼らは兵の中での落ちこぼれ。兵になれるギリギリの水準しか力を持たない者たちだ。そういう彼らは、外壁の門での通行者確認の仕事ぐらいしか任せられない。門番ですらないのだ。問題がある侵入者を捕らえる力さえない。
日々多くの人の往来がある王都だからこそ、役割り分担として彼らを使うことが可能。だが、そういったことしかさせてはもらえない言わば、兵の中の事務作業要員だ。
「十分ですよ? ここで必要なのは、外門から出る時と入る時の手続きが出来る人です。この方達にチェックしてもらえれば、領内に出たり入ったりしても問題ないですよね?」
「あ? ああ。その証明も宰相から出て、持たせているが……?」
今日、この日の昼までに間に合えば良いのでお願いしますと、ベルナディオ宰相には委細説明して頼んでおいたのだ。
「とりあえず、皆さんの仕事場に案内しますね。その道中お話します」
居住区の上階へ案内する。不安そうな表情は変わらないので、早速説明を始める。ニールが最後尾、アルキスがコウヤの隣に並んだ。
「アルキス様はご存知だと思いますが、一部の神官達は転移が使えます。領を跨ぐ場合は聖域間での移動しか無理ですので、そこは王が許可してくださいました。『神官の転移による入領、出領には制限をかけない。ただし、責任はすべて聖魔教会に一任する』と」
この転移は現在、白夜部隊とベニ達しかできない。聖域間の転移が可能なのは、コウヤ謹製の四円柱を持つ神子か巫女の力を有する者。または大神官、大巫女の職業を持つ者だけ。
それは『神に認められた者』と言っても過言ではない。だからこそ、領への出入りに制限をかけないことになった。
だが一つ問題がある。神官達は信用されたが、神官達が一緒に転移してきた者は別だ。保護してきた場合もあるだろう。それは、身分証も持たない者かもしれない。領内で騒動に巻き込まれて他領にという場合もある。その時、この中に門番が居れば良いと思ったのだ。
「なので、この教会内部に、転移によって移動して来た者のための門を用意したんです。門では基本、身分証を確認するだけでしょう? それをここでやってもらおうと思うんです。ここの神官達はその辺の兵の方達にも負けない力を持ってますし、荒ごとの心配はいりません」
「まあ、それに神官らが悪い奴らを連れてきた所で、そのまま外には出さんだろう……」
「あ、すごい信頼されてます?」
「いや、だって神官殺しを許している状況だしな?」
「ですよねー」
聖魔教に責任をというのは、全部含めて信用していますよということだ。神に認められた教会というのも信頼度が大きい。
そこで、聞いていた兵達が恐る恐る声をかけてきた。
「あ、あの……し、神官殺しと聞こえたように思ったのですが……っ」
「ええ。転移できるのは大司教と司教以外、全員が神官殺しだった人たちです。大丈夫ですよ? 今はちゃんと正気ですし、彼らが味方なら怖いものはないでしょう?」
「ないですね……」
「ない……かも」
「味方なら……」
納得してくれたらしい。
「それでですね。門番を今日この時までにとお願いしたのには理由があって、俺が所有している特別な乗り物でここから出発したいからです」
「特別な乗り物……コウヤのってのが問題ありそうだな……一度あの神官らにバイク見せてもらったが、アレはないわ。俺にもくれ」
目が輝いた。言いたかったのだろう。機会があればと思っていたのがわかりやすい。
「最後のが重要そうですね? でもダメです。アルキス様に渡したら、大事な時に帰って来なさそうなので」
「……なんで分かるんだよ……」
あんな物を渡したら、絶対に遊び歩くに決まっている。
「勘です。それは置いておいて、ドラム組と屋台部隊をまとめて連れて来た乗り物がありまして、この屋上に発着場を作ったんです。なので、これからこの王都を出て行く人たちのチェックをお願いします。ユースールの方でも同じように教会内で入領手続きができるようにしてありますので、後はここにあなた方を常駐させるだけだったんですよ」
「……おい、コウヤ……もしかしてそれ……飛んでくのか?」
「はい。あ、先に見ます?」
そのまま屋上に案内した。下には転移用の兵に居てもらう場所があると簡単に説明しておいた。
「こっちの通路が飛行船の出入口です。なので、飛行船の発着がある場合のあなた方の仕事部屋はこちらになります」
今はもう、荷物の積み込みも終わったらしく、人の出入りはない。一応は空港の入場ゲートっぽいものを作ってみた。
見た目だけだが、奥には貨物用のエレベーターもあるので、最終的に乗り込む時にはこっちからという決まりを作ってある。そのゲートの手前に研修口のようなものを用意した。そこで入出領手続きをしてもらう。
屋上に出る前。そこには、見張りの神官が立っていた。
「あ、ケラさん。お疲れ様です。今は誰も?」
「はい。全員、昼食に行かれました。荷物の積み込みも終わっております。次はそちらのゲートからというのもお伝えいたしました」
「ありがとうございます」
彼女は白夜部隊の一人。気配察知に優れた人物だ。【極】の上の【越】を持っている。
コウヤはアルキス達を振り向いて説明する。
「ここを使う時は、こうして気配察知【極】以上の者を待機させます。出発する場合、荷物の積み込みが終わったら、一旦全員退艦してもらい、誰も居ないことを確認します」
「それであっちから改めて入ってもらうってことか」
「はい。それで、全員にこのリボンを渡してください」
コウヤが見せたのは、赤い五センチ幅のリボン。
「これをこうして……腕に近付けると……」
「うおっ。巻き付いた!?」
アルキスの腕に近付けると、触れた一瞬でシュルリと腕に巻き付いた。
「これは、そこのゲートを潜らないと外れません」
「っ……あっ、マジだっ。スルって! ん? 壁にくっ付いた?」
リボンは外れてゲートの壁にペタリとくっ付いた。磁石でもあるようだ。
それを見たニールが感心したように何度も頷く。
「なるほど。それで全員が確実にそこを通ったかが分かるのですね」
「そうです。出て行く時に人数の報告が着陸予定の場所に出来るように伝達の魔導具もあるので、それで確認もできます」
少し落ち着いた所で、ついにお披露目だ。
「では、お待たせしました。これが闇飛行船マンタです!」
「なんじゃこりゃぁぁぁっ」
「っ!?」
「……こ、これが……もしかして、飛ぶ?」
「これが?」
「すごい……」
「素晴らしい! さすがはコウヤ様です!」
ニールは絶賛してくれた。
「ということなので、よろしくお願いしますね?」
「……」
「……」
「……」
因みに、コウヤが転移できるというのはまだ秘密なので、テンキの特殊能力だと説明しておいた。
コウヤは、目を丸くするアルキスや兵達と共に、ドラム組達と屋台部隊の乗るマンタを見送った。船長にダンゴが居れば問題ない。
ケラに兵達への仕事内容の確認を任せ、コウヤはアルキスとニール、ビジェを連れて王宮へ向かった。
「色々と驚かされたが……報告だな。ってか、魔法師が走り回ってたんだが……あれ、コウヤか?」
魔法師達も既に調べを終えて城に戻っているらしいのだ。
「はい。調べるのを手伝ってもらいました。覚えた魔法は使える機会があれば使いたいと思うのが魔法師ですからねっ」
「……やっぱ、コウヤに掌握しといてもらって正解だわ……」
そんな話をしながら案内された部屋には、生き生きと書類を読むベルナディオ宰相と、常に頭を抱えるアビリス王とジルフィス。そして、キレ気味なミラルファが居た。
「えっと……大変そうですね?」
「ん? む、コウヤっ。すまんな……また手伝ってもらったようだ」
アビリス王が弱ったような顔でそう告げた。かなりお疲れだ。後で何か差し入れしようと決める。
「いえ。ちょっと抗議に行っただけです。それでコレは……逆に申し訳ないのですけど」
「いやいや、これで膿が出し切れるというものだ。商業ギルドまで腐ってしまっていたとはさすがに驚いたが、これで良くなるのならば願ってもない」
既に商業ギルドの代表本部には抗議を入れたらしい。そちらからも監査が入るようだ。本部がまともであることを願う。ユースールの商業ギルドで問題が出た時にきちんと動いてくれたのを考えると、恐らく大丈夫だろう。
「それでですね。先に神教国について、一つお話ししなくてはならないことがありまして……」
申し訳なさそうに、コウヤは手を合わせる。ここでまた問題をというのが本当に申し訳ない。
「なんだ?」
「えっとですね……アビリス王の罹っていた病についてです。あの病は呪いが入ってまして……特殊な魔導具とか、生贄とかも必要になるんですけど……はっきり言ってしまうと、原因は神教国の教会だったってことが分かってしまいました」
「はあ!?」
「なんだと!?」
飛び上がるように、全員が立ち上がっていた。
************
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
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