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一章
22. ルーフトップバーで野武士の友人と①
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月落が丸の内で宇治抹茶ラテを飲んでいたのと同じ日の20時頃、鳴成秋史の姿は地上50階にあるルーフトップバーにあった。
東京湾を見渡せる室内のソファ席に、長い足を組んで座っている。
ダークネイビーの三つ揃えにペールグリーンのネクタイを締めているので大学にいる時と同様の装いに見えるが、一点だけ違うことがある。
いつもはセンターパートでセットしている髪を、さらりと下ろしているのだ。
それが童顔を加速させ、なおかつ一糸乱れぬスーツとのギャップを生み出した。
影響は言わずもがな、周囲の女性を虜にしている。
灯りの落とされた店内へと入った途端に四方八方から好奇の矢で射られていた鳴成だが、我関せずの格好を崩さず、今もシャルドネの白ワインをゆっくりと傾けている。
彼は今夜、ひとりではない。
向かいには男が座っていて、猛烈な勢いでクラブハウスサンドを食べている。
ぴたりと揃えた膝の上に皿を置いて。
「鳴成、ごめん。ちょっとだけ待っててくれ。5分で食べ終わる」
そう宣言した男は注文が到着するなり、見るからに具沢山なサンドイッチを大口で攻略し始めた。
長年の付き合いでマイペースには慣れている鳴成は、特段何も気にせずミックスナッツを食みながらワインを味わう。
「待たせたな」
きっかり5分後、綺麗に平らげた皿をテーブルへと戻した男は手元のジンフィズをグラス半ばまで一気飲みした。
「いいえ。まるでこれが一食目かのような食べっぷりでしたね」
「正解だ。今日は朝から会議三昧で、食事をする時間が取れなかったんだ。タクシー降りたとこで倒れるかと思ったよ、空腹で」
三白眼を細めながらにやりと笑うこの男、鳴成の20年来の友人である。
「課長に昇任されてから忙しさに拍車がかかっているような気がしますね」
「課長補佐になった時点で激務の程度が数段跳ね上がったから、役職が変わってもあんまりそこの実感はないな。あっちこっち移動する業務が減った分行動範囲は狭くなったんだが、何かと神経を使う業務が増えてストレス値はほぼ横ばいだ」
「重藤さんの身体が壊れないか心配です」
「大丈夫だ、俺にもあったかい食事を作ってくれる人ができた」
重藤寿信、44歳。
昨年の春に本省の課長職を拝命した、所謂『キャリア』と呼ばれるエリート国家公務員である。
仕立ての良いグレーのスーツにボルドーのネクタイが雰囲気に合っている。
「重藤さんから結婚式の招待状が届いた、と母が飛び上がって喜んでいました。家族と共に出席させていただきます」
「俺もこの年だしあんまり派手派手しいのは奥さんも苦手でな、ガーデンウェディングにしたから気楽に来てくれ。有紗ちゃんには子供優先で無理のないようにと伝えてほしい」
「ええ、伝えておきます」
「いやでも、まさかこの俺が結婚するとはなぁ……人生何があるか本当に分かんないよなぁ」
「確かに。私たちが学生だった頃のことを思うと想像もできなかった未来かもしれませんが、重藤さんはとても努力されましたから」
二人の出会いは遥か昔、大学1年生の春に遡る。
私立大学の国際教養学部に通い始めた鳴成は、キャンパスを友人と歩いている最中いきなり土下座で嘆願されるという異常事態に遭遇した。
ずんぐりむっくりの体型に濃いめの無精髭を生やし、髪は長すぎてボサボサ、お洒落度ゼロの黒縁眼鏡という出で立ちのその男。
正真正銘の初対面だった。
鳴成の隣にいた友人曰く、新1年生にも関わらずその強烈な見た目から『野武士』というあだ名が付けられるほど、キャンパス内では既に有名人であるらしい。
重藤と名乗った男は、助けてほしいの一言を添えて鳴成に再度土下座をした。
「あれは、何年たっても色鮮やかに思い出せる光景として焼きついています」
「ごめん、そうだよな。今の俺からしてみてもひどい有り様だった。富山のド田舎から出てきたばっかりで、東京の人とどれだけ自分が見た目的にかけ離れているかを自覚してなかったんだ。いや、自覚はしていたんだが、自己認識と他者認識があんなに乖離してると思ってなかったんだ」
鳴成は逃げ出したかったが、そのあまりの必死さに、ひとまず大学の空き教室に移動して話を聴いた。
友人は逃げて行ったが。
重藤は下を向きながら、こう告げた。
どうしてもこの大学の経済学部に通いたくて3浪し、念願叶って入学して自分なりに楽しいキャンパスライフを送っていたところ、女神に出会った。
つまり、同じ学部の女子学生に恋をした。
今の自分じゃ彼女に釣り合わないから、どうか格好良くなれる手伝いをしてくれないか。
切々と、最後の方は縋りつく勢いで頼まれた。
この大学で一番顔も服も整ってると噂されてる鳴成なら、こんな俺でもどうにかマシな見てくれに変身させることができるだろう、と。
鳴成はどうしたらいいか迷った末、美容サロンを経営している母に連絡を取り、その日のうちに実家へと連れて行ったのである。
「利沙さんに初めて会った時の、あの何とも言えない、間違って人里に下りてきた猪に遭遇した時のような表情は凄かったな。それをたったの1秒で切り替えて極上の笑顔で迎えてくれたのを見て、上流階級の方のマナーを体感したんだよな」
「最初から笑顔を繕えなかったことを、母はあの後とても後悔していましたけどね。レディとして失格だと」
「それは今初めて知ったし、悪いことをしたな。どう考えても全面的に落ち度があったのは俺だ。自分でも汚かったと反省してる」
それから、利沙による重藤改造計画が行われた。
『男性は清潔感が最も大事。笑顔や仕草、気の遣い方ももちろん大事だけれど、清潔感さえあれば魅力は二乗で膨れ上がる』との教えを信じ、重藤は生活のほぼ全てを見直した。
野菜多めタンパク質多めの食事に切り替え、夜はランニング。
髭は毎日綺麗に剃り、髪型も変え、日雇いのバイトを掛け持ちして服も一新した。
約1カ月間の血の滲むような努力のあと、別人へと変身を遂げた自分を鏡で確認した重藤は、意気揚々と女子学生に告白をした。
「くくく、懐かしいな。まさか、あんなに瞬殺で振られるなんて……くくく……」
「まさか彼氏がいたとは、思いもよりませんでしたね」
「ああ、完全にリサーチ不足だった」
思い出すほどに可笑しい。
付き合ってください!と腹の底から出た声にもはや上から被せるようにして、ごめんなさい!と返ってきた時には予想外すぎて呆然としてしまった。
時って本当に止まるんだなと、図らずも奇跡の体験してしまった日だった。
「意気消沈して一人暮らしのアパートに帰るのも虚しくて、自然と鳴成の家に行ってしまった俺をみんな温かく迎えてくれて……東京の人も優しいんだって思ったんだよな。利沙さんなんて一緒に泣いてくれたし」
「母は感情直下型ですから。重藤さんを、もうひとりの息子と思っていた節すらあります」
「本当にありがたい。鳴成が2年後にイギリスに行った時でも寂しくなかったのは、どう考えても鳴成家のおかげだ」
重藤が振られても、家族ぐるみの付き合いは終了しなかった。
というのも、告白は断られたが続きがあったからだ。
『だけど、野武士だった重藤さんがこんなにさっぱりして素敵になったのにはビックリした。たぶん、彼氏がいなかったら付き合ってた。私に告白するために変わってくれたのなら、すごく嬉しい。ありがとう』と言われたのだ。
その言葉ではっとした。
外見なんて気にせず汚い様相の時には他人は自分を遠巻きにしていたのに、清潔感を得た今は前ほど距離が開けられなくなったと気がついたからだ。
教室でも自分の周りだけ空席ということも減ったし、時々挨拶されるようにもなった気もする。
清潔感が一番大事、それさえあれば魅力は上がる。
それを身を以て知った重藤は、それから自分磨きに開眼した。
「私の家族が重藤さんとの関係を保ったのは、ひとえに重藤さんの人柄故だと思います。我が家は中々にシビアで、努力を怠る人間は門前払いなので」
「あの頃の俺が誇れるものは、継続する根性しかなかったからな」
この男、大学受験の前は偏差値40の高校に通っていた。
それを、入りたい大学を見つけたからと宅浪で3年勉強し続け、私立大学で一番偏差値の高い学部から合格をもぎ取った、ある意味本物の『武士』である。
ちなみに、鳴成と重藤の卒業校は、逢宮大学と並んで私立トップと称される双頭のもう片方である。
継続が得意という長所も上手く働いたおかげで、大学卒業後も利沙に都度相談した重藤は、ライフステージに合わせて身なりを整えることに成功した。
『三白眼で少し鋭利だけれど、すっきりしていて爽やかな男性』の完成である。
「イギリスの寮生活にも慣れた頃、日本に帰国して久しぶりにお会いした時には驚きました。すっかりスマートな装いが板に付いていらしたので」
「あれは鳴成をあっと言わせようって、利沙さんが悪ノリした結果でもあるけどな」
鳴成が在英中も重藤が遊びに行ったり、一時帰国している間も日本で食事に行ったりと繋がりは消えなかった。
友人の数は人より少ないと自覚のある鳴成だが、重藤は単に大学の同級生というより間違いなく親しい友人のひとりと言える。
「重藤さん、本当に素敵になられました」
「野武士の頃を奥さんに見せたら泡吹いて倒れるだろうな。絶対に見せないけど」
「そう言えば、出会いはどういう経緯だったんです?」
ここ半年ほど互いに忙しくしていた。
前回食事をした際に交際相手がいるとは聞いていたが、あまり掘り下げられないまま終わっていた。
重藤は今までも数名と交際はしていたが、結婚に至るまでの真剣交際ではなかったと記憶しているので、鳴成としても興味が湧く。
東京湾を見渡せる室内のソファ席に、長い足を組んで座っている。
ダークネイビーの三つ揃えにペールグリーンのネクタイを締めているので大学にいる時と同様の装いに見えるが、一点だけ違うことがある。
いつもはセンターパートでセットしている髪を、さらりと下ろしているのだ。
それが童顔を加速させ、なおかつ一糸乱れぬスーツとのギャップを生み出した。
影響は言わずもがな、周囲の女性を虜にしている。
灯りの落とされた店内へと入った途端に四方八方から好奇の矢で射られていた鳴成だが、我関せずの格好を崩さず、今もシャルドネの白ワインをゆっくりと傾けている。
彼は今夜、ひとりではない。
向かいには男が座っていて、猛烈な勢いでクラブハウスサンドを食べている。
ぴたりと揃えた膝の上に皿を置いて。
「鳴成、ごめん。ちょっとだけ待っててくれ。5分で食べ終わる」
そう宣言した男は注文が到着するなり、見るからに具沢山なサンドイッチを大口で攻略し始めた。
長年の付き合いでマイペースには慣れている鳴成は、特段何も気にせずミックスナッツを食みながらワインを味わう。
「待たせたな」
きっかり5分後、綺麗に平らげた皿をテーブルへと戻した男は手元のジンフィズをグラス半ばまで一気飲みした。
「いいえ。まるでこれが一食目かのような食べっぷりでしたね」
「正解だ。今日は朝から会議三昧で、食事をする時間が取れなかったんだ。タクシー降りたとこで倒れるかと思ったよ、空腹で」
三白眼を細めながらにやりと笑うこの男、鳴成の20年来の友人である。
「課長に昇任されてから忙しさに拍車がかかっているような気がしますね」
「課長補佐になった時点で激務の程度が数段跳ね上がったから、役職が変わってもあんまりそこの実感はないな。あっちこっち移動する業務が減った分行動範囲は狭くなったんだが、何かと神経を使う業務が増えてストレス値はほぼ横ばいだ」
「重藤さんの身体が壊れないか心配です」
「大丈夫だ、俺にもあったかい食事を作ってくれる人ができた」
重藤寿信、44歳。
昨年の春に本省の課長職を拝命した、所謂『キャリア』と呼ばれるエリート国家公務員である。
仕立ての良いグレーのスーツにボルドーのネクタイが雰囲気に合っている。
「重藤さんから結婚式の招待状が届いた、と母が飛び上がって喜んでいました。家族と共に出席させていただきます」
「俺もこの年だしあんまり派手派手しいのは奥さんも苦手でな、ガーデンウェディングにしたから気楽に来てくれ。有紗ちゃんには子供優先で無理のないようにと伝えてほしい」
「ええ、伝えておきます」
「いやでも、まさかこの俺が結婚するとはなぁ……人生何があるか本当に分かんないよなぁ」
「確かに。私たちが学生だった頃のことを思うと想像もできなかった未来かもしれませんが、重藤さんはとても努力されましたから」
二人の出会いは遥か昔、大学1年生の春に遡る。
私立大学の国際教養学部に通い始めた鳴成は、キャンパスを友人と歩いている最中いきなり土下座で嘆願されるという異常事態に遭遇した。
ずんぐりむっくりの体型に濃いめの無精髭を生やし、髪は長すぎてボサボサ、お洒落度ゼロの黒縁眼鏡という出で立ちのその男。
正真正銘の初対面だった。
鳴成の隣にいた友人曰く、新1年生にも関わらずその強烈な見た目から『野武士』というあだ名が付けられるほど、キャンパス内では既に有名人であるらしい。
重藤と名乗った男は、助けてほしいの一言を添えて鳴成に再度土下座をした。
「あれは、何年たっても色鮮やかに思い出せる光景として焼きついています」
「ごめん、そうだよな。今の俺からしてみてもひどい有り様だった。富山のド田舎から出てきたばっかりで、東京の人とどれだけ自分が見た目的にかけ離れているかを自覚してなかったんだ。いや、自覚はしていたんだが、自己認識と他者認識があんなに乖離してると思ってなかったんだ」
鳴成は逃げ出したかったが、そのあまりの必死さに、ひとまず大学の空き教室に移動して話を聴いた。
友人は逃げて行ったが。
重藤は下を向きながら、こう告げた。
どうしてもこの大学の経済学部に通いたくて3浪し、念願叶って入学して自分なりに楽しいキャンパスライフを送っていたところ、女神に出会った。
つまり、同じ学部の女子学生に恋をした。
今の自分じゃ彼女に釣り合わないから、どうか格好良くなれる手伝いをしてくれないか。
切々と、最後の方は縋りつく勢いで頼まれた。
この大学で一番顔も服も整ってると噂されてる鳴成なら、こんな俺でもどうにかマシな見てくれに変身させることができるだろう、と。
鳴成はどうしたらいいか迷った末、美容サロンを経営している母に連絡を取り、その日のうちに実家へと連れて行ったのである。
「利沙さんに初めて会った時の、あの何とも言えない、間違って人里に下りてきた猪に遭遇した時のような表情は凄かったな。それをたったの1秒で切り替えて極上の笑顔で迎えてくれたのを見て、上流階級の方のマナーを体感したんだよな」
「最初から笑顔を繕えなかったことを、母はあの後とても後悔していましたけどね。レディとして失格だと」
「それは今初めて知ったし、悪いことをしたな。どう考えても全面的に落ち度があったのは俺だ。自分でも汚かったと反省してる」
それから、利沙による重藤改造計画が行われた。
『男性は清潔感が最も大事。笑顔や仕草、気の遣い方ももちろん大事だけれど、清潔感さえあれば魅力は二乗で膨れ上がる』との教えを信じ、重藤は生活のほぼ全てを見直した。
野菜多めタンパク質多めの食事に切り替え、夜はランニング。
髭は毎日綺麗に剃り、髪型も変え、日雇いのバイトを掛け持ちして服も一新した。
約1カ月間の血の滲むような努力のあと、別人へと変身を遂げた自分を鏡で確認した重藤は、意気揚々と女子学生に告白をした。
「くくく、懐かしいな。まさか、あんなに瞬殺で振られるなんて……くくく……」
「まさか彼氏がいたとは、思いもよりませんでしたね」
「ああ、完全にリサーチ不足だった」
思い出すほどに可笑しい。
付き合ってください!と腹の底から出た声にもはや上から被せるようにして、ごめんなさい!と返ってきた時には予想外すぎて呆然としてしまった。
時って本当に止まるんだなと、図らずも奇跡の体験してしまった日だった。
「意気消沈して一人暮らしのアパートに帰るのも虚しくて、自然と鳴成の家に行ってしまった俺をみんな温かく迎えてくれて……東京の人も優しいんだって思ったんだよな。利沙さんなんて一緒に泣いてくれたし」
「母は感情直下型ですから。重藤さんを、もうひとりの息子と思っていた節すらあります」
「本当にありがたい。鳴成が2年後にイギリスに行った時でも寂しくなかったのは、どう考えても鳴成家のおかげだ」
重藤が振られても、家族ぐるみの付き合いは終了しなかった。
というのも、告白は断られたが続きがあったからだ。
『だけど、野武士だった重藤さんがこんなにさっぱりして素敵になったのにはビックリした。たぶん、彼氏がいなかったら付き合ってた。私に告白するために変わってくれたのなら、すごく嬉しい。ありがとう』と言われたのだ。
その言葉ではっとした。
外見なんて気にせず汚い様相の時には他人は自分を遠巻きにしていたのに、清潔感を得た今は前ほど距離が開けられなくなったと気がついたからだ。
教室でも自分の周りだけ空席ということも減ったし、時々挨拶されるようにもなった気もする。
清潔感が一番大事、それさえあれば魅力は上がる。
それを身を以て知った重藤は、それから自分磨きに開眼した。
「私の家族が重藤さんとの関係を保ったのは、ひとえに重藤さんの人柄故だと思います。我が家は中々にシビアで、努力を怠る人間は門前払いなので」
「あの頃の俺が誇れるものは、継続する根性しかなかったからな」
この男、大学受験の前は偏差値40の高校に通っていた。
それを、入りたい大学を見つけたからと宅浪で3年勉強し続け、私立大学で一番偏差値の高い学部から合格をもぎ取った、ある意味本物の『武士』である。
ちなみに、鳴成と重藤の卒業校は、逢宮大学と並んで私立トップと称される双頭のもう片方である。
継続が得意という長所も上手く働いたおかげで、大学卒業後も利沙に都度相談した重藤は、ライフステージに合わせて身なりを整えることに成功した。
『三白眼で少し鋭利だけれど、すっきりしていて爽やかな男性』の完成である。
「イギリスの寮生活にも慣れた頃、日本に帰国して久しぶりにお会いした時には驚きました。すっかりスマートな装いが板に付いていらしたので」
「あれは鳴成をあっと言わせようって、利沙さんが悪ノリした結果でもあるけどな」
鳴成が在英中も重藤が遊びに行ったり、一時帰国している間も日本で食事に行ったりと繋がりは消えなかった。
友人の数は人より少ないと自覚のある鳴成だが、重藤は単に大学の同級生というより間違いなく親しい友人のひとりと言える。
「重藤さん、本当に素敵になられました」
「野武士の頃を奥さんに見せたら泡吹いて倒れるだろうな。絶対に見せないけど」
「そう言えば、出会いはどういう経緯だったんです?」
ここ半年ほど互いに忙しくしていた。
前回食事をした際に交際相手がいるとは聞いていたが、あまり掘り下げられないまま終わっていた。
重藤は今までも数名と交際はしていたが、結婚に至るまでの真剣交際ではなかったと記憶しているので、鳴成としても興味が湧く。
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