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二章
13. 痛いの痛いの①
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「それでは皆さん、お待たせいたしました。定刻になりましたので始めさせていただきます。オハイオ州立大学からお越しいただきました、遠藤弘明教授です」
6月第2週の水曜日、外国語学部准教授の鳴成秋史とそのTAである月落渉の姿は、逢宮大学6号館の一室にあった。
3月14日にも訪れたこの建物は幾つもの中講義室から成っていて、現在座っている教室も200名ほどが収容可能である。
本日も相変わらず部屋の後方を陣取った二名が耳を傾けているのは、外国語学部が定期的に開催している学術講演会だ。
ゲストとして招聘されるのは、外国の大学で働く日本人講師や日本の大学で働く外国人講師。
母国語と外国語の関係性や海外で仕事をすること、ことばと教育の密接性などを自由に語る場として提供されている。
質疑応答を含めて90分、今回は水曜日の5限の時間帯を使って行われている。
3月に行われた学生講演会を楽しみにしていると語っていた鳴成だが、この講演会も欠かさず参加しているということで、異議なく月落も同席した。
「Hello, everyone! My name is Hiroaki Endo, professor in The Department of East Asian Languages and Literatures at The Ohio State University. As a native Japanese speaker, I recognize that this presentation should be delivered in……」
人前で話し慣れた人のスムーズな話の入りと、日本人とは思えないほど流暢なアクセント、そして実の詰まった内容に聴き入る。
ユーモアたっぷりの身振り手振りで繰り広げられるアメリカ仕込みのスピーチに夢中になった月落は、無意識に両腕を組んだ。
その瞬間、肩がびくりと揺れた。
「痛いですか?」
「はい、少し。腕を痛めていることを忘れてました」
その様子に気づいた鳴成から小声で話しかけられる。
返事をした月落の右腕、着ているネイビーのシャツからは白い包帯が覗いている。
「気をつけてください。折れてないとはいえ、捻挫も十分大きな怪我ですから」
「気をつけます」
火曜日の昨日、2年生の授業が終わってランチのことを話しながら研究棟へと戻っている最中、その事件は起きた。
下りエスカレーターで友達とふざけながら後ろ向きに乗っていた男子生徒が、あと数段で地上というところでバランスを崩して落ちたのだ。
ちょうどその集団の前方でエスカレーターに乗っていた月落は、先を歩く鳴成に被害がないように身体全体を使ってその男子生徒を受け止めた。
けれど、ここでひとつ問題があった。
一般的にガタイのとても良い大男の部類に属する月落だが、落ちてきた生徒は柔道部に所属する男子で体重は80kg超。
中量級の彼をさすがに受け止めきれずに、両者ともにその場に倒れる形となった。
その際に月落は、男子学生の下敷きになって右手首を痛めたのだ。
一緒に病院へ行くと申し出た鳴成だったが、夕方に臨時の教授会がスケジューリングされていた。
大の大人のTAに付き添って病院に行くという理由で欠席するのは体裁が悪いと、月落は断った。
あまりにも心配そうな瞳で月落を見送る鳴成に、痛みよりも心配してもらって嬉しい気持ちの方が強いしむしろそれしか感じないと言ったら、心底呆れた顔をされた。
無意識でそうなるのだから正直仕方ない、どうしようもないのに。
今朝会った時は鳴成に心配されて喜びで緩みそうになる顔の筋肉を、叱咤しなければならない月落だった。
「きみは今日は何もしなくて良いですからね」
「先生、お世話になります」
そして嬉しいことに、怪我の功名もあった。
昨日の夜、利き手を怪我して不便だろうとメッセージではなく電話をかけてきた鳴成に、月落はわざと声のトーンを落としてこう告げた。
「食事とシャワーが上手くできなかった」と。
すると年上の恋人は、今日は月落の家に泊まって色々と手伝うと提案してくれた。
交際を始めて約2週間、共に朝を迎えるのはこれで三度目となる。
今まで何度も一緒に食事やそれに絡めた約束をしたことはあった。
けれど、恋人という領域に踏み込んでからする所謂デートというものは、二人の間柄が変わっただけなのにそれまでの何倍もときめきに溢れて、大切に一歩一歩を進んでいきたいという気持ちを芽生えさせる。
知り合ってから半年以上を経て関係を発展させたのは傍から見れば悠長だと思われるかもしれないし、未だにハグやキス以上をしていないのも亀なのかと言われるかもしれない。
けれど、これは二人の物語だ。
鳴成にとっては初めての同性の恋人であるだろうし、無理に急がせたくない。
無理に方向を決めたくない。
何よりも、鳴成を両腕に収めたまま眠る夜のあたたかさが、目覚める朝の愛おしさが十分すぎるほど胸を彩ってくれるから、もうひとつ線を越えるのはまだ先でいいと月落は思っている。
「先生、ちょっとだけ痛くなったので治療をお願いできますか?」
「それは私にできることですか?」
「先生しかできないことです」
そう言って月落は、右手をそっと鳴成の方へと差し出した。
撫でてほしくて。
優しい慈悲がほしくて。
はてな顔で首を傾げる鳴成に対して月落が「労わってほしい」と伝える途中、それを独自の解釈で受け取った鳴成は、妙に納得した面持ちで差し出された右手をそっと持ち上げた。
そして、優しくふぅっと息を吹きかけた。
「痛いの痛いの飛んでいけ」
息が止まった気がする。
いや、完全に止まった。
そして、後頭部の奥の方でざっと血の気が引く音がした。
普通ならば幼児に向けられる言葉が自分へと向けられた衝撃と、それが美人の薄い唇から零れた衝撃が掛け合わさりながら、月落を容赦なく連れ去っていく。
と思った次の瞬間、凄まじい勢いの奔流となった血潮で押し戻されるような、そんな感覚に襲われる。
くらり、と目眩さえするようで。
自分をもみくちゃにする嬉しさやら面映ゆさやらで、盛大に耳を真っ赤にしながら前方に突っ伏しそうになるのを必死に堪える月落に、鳴成は天然由来の追い撃ちを放つ。
「家に帰って包帯を外したら、もう一度しましょうね」
身が持たない、スペアが幾つあっても。
これをもう一度体験するなんて、きっとこの身に宿る感情すべてが暴れまわって自我が狂わされる気さえする。
天然素材すぎて、もはや怖い。
「先生、僕のHPは既にゼロです……」
「え?もしや、痛みが増しましたか?」
天使すぎて、怖い。
―――――――――――――――
講演会が終わった18時頃、講義室を出た鳴成と月落は大学の最寄り駅へと向かった。
駅ビル内で今日の夕食として食べる惣菜を買い、明日の朝食用の食材を調達しようとスーパーに立ち寄る。
店内でベイクドビーンズの缶詰を発見した二人は、明日の朝はイングリッシュブレックファーストにしようと決めた。
トマトやソーセージ、マッシュルーム、薄めのパンを購入し、鳴成の運転する青い車で月落の自宅へと帰った。
「先生、手を洗ったらもう一度包帯を巻いてくださいますか?」
「もちろんです」
捻挫箇所に貼った湿布の上から包帯を巻いているのだが、怪我をしたのが利き手なため自分ではきっちりと緩みなく巻くことができなかった。
その状態で会った鳴成はすぐに気がつき、整骨院が載せている動画をスマホで観ながら直してくれた。
するすると自分の手首を覆って行く白の行方を追いながら、質感は違うけれど同じように白い指先が肌を滑っていく様子を眺めていた時間は、とても至福だった。
構ってほしい人に構ってほしい時に構ってもえるというのは、なんて心が満たされるんだろう。
こんなこと、人生で思いもしなかった。
いつも自分は与える側であったし、そういう性分なんだと疑問を感じることもなかったが、実はそうではなかったのかもしれない。
与える喜びの大きさと同様に、与えられる喜びの大きさを知る。
きっと相手が鳴成でなければ、こんな想いは生まれなかった。
「まだだいぶ痛いですか?」
キッチンカウンターの前に並ぶ艶のないブラックのハイスツールに座りながら、手を洗ってきた月落の手首に包帯を巻いている鳴成が問う。
「大丈夫です。昨日は手首全体が痛い感じだったんですが、今はこう、特定の角度になると痛くなるくらいです」
おもむろに手首を動かす月落に、鳴成は無言でその動作を止めさせる。
「明日は3限の1コマだけなので、きみはお休みしますか?」
「絶対に嫌です。絶対に休みません」
「子供みたいな言い方をしないの」
「先生よりは子供ですから、見逃してください。でも、50人分のライティングを先生ひとりで確認するのは、大変ですから」
「無理をしていませんか?」
「全くしてません」
「分かりました。もし痛かったら教えてください。准教授命令で即帰宅させますので」
「それは……負けられない戦いがここにある気がします」
巻き終わった包帯を最後に一撫でした鳴成に、月落は礼を言う。
時刻は19時を過ぎた辺りだ。
「夕飯にしましょうか」
「はい」
「私がきみの食事係を仰せつかってよろしいんですよね?」
曰く、手づから食べさせても良いのか、と。
大きくひとつ頷いた月落を見ながら鳴成は席を立つ。
冷蔵庫に入れていたスモークサーモンと香味野菜のサラダに枝豆の冷製スープを取り出した。
月落が棚から出した皿の上にサラダを盛りつけつつ、温めて食べるものを電子レンジへの中へと入れる。
「先生も白米、食べますか?」
小分けにラップに包まれた冷凍ご飯を取り出しながら訊く月落の姿は、鳴成に絶妙な生活感を感じさせた。
とんでもない出自にも関わらず普段は気取った様子の欠片も見せない年下の恋人は、どこか淡々とした部分もあるせいか人間っぽさをあまり醸し出さない。
機械的という訳ではないけれど、どこまでも平面的で表面的、つるりとした金属のような印象を抱かせる時がある。
そんな人が左手に四角い塊を持っているのは、画的にとても違和感だ。
違和感なのだが、妙にどことなくしっくりくるから不思議だ。
「先生?」
「……申し訳ない、思考が少し飛んでいってしまいました」
「あ、もしかして見たことないですか?」
これ、と言いながら冷凍ご飯を揺らす。
鳴成は思わず笑いそうになる。
月落は自分を一体どんな上流階級の人間として思い描いているのだろう。
彼自身の方が、遥かに雲上の人だというのに。
「いいえ、あります。というより、私の家の冷蔵庫にもストックしてあります」
「お手伝いさんの作り置きですか?」
「そうです。うちのはそれほど大きくないですが」
いま月落の手にある白い四角形は、鳴成の自宅の冷凍庫に常備されているものの2倍以上はあるだろう。
正直、食べきれる自信はない。
「僕サイズで作ったので大きすぎますね。じゃあ、これの2個分を器に出すので、シェアするのはいかがですか?」
「賛成です」
蟹あんかけの揚げ出し豆腐
だし巻き玉子
帆立貝のクリームコロッケ
デミグラスハンバーグ
ぶり大根
次々に温まるものをカウンターテーブルへと並べて、取り皿数枚と炭酸水に市販のレモン果汁を入れた飲み物を用意して置いた。
ストローが差してある。
男の一人暮らしにストローなんてあるだろうかと鳴成は思うが、用意周到のこの男ならあってもおかしくないなと思い直した。
並んで座り、いただきますと声を重ねる。
「サラダから食べますか?」
「はい」
口を開けて待つ大きな雛鳥に、ドレッシングを纏わせたオレンジと緑のコントラストを食べさせる。
咀嚼する頬を見ながら、鳴成も同じようにサラダを食べた。
基本的には箸を使わなければならないものと、左手に握る木のスプーンでは食べづらいものを口元へと運んでやる。
月落は差し出されるおかずの合間で、白米とスープを消費していく。
「先生、だし巻き玉子、美味しいですね」
「ええ、私も好きな味です。醤油の玉子焼きも美味しいですが、だし巻きは香りが広がりますよね。次は何を食べたいですか?」
「ハンバーグが食べたいです……あ、先生、ちょっとそれは大きい気が……んぐっ」
「あはは、大きかったですね」
4分の1に切り分けた艶々のそれを頬ばって、口の端にソースを付けながら咀嚼する男が少年のようで可愛い。
ある程度飲み込んだ段階で、月落はスプーンに乗せた白米を頬張る。
鳴成は、小さく切り分けたハンバーグを自分の口にも入れた。
「先生、自分のはそんなに小さくするのずるいです」
「きみならば食べられそうだなと思ったんですが、計算ミスをしたようです。申し訳ない」
素直に謝る鳴成に、素直に謝られてしまった月落はもう何も言い返せない。
怒っている振りをして睨むけれど、余裕のある大人には無意味な抵抗だ。
笑顔でさらりと流される。
だから、我儘を言った。
「お詫びに水を飲ませてほしいです」
「それは自分でできるでしょう?」
全然何にも聞こえていないという風に口を開いたまま待つ月落に、諦めた鳴成はグラスを持って飲ませてやる。
甘やかすのがデフォルトの男だが、甘えるのも吝かではないらしい。
どちらの側でいても相手がこの青年ならば、極上の喜びになるなと鳴成は思う。
与えられるのも与えるのも、どちらも幸せだ。
「クリームコロッケは小さめサイズにしましょうね」
「切にお願いします」
「ソースはつけます?」
「最初はなしで食べてみたいです……うん、美味しいです。たぶん今日のメニューの中で先生が一番好きな味な気がします」
「正解です、美味しいです」
「クリーム系お好きですもんね。食堂のランチでも、パスタがクリーム系の時には必ず食べていらっしゃいますし」
「ええ。中学生の頃に母が、生クリームで作るカルボナーラに心を猛烈に奪われた時期がありまして。家族も巻き込まれて週5で食べていたんですが、私だけ全く飽きずに食べ続けられました」
「週5……僕なら見るのも嫌になりそうですね」
「普通はそうなりますよね、味がこってりなので。私は母の血を色濃く継いで、クリーム系に耐性があるんだとその時に気がつきました」
味の沁みたぶり大根を月落の口へと入れながら、鳴成も同じように食べる。
「もしかして、甘いものがお好きなのもお母様と先生だけだったりするんですか?」
「父も妹も好きではあるんですが、食べる量は一般の方より少なめだと思います。きみは食事に関して言うと、和洋中韓アジア、どれもバランス良く好きですよね?」
「そうかもしれません。親戚が多い分食の好みも多岐に渡るので、集まりの際にはカテゴリが偏らないように場がセッティングされるんです。なので、子供の頃から色々な味を試すチャンスがあったのが今に繋がってる気がします」
「親戚が多くいらっしゃる恩恵ですね」
月落に揚げ出し豆腐を食べさせながら、鳴成はレモンウォーターで喉を潤す。
空の皿が増えて、比例して互いのお腹も満たされる。
「先生、お腹いっぱいですか?」
「いっぱいです。あとはきみを育てることに専念しようと思います」
「あはは、頑張ってもっと大きくなりますね」
スプーンで掬った白米を左手に持ちながらハンバーグが食べたいという月落に、鳴成は先ほどより小さめにカットした茶色の艶々をその口元へと持って行った。
-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-
「皆さん、こんにちは。オハイオ州立大学の東アジア言語文学科で教授をしています、遠藤です。日本語ネイティブとして、このプレゼンテーションは……」
6月第2週の水曜日、外国語学部准教授の鳴成秋史とそのTAである月落渉の姿は、逢宮大学6号館の一室にあった。
3月14日にも訪れたこの建物は幾つもの中講義室から成っていて、現在座っている教室も200名ほどが収容可能である。
本日も相変わらず部屋の後方を陣取った二名が耳を傾けているのは、外国語学部が定期的に開催している学術講演会だ。
ゲストとして招聘されるのは、外国の大学で働く日本人講師や日本の大学で働く外国人講師。
母国語と外国語の関係性や海外で仕事をすること、ことばと教育の密接性などを自由に語る場として提供されている。
質疑応答を含めて90分、今回は水曜日の5限の時間帯を使って行われている。
3月に行われた学生講演会を楽しみにしていると語っていた鳴成だが、この講演会も欠かさず参加しているということで、異議なく月落も同席した。
「Hello, everyone! My name is Hiroaki Endo, professor in The Department of East Asian Languages and Literatures at The Ohio State University. As a native Japanese speaker, I recognize that this presentation should be delivered in……」
人前で話し慣れた人のスムーズな話の入りと、日本人とは思えないほど流暢なアクセント、そして実の詰まった内容に聴き入る。
ユーモアたっぷりの身振り手振りで繰り広げられるアメリカ仕込みのスピーチに夢中になった月落は、無意識に両腕を組んだ。
その瞬間、肩がびくりと揺れた。
「痛いですか?」
「はい、少し。腕を痛めていることを忘れてました」
その様子に気づいた鳴成から小声で話しかけられる。
返事をした月落の右腕、着ているネイビーのシャツからは白い包帯が覗いている。
「気をつけてください。折れてないとはいえ、捻挫も十分大きな怪我ですから」
「気をつけます」
火曜日の昨日、2年生の授業が終わってランチのことを話しながら研究棟へと戻っている最中、その事件は起きた。
下りエスカレーターで友達とふざけながら後ろ向きに乗っていた男子生徒が、あと数段で地上というところでバランスを崩して落ちたのだ。
ちょうどその集団の前方でエスカレーターに乗っていた月落は、先を歩く鳴成に被害がないように身体全体を使ってその男子生徒を受け止めた。
けれど、ここでひとつ問題があった。
一般的にガタイのとても良い大男の部類に属する月落だが、落ちてきた生徒は柔道部に所属する男子で体重は80kg超。
中量級の彼をさすがに受け止めきれずに、両者ともにその場に倒れる形となった。
その際に月落は、男子学生の下敷きになって右手首を痛めたのだ。
一緒に病院へ行くと申し出た鳴成だったが、夕方に臨時の教授会がスケジューリングされていた。
大の大人のTAに付き添って病院に行くという理由で欠席するのは体裁が悪いと、月落は断った。
あまりにも心配そうな瞳で月落を見送る鳴成に、痛みよりも心配してもらって嬉しい気持ちの方が強いしむしろそれしか感じないと言ったら、心底呆れた顔をされた。
無意識でそうなるのだから正直仕方ない、どうしようもないのに。
今朝会った時は鳴成に心配されて喜びで緩みそうになる顔の筋肉を、叱咤しなければならない月落だった。
「きみは今日は何もしなくて良いですからね」
「先生、お世話になります」
そして嬉しいことに、怪我の功名もあった。
昨日の夜、利き手を怪我して不便だろうとメッセージではなく電話をかけてきた鳴成に、月落はわざと声のトーンを落としてこう告げた。
「食事とシャワーが上手くできなかった」と。
すると年上の恋人は、今日は月落の家に泊まって色々と手伝うと提案してくれた。
交際を始めて約2週間、共に朝を迎えるのはこれで三度目となる。
今まで何度も一緒に食事やそれに絡めた約束をしたことはあった。
けれど、恋人という領域に踏み込んでからする所謂デートというものは、二人の間柄が変わっただけなのにそれまでの何倍もときめきに溢れて、大切に一歩一歩を進んでいきたいという気持ちを芽生えさせる。
知り合ってから半年以上を経て関係を発展させたのは傍から見れば悠長だと思われるかもしれないし、未だにハグやキス以上をしていないのも亀なのかと言われるかもしれない。
けれど、これは二人の物語だ。
鳴成にとっては初めての同性の恋人であるだろうし、無理に急がせたくない。
無理に方向を決めたくない。
何よりも、鳴成を両腕に収めたまま眠る夜のあたたかさが、目覚める朝の愛おしさが十分すぎるほど胸を彩ってくれるから、もうひとつ線を越えるのはまだ先でいいと月落は思っている。
「先生、ちょっとだけ痛くなったので治療をお願いできますか?」
「それは私にできることですか?」
「先生しかできないことです」
そう言って月落は、右手をそっと鳴成の方へと差し出した。
撫でてほしくて。
優しい慈悲がほしくて。
はてな顔で首を傾げる鳴成に対して月落が「労わってほしい」と伝える途中、それを独自の解釈で受け取った鳴成は、妙に納得した面持ちで差し出された右手をそっと持ち上げた。
そして、優しくふぅっと息を吹きかけた。
「痛いの痛いの飛んでいけ」
息が止まった気がする。
いや、完全に止まった。
そして、後頭部の奥の方でざっと血の気が引く音がした。
普通ならば幼児に向けられる言葉が自分へと向けられた衝撃と、それが美人の薄い唇から零れた衝撃が掛け合わさりながら、月落を容赦なく連れ去っていく。
と思った次の瞬間、凄まじい勢いの奔流となった血潮で押し戻されるような、そんな感覚に襲われる。
くらり、と目眩さえするようで。
自分をもみくちゃにする嬉しさやら面映ゆさやらで、盛大に耳を真っ赤にしながら前方に突っ伏しそうになるのを必死に堪える月落に、鳴成は天然由来の追い撃ちを放つ。
「家に帰って包帯を外したら、もう一度しましょうね」
身が持たない、スペアが幾つあっても。
これをもう一度体験するなんて、きっとこの身に宿る感情すべてが暴れまわって自我が狂わされる気さえする。
天然素材すぎて、もはや怖い。
「先生、僕のHPは既にゼロです……」
「え?もしや、痛みが増しましたか?」
天使すぎて、怖い。
―――――――――――――――
講演会が終わった18時頃、講義室を出た鳴成と月落は大学の最寄り駅へと向かった。
駅ビル内で今日の夕食として食べる惣菜を買い、明日の朝食用の食材を調達しようとスーパーに立ち寄る。
店内でベイクドビーンズの缶詰を発見した二人は、明日の朝はイングリッシュブレックファーストにしようと決めた。
トマトやソーセージ、マッシュルーム、薄めのパンを購入し、鳴成の運転する青い車で月落の自宅へと帰った。
「先生、手を洗ったらもう一度包帯を巻いてくださいますか?」
「もちろんです」
捻挫箇所に貼った湿布の上から包帯を巻いているのだが、怪我をしたのが利き手なため自分ではきっちりと緩みなく巻くことができなかった。
その状態で会った鳴成はすぐに気がつき、整骨院が載せている動画をスマホで観ながら直してくれた。
するすると自分の手首を覆って行く白の行方を追いながら、質感は違うけれど同じように白い指先が肌を滑っていく様子を眺めていた時間は、とても至福だった。
構ってほしい人に構ってほしい時に構ってもえるというのは、なんて心が満たされるんだろう。
こんなこと、人生で思いもしなかった。
いつも自分は与える側であったし、そういう性分なんだと疑問を感じることもなかったが、実はそうではなかったのかもしれない。
与える喜びの大きさと同様に、与えられる喜びの大きさを知る。
きっと相手が鳴成でなければ、こんな想いは生まれなかった。
「まだだいぶ痛いですか?」
キッチンカウンターの前に並ぶ艶のないブラックのハイスツールに座りながら、手を洗ってきた月落の手首に包帯を巻いている鳴成が問う。
「大丈夫です。昨日は手首全体が痛い感じだったんですが、今はこう、特定の角度になると痛くなるくらいです」
おもむろに手首を動かす月落に、鳴成は無言でその動作を止めさせる。
「明日は3限の1コマだけなので、きみはお休みしますか?」
「絶対に嫌です。絶対に休みません」
「子供みたいな言い方をしないの」
「先生よりは子供ですから、見逃してください。でも、50人分のライティングを先生ひとりで確認するのは、大変ですから」
「無理をしていませんか?」
「全くしてません」
「分かりました。もし痛かったら教えてください。准教授命令で即帰宅させますので」
「それは……負けられない戦いがここにある気がします」
巻き終わった包帯を最後に一撫でした鳴成に、月落は礼を言う。
時刻は19時を過ぎた辺りだ。
「夕飯にしましょうか」
「はい」
「私がきみの食事係を仰せつかってよろしいんですよね?」
曰く、手づから食べさせても良いのか、と。
大きくひとつ頷いた月落を見ながら鳴成は席を立つ。
冷蔵庫に入れていたスモークサーモンと香味野菜のサラダに枝豆の冷製スープを取り出した。
月落が棚から出した皿の上にサラダを盛りつけつつ、温めて食べるものを電子レンジへの中へと入れる。
「先生も白米、食べますか?」
小分けにラップに包まれた冷凍ご飯を取り出しながら訊く月落の姿は、鳴成に絶妙な生活感を感じさせた。
とんでもない出自にも関わらず普段は気取った様子の欠片も見せない年下の恋人は、どこか淡々とした部分もあるせいか人間っぽさをあまり醸し出さない。
機械的という訳ではないけれど、どこまでも平面的で表面的、つるりとした金属のような印象を抱かせる時がある。
そんな人が左手に四角い塊を持っているのは、画的にとても違和感だ。
違和感なのだが、妙にどことなくしっくりくるから不思議だ。
「先生?」
「……申し訳ない、思考が少し飛んでいってしまいました」
「あ、もしかして見たことないですか?」
これ、と言いながら冷凍ご飯を揺らす。
鳴成は思わず笑いそうになる。
月落は自分を一体どんな上流階級の人間として思い描いているのだろう。
彼自身の方が、遥かに雲上の人だというのに。
「いいえ、あります。というより、私の家の冷蔵庫にもストックしてあります」
「お手伝いさんの作り置きですか?」
「そうです。うちのはそれほど大きくないですが」
いま月落の手にある白い四角形は、鳴成の自宅の冷凍庫に常備されているものの2倍以上はあるだろう。
正直、食べきれる自信はない。
「僕サイズで作ったので大きすぎますね。じゃあ、これの2個分を器に出すので、シェアするのはいかがですか?」
「賛成です」
蟹あんかけの揚げ出し豆腐
だし巻き玉子
帆立貝のクリームコロッケ
デミグラスハンバーグ
ぶり大根
次々に温まるものをカウンターテーブルへと並べて、取り皿数枚と炭酸水に市販のレモン果汁を入れた飲み物を用意して置いた。
ストローが差してある。
男の一人暮らしにストローなんてあるだろうかと鳴成は思うが、用意周到のこの男ならあってもおかしくないなと思い直した。
並んで座り、いただきますと声を重ねる。
「サラダから食べますか?」
「はい」
口を開けて待つ大きな雛鳥に、ドレッシングを纏わせたオレンジと緑のコントラストを食べさせる。
咀嚼する頬を見ながら、鳴成も同じようにサラダを食べた。
基本的には箸を使わなければならないものと、左手に握る木のスプーンでは食べづらいものを口元へと運んでやる。
月落は差し出されるおかずの合間で、白米とスープを消費していく。
「先生、だし巻き玉子、美味しいですね」
「ええ、私も好きな味です。醤油の玉子焼きも美味しいですが、だし巻きは香りが広がりますよね。次は何を食べたいですか?」
「ハンバーグが食べたいです……あ、先生、ちょっとそれは大きい気が……んぐっ」
「あはは、大きかったですね」
4分の1に切り分けた艶々のそれを頬ばって、口の端にソースを付けながら咀嚼する男が少年のようで可愛い。
ある程度飲み込んだ段階で、月落はスプーンに乗せた白米を頬張る。
鳴成は、小さく切り分けたハンバーグを自分の口にも入れた。
「先生、自分のはそんなに小さくするのずるいです」
「きみならば食べられそうだなと思ったんですが、計算ミスをしたようです。申し訳ない」
素直に謝る鳴成に、素直に謝られてしまった月落はもう何も言い返せない。
怒っている振りをして睨むけれど、余裕のある大人には無意味な抵抗だ。
笑顔でさらりと流される。
だから、我儘を言った。
「お詫びに水を飲ませてほしいです」
「それは自分でできるでしょう?」
全然何にも聞こえていないという風に口を開いたまま待つ月落に、諦めた鳴成はグラスを持って飲ませてやる。
甘やかすのがデフォルトの男だが、甘えるのも吝かではないらしい。
どちらの側でいても相手がこの青年ならば、極上の喜びになるなと鳴成は思う。
与えられるのも与えるのも、どちらも幸せだ。
「クリームコロッケは小さめサイズにしましょうね」
「切にお願いします」
「ソースはつけます?」
「最初はなしで食べてみたいです……うん、美味しいです。たぶん今日のメニューの中で先生が一番好きな味な気がします」
「正解です、美味しいです」
「クリーム系お好きですもんね。食堂のランチでも、パスタがクリーム系の時には必ず食べていらっしゃいますし」
「ええ。中学生の頃に母が、生クリームで作るカルボナーラに心を猛烈に奪われた時期がありまして。家族も巻き込まれて週5で食べていたんですが、私だけ全く飽きずに食べ続けられました」
「週5……僕なら見るのも嫌になりそうですね」
「普通はそうなりますよね、味がこってりなので。私は母の血を色濃く継いで、クリーム系に耐性があるんだとその時に気がつきました」
味の沁みたぶり大根を月落の口へと入れながら、鳴成も同じように食べる。
「もしかして、甘いものがお好きなのもお母様と先生だけだったりするんですか?」
「父も妹も好きではあるんですが、食べる量は一般の方より少なめだと思います。きみは食事に関して言うと、和洋中韓アジア、どれもバランス良く好きですよね?」
「そうかもしれません。親戚が多い分食の好みも多岐に渡るので、集まりの際にはカテゴリが偏らないように場がセッティングされるんです。なので、子供の頃から色々な味を試すチャンスがあったのが今に繋がってる気がします」
「親戚が多くいらっしゃる恩恵ですね」
月落に揚げ出し豆腐を食べさせながら、鳴成はレモンウォーターで喉を潤す。
空の皿が増えて、比例して互いのお腹も満たされる。
「先生、お腹いっぱいですか?」
「いっぱいです。あとはきみを育てることに専念しようと思います」
「あはは、頑張ってもっと大きくなりますね」
スプーンで掬った白米を左手に持ちながらハンバーグが食べたいという月落に、鳴成は先ほどより小さめにカットした茶色の艶々をその口元へと持って行った。
-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-
「皆さん、こんにちは。オハイオ州立大学の東アジア言語文学科で教授をしています、遠藤です。日本語ネイティブとして、このプレゼンテーションは……」
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目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
できるかぎり毎日? お話の予告と皆の裏話? のあがるインスタとYouTube
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
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