鳴成准教授は新しいアシスタントを採用しました。実は甘やかし尽くし攻めの御曹司でした。

卯藤ローレン

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二章

17. 理系学園祭『納涼祭』①

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「先生、賑わってますね」
「鱧屋先生からは割とこじんまりした規模だと聞いていたんですが、どうやら違ったようです」

 7月第1週の土曜日。
 逢宮大学外国語学部准教授の鳴成秋史と彼のTAである月落渉の姿は、溢れ返る人ごみの中にあった。

 逢宮大学八王子キャンパス。
 理工、スポーツ科学、環境デザインの理系3学部の学生が通う学び舎だ。
 八王子駅からスクールバスで10分ほどで着く広大な敷地には、校舎や研究棟、大型実験場、緑生い茂る中に陸上競技場などもあることから、『逢宮の森』というあだ名で親しまれている。
 今日はここで毎年恒例の理系学園祭『納涼祭』が土日の2日間に渡り行われるということで、鳴成と月落は揃って遊びに来ていた。

「こじんまり、はもしかして、文系文化祭に比べればということなんでしょうか」
「そうみたいです。文系キャンパスの『逢宮祭』は私立大学で最大規模を誇る3日間の学園祭なので、それに比べればどの学園祭もサイズは小さめに感じるはずです」

 老若男女が活気にひしめく正門を抜けて階段を上る。
 第一校舎へと続く幅の広い道の左右に、飲食の模擬店が等間隔に列を成して並んでいる。
 浴衣を着ている人の姿もちらほらと見えるのは、右側の奥の方で『着付け』と書かれたプラカードを掲げながら呼び込みをしている学生たちの努力の成果のようだ。

 模擬店の後ろのスペースには、大学のスクールカラーである瑠璃紺の大きなパラソルの下に幾つものテーブルと椅子が置かれ、買ったものをゆっくり座って食べられるようになっている。
 派手さを競い合う店の看板と激しく揺れるプラカードが、今日に懸ける大学生の熱量そのもののようで微笑ましい。

「大学1年の時の新歓で、先輩たちに囲まれた時のことを思い出しました」
「懐かしいです。校舎にたどり着くまでに両手がチラシだらけになりました」
「先生はサークルとか入ってたんですか?」
「いいえ。英語演劇サークルに入っていた友人に頼まれて時々脚本を書く手伝いはしていましたが、所属はしていませんでした。サークルに入る代わりに、本屋さんでアルバイトをしていたので」

 鳴成の口から思ってもみなかった言葉が飛び出したことに、月落は若干目を丸くする。

「え、意外です。アルバイトをする先生の姿はちょっと想像ができないです」
「友人にもよく言われました」
「お金を稼ぐ目的というよりは、本に囲まれたかったからですか?」
「正解です。本を読むとなるとついつい自分の好きなジャンルから見繕ってしまいがちだったので、普段触れたことのない分類の本に出会う機会があるかなと思って」
「出会えました?」
「日本の名城についての本を読み漁りました。夏休みに父とお城巡りをしたりしたのは良い思い出です」

 城巡りをする鳴成の姿も上手く思い描けずに、月落は目を泳がせた。
 この話については後日じっくりと聞こう。

「きみはスポーツのサークルに入っていそうですね?」
「大正解です。サイクリングサークルに入ってました」
「サイクリング?新ジャンルですね。てっきり水泳かなと思ったんですが」
「幼馴染の奴に引っ張られて入ったんですが、途中から僕の方がハマって、結構積極的に参加してました。緩すぎずきつすぎずの活動ペースがちょうど良くて、年2回ある合宿では中長期で全国各地を回りながら漕いだりして。定期的に他大学との合同ランをして交流を深めてました」
「今で言う……陽キャ集団?」
「あはは、先生からそんな言葉が出てくるなんて思いませんでした。ギャップにやられて心臓が痛いです」
「どういう意味ですか?それは」

 人波から外れた場所で喋ってはいるが、その間にも色々な勧誘に襲われる。
 赤の法被を着た数名やプラカードの集団、かるたの読み札を大声で叫びながら通り過ぎる人々。
 身長の高い部類である二人でも顔を近づけないと互いの声が聞き取れないので、一般の人たちにとってはさらに会話は困難だろう。

 鳴成が耳元で喋ってくれるのも、鳴成の耳元すぐ近くで喋るのも、どちらも月落にとっては願ってもない絶好の状況だ。
 ずっとこうしていたいが、けれどいつまでもここにいる訳にはいかない。

「先生、何か食べますか?屋台はあまり馴染みがないと仰ってましたよね?」
「母が暑い場所がとにかく苦手で、お祭りにはあまり行ったことがないので」
「半分ずつ分けて色々食べましょうか?」
「ええ、是非」

 今日の鳴成と月落は、普段の両者を知る大学関係者が思わず二度見する装いだ。

 白いTシャツにライトブルーのジーンズ、ベージュのエスパドリーユを履いた鳴成と、白いTシャツにインディゴブルーのジーンズ、白とグレーのスニーカーの月落。
 あくまで一般客として楽しむために合わせた。
 これならば外国語学部の名物准教授とそのTAだと、すぐに気づく者はいないだろう。

「ハロ~!鳴成君!」

 と、踏んでいたのだが。

「月落さんもこんにちはー!」

 目立っていないと思っていたのは本人たちだけで、どうやら気づく者はとっくのとうに気づいていたらしい。
 遠くから、派手な柄シャツが人ごみを掻き分けて近づいてくる。
 水風船の柄だ、どこで手に入れるのだろう。

「鱧屋先生、こんにちは。清木さんも、こんにちは」
「こっちのキャンパスで会うのはもしかして初めてじゃないかな?いやぁ、嬉しいな~!今まで何回誘っても毎回さっくり断られてたのに、今年はついに鳴成君と納涼祭で会えるなんて」
「ハハ先生、毎回がっくりしてましたもんね。今年はブルーハハにならなくて良かったですー!月落さんもようこそいらっしゃいましたー!」
「あ、僕そんなにブルーだった?」
「もうちょっとで八王子の新たな5月病として、恐怖辞典に載るところでしたー!」

 早口な会話の応酬は、逢宮大学理工学部教授である鱧屋隼人と、そのTAである清木潮音によって行われる。
 4月の初めに会って以来のハイテンションコンビとの再会に、鳴成と月落はただ笑顔でそのラリーを傍聴するばかりだ。

「学生が頑張って準備した展示とか企画とか色々あるから、ゆっくり見て行ってね~!」
「僕たちの研究室ではプラレールが走ってるので、お時間あれば是非お越しくださいー!あ、これ納涼祭のパンフレットです」

 幾何学模様の表紙が美しい冊子を清木から受け取ったとき、近くのステージから楽器の鳴る音が聴こえてきた。

「あ、始まった始まった~!僕たち今から始まるライブを観るためにちょっと抜けてきたんだ~!」
「最近デビューしたアイドルグループなんです。デビュー曲が今すごく話題で。メインステージでやるライブの目玉として学祭実行委員が尽力したらしくて、朝から場所取りしてたファンの方もいるみたいですー!」
「二人は興味ないかな~?」
「私たちは特には」
「とりあえず食べる方から攻めようかと思ってます」
「おっけおっけ~!」

 女性の黄色い悲鳴や、ボーカルの男性の煽り声に併せて男性の観客からも叫ぶ声が上がる。
 四方八方に流れていた人の流れが、いつの間にか大きな一方向への潮流に変化している。

「潮音君、僕たちも流れに乗って行くよ~!」
「はい、先生!」
「じゃあね、鳴成君、月落君!納涼祭楽しんでね~!」
「夜の花火大会は僕たちも今から待ち遠しくてワクワクしてますー!納涼祭史上最大の花火、月落さんありがとうございますー!」

 ぶんぶんと手を振りながらベルトコンベアーに乗る荷物の如く、歩いているのか歩かされているのか、もはや問答無用で運ばれていそうな挙動で、水風船の柄シャツは見えなくなった。
 演奏が始まり、邦楽にはあまり詳しくない月落でも知っているメロディが聞こえてくる。

「知っていますか?」
「はい、最近よく耳にします。先生は……」
「初めて聞きました」
「そんな気がしてました」

 音楽にはあまり明るくない鳴成だ。
 静寂や、意外にも生活音を好む。
 イヤホンも持ってはいるが、登場回数は年数回と聞いて月落は驚いた憶えがある。
 月落ほどではないが、鳴成もそれなりにジムに通っていて、けれどそんな時でさえあまり音楽は聴かないと言う。

 それを聞いた後日真似してイヤホンなしのジムにトライしてみたが、どうにも周りから発せられる様々な音が騒音として耳に入ってしまって、月落は早々に断念した。
 それを素直に鳴成に報告すると、『好みの違う部分があるのは自然で、だからこそ興味深い。ではこっちの事象に対してはどうだろうという別の調査対象が生まれるのは、人間関係において飽きがこなくて良いですね』と真面目な大学准教授の顔で語られて、とても面白かった。

「先生、ちょうど道が空いたのでお店見てみましょうか」
「はい、そうします」

 時刻は16時すぎ。
 昨夜、月落の自宅で深夜の映画鑑賞をした二人は、当者比で遅めの時間帯に起床しブランチを食べた。
 鳴成が実家から送られてきた鯛めしの素を持参したので、それを中心に超定番和食メニューでしっかりと腹を満たした後は、車で動物園へと繰り出した。

 今年誕生した子サーバルの前からしばらく動かなくなってしまった鳴成を見守りながら、TOGグループのレジャー部門内に新しく動物園を設けることを真剣に考える月落だった。
 親族の首を縦に振らせさえすればいいので、収支シミュレーションを作成して全力でプレゼンすれば可能性はあるのではないか、と思考の深淵に落ちそうになったところで鳴成に肩を掴まれた。
 研究論文を仕上げるような思いつめた感があったけれどどうしたのか、と聞かれて、思わずデジャヴの風に吹かれたのは黙っておこう。

 ブランチ以来の食事なので、二人ともにそこそこ空腹だ。

「焼きそばとたこ焼きは屋台の定番なので絶対に買いましょうね。ハットグもあるし、トルネードポテトも食べますか?ケバブ、冷やしおでん、フリッツァ?バインミーもある……あ、先生、たませんもあります、珍しいですね」
「たません、ですか?初めて聞く料理名です」
「たこせんとかえびせんの上に目玉焼きを乗せて、ソースとマヨネーズをかけた名古屋のソウルフードです」
「美味しそうです」
「じゃあ、それも絶対に買いましょう。先に食べる場所を確保した方がいいかな……」
「月落さん、納涼祭にようこそお越しくださいました!」

 長身を生かして屋台の後ろにある飲食スペースの空き具合を見ていた月落の右横から、唐突にハリのある声が掛けられた。
 見るとそこには、黒髪短髪の男子の姿。
 今年の4月、月落の職員用アドレスにメールを送ってきたことがきっかけで知り合った学生だ。

「ああ、杵崎くん、お疲れ様です」
「夕方いらっしゃるとお聞きしていたので、ご連絡差し上げようと思ってたんです。鳴成准教授もようこそお越しくださいました。納涼祭実行委員、渉外局局長の杵崎諒真きねざきりょうまです」
「初めまして、鳴成です」

 90度の素早いお辞儀をした男子学生は、『実行委員』と書かれた水色の腕章を付けている。
 方々に走り回っているせいか、日焼けした顔に汗が光る。

「月落さん、この度は特大のご協力を賜りまして、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました」
「いいえ、僕は何も。本当は個人的に納涼祭のお手伝いをしたかったんですが、お祭り好きの関係者にその栄誉を取られてしまいました」
「いえ、月落さんのご助力でTOGグループの大協賛を得られました。会社の方には打ち上げ場所の現場検証や、都や消防への届出、その他関係機関との調整についてもアドバイスいただき、本当にお世話になりました。おかげ様で納涼祭第80回の節目を盛大に祝うことができます。渉外局局長としてこれ以上に光栄なことはありません」

 ありがとうございます、と再度90度のお辞儀をした。

 渉外局とは、学園祭運営のために企業や卒業生などに直接交渉して、協賛を募る部局だ。
 その交渉において実践で鍛えられ身についたのであろう敬語や社会人のような話し方が、大学生の幼さ残る様子と溶け合いきれないのが逆に良い味を出している。
 思わず話を聴いてしまいたくなる必死な態度も、杵崎の長所だ。
 それが元に繋がった縁であり、今日この日であったりもする。

「鳴成准教授と月落さんは今から回られますか?」
「はい、そうするつもりです」
「向こうのテーブルに実行委員予約席という札が置いてありますので、どうぞご自由にお使いください」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて使わせていただきます」
「料理研究会が作ってる生クリームもりもりのクロッフルが絶品らしいので、よろしければご賞味ください。花火の開始時刻は、理系が大好きな素数の19時33分からです。場所は…」
「確認済みです」
「ありがとうございます。キャンプが趣味の長老院生にセッティングをお願いしましたので、お寛ぎいただける空間になっていると思います」
「楽しみにしています」
「それでは、僕はこれで失礼します」

 日焼けた肌の青年は、早口で説明を終えると人ごみに紛れてすぐに見えなくなった。
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