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第15話 水着売り場は刺激が強い
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池袋に到着した俺と真宮さんは、駅構内にあるフクロウの形をした石像の前で仲里さんと合流した。
キャップを被りバギーパンツを穿いたボーイッシュな雰囲気の真宮さんに対して、仲里さんはTシャツワンピからスラリと素足を出した姿が似合っている。
うーん、モテナイ俺が二人の女の子と買い物だなんて、冷静に考えると信じられないことが起きているんだよな。
この夏休みの間にどちらか一人を選ぶなんてこと出来るだろうか……。
「ごめんねエリカ。春時の準備が遅れたせいでまたせちゃって」
「それに関しては本当にごめん」
「い、いえ、大丈夫です。真宮さんからメッセージもいただきましたし、デパ地下を見ていたら時間が経つのはあっという間でしたよ」
「そっか、時間を潰せるところがあって良かった」
「ですね。待ち合わせ場所が池袋で良かったです」
言うと仲里さんはにっこりと微笑んだ……可愛い。
それにしても真宮さんは、いつのまにメッセージなんて送ったのだろう。俺から送るべきだったよな。
「ねぇねぇ、買い物の前にお昼しない? お腹すいちゃったぁ!」
真宮さんが言うのでスマホの時間をみると、もう昼は過ぎていた。
朝食はとっていないし、俺もお腹が空いてきている。二人とも朝食はとってきたのだろうか?
まぁ、とりあえず昼飯は賛成だ。数学の先生も腹が減ってはなんとかって、授業のたびに話しているもんな。
「そうだな、駅前のファストフード店にでも入ろうか?」
「おっけ!」
テンション高めに言いながら歩き出す真宮葵のあとに俺と仲里さんはついていった。
◇
ふぅ……少し食べ過ぎたかな。く、くるしい。
それにしても真宮さんはよくあんな甘そうなものを飲めるよな。
ガムシロップ三個は多いだろ……しかもあのアイスティーのサイズってショートだったはず。
仲里さんは慣れた感じで気にも留めていなかったけれど、もしかして毎回あんなものを飲んでいるのか……。
昼を済ました俺たちはファストフード店をあとにして、ショッピングモールのパルロ地下二階にある水着売り場へとやってきた。
このフロアは女の子ばかりでなんだか凄く気まずい。
見渡すかぎり男性客は俺だけだ。こ、これは二人のそばを離れないようにしなくては……。
一人になってしまったら不審者かと思われて写真を撮られたあげくネットに……。
か、考えただけでも恐ろしい。
――春時。
「春時!」
「な、なに? 真宮さん」
「なに? じゃないわよ。ボーッとして、あっ! なにか変な妄想とかしてた? 春時に水着売り場は刺激がつよかったかなぁ~ぅふふ」
真宮さんは揶揄うように笑いながら俺の胸を指で突いてくる。
「ばっ! う、うるせーなぁ!」
たくっ、刺激が強いというより周りの目が気になりすぎて……。
なんで男性客が俺しかいないんだ――などと、考えている間に真谷さんたちは水着を物色し始めている。
仕方がないので覚悟を決め、二人のもとへ足を進めた。
「わぁ! やばっ! これ可愛いぃいい! エリカ似合いそう!」
「え? こ、これですか?」
「春時みてみて! これ!」
真宮さんは真っ白なビキニを俺の前に勢いよく差し出し見せてきた。
「ちょっ! 真宮さん! 恥ずかしいからやめて!」
「なにが恥ずかしいのよ? 水着を選んでるだけじゃん」
「ほらほら、これ絶対エリカに似合うって!」
「む、無理です。ちょっと勇気が……それに白は違うと思います」
「えー、あたしの身体に似合うものは、本人が一番よく理解してるのになぁ……悲しみ」
言うと真宮さんは目元に手をもっていき、泣くような仕草をしてみせた。
まあ、たしかに入れ替わっているわけだから真宮さんの話は分かる。
「でも、高校生になってからの身体の成長は真宮さんよりも私の方が理解していると思いますけど……」
「それはそうかもだけど! あたしの方がエリカより長くその身体にいたんだからね!」
「ですけど、それは過去のデータでしかないと思うんです。白は似合いません」
「似合うよ!」
「似合いません」
なんだか、どうでもいいことで揉めてるな。そもそも色なんて好みだと思うんだけど。
「いいわ! だったら今から試着して、白が似合っているかいないかを春時に決めてもらおうよ!」
「え、そ、それは……」
「やらないの? だったらエリカの負けね!」
「むぅ。わ、わかりました……やります」
ちょ、ま、まじ? なんか俺、巻き込まれてない?
「春時もそれで良いよね!」
ハァ……やれやれだよ……。
キャップを被りバギーパンツを穿いたボーイッシュな雰囲気の真宮さんに対して、仲里さんはTシャツワンピからスラリと素足を出した姿が似合っている。
うーん、モテナイ俺が二人の女の子と買い物だなんて、冷静に考えると信じられないことが起きているんだよな。
この夏休みの間にどちらか一人を選ぶなんてこと出来るだろうか……。
「ごめんねエリカ。春時の準備が遅れたせいでまたせちゃって」
「それに関しては本当にごめん」
「い、いえ、大丈夫です。真宮さんからメッセージもいただきましたし、デパ地下を見ていたら時間が経つのはあっという間でしたよ」
「そっか、時間を潰せるところがあって良かった」
「ですね。待ち合わせ場所が池袋で良かったです」
言うと仲里さんはにっこりと微笑んだ……可愛い。
それにしても真宮さんは、いつのまにメッセージなんて送ったのだろう。俺から送るべきだったよな。
「ねぇねぇ、買い物の前にお昼しない? お腹すいちゃったぁ!」
真宮さんが言うのでスマホの時間をみると、もう昼は過ぎていた。
朝食はとっていないし、俺もお腹が空いてきている。二人とも朝食はとってきたのだろうか?
まぁ、とりあえず昼飯は賛成だ。数学の先生も腹が減ってはなんとかって、授業のたびに話しているもんな。
「そうだな、駅前のファストフード店にでも入ろうか?」
「おっけ!」
テンション高めに言いながら歩き出す真宮葵のあとに俺と仲里さんはついていった。
◇
ふぅ……少し食べ過ぎたかな。く、くるしい。
それにしても真宮さんはよくあんな甘そうなものを飲めるよな。
ガムシロップ三個は多いだろ……しかもあのアイスティーのサイズってショートだったはず。
仲里さんは慣れた感じで気にも留めていなかったけれど、もしかして毎回あんなものを飲んでいるのか……。
昼を済ました俺たちはファストフード店をあとにして、ショッピングモールのパルロ地下二階にある水着売り場へとやってきた。
このフロアは女の子ばかりでなんだか凄く気まずい。
見渡すかぎり男性客は俺だけだ。こ、これは二人のそばを離れないようにしなくては……。
一人になってしまったら不審者かと思われて写真を撮られたあげくネットに……。
か、考えただけでも恐ろしい。
――春時。
「春時!」
「な、なに? 真宮さん」
「なに? じゃないわよ。ボーッとして、あっ! なにか変な妄想とかしてた? 春時に水着売り場は刺激がつよかったかなぁ~ぅふふ」
真宮さんは揶揄うように笑いながら俺の胸を指で突いてくる。
「ばっ! う、うるせーなぁ!」
たくっ、刺激が強いというより周りの目が気になりすぎて……。
なんで男性客が俺しかいないんだ――などと、考えている間に真谷さんたちは水着を物色し始めている。
仕方がないので覚悟を決め、二人のもとへ足を進めた。
「わぁ! やばっ! これ可愛いぃいい! エリカ似合いそう!」
「え? こ、これですか?」
「春時みてみて! これ!」
真宮さんは真っ白なビキニを俺の前に勢いよく差し出し見せてきた。
「ちょっ! 真宮さん! 恥ずかしいからやめて!」
「なにが恥ずかしいのよ? 水着を選んでるだけじゃん」
「ほらほら、これ絶対エリカに似合うって!」
「む、無理です。ちょっと勇気が……それに白は違うと思います」
「えー、あたしの身体に似合うものは、本人が一番よく理解してるのになぁ……悲しみ」
言うと真宮さんは目元に手をもっていき、泣くような仕草をしてみせた。
まあ、たしかに入れ替わっているわけだから真宮さんの話は分かる。
「でも、高校生になってからの身体の成長は真宮さんよりも私の方が理解していると思いますけど……」
「それはそうかもだけど! あたしの方がエリカより長くその身体にいたんだからね!」
「ですけど、それは過去のデータでしかないと思うんです。白は似合いません」
「似合うよ!」
「似合いません」
なんだか、どうでもいいことで揉めてるな。そもそも色なんて好みだと思うんだけど。
「いいわ! だったら今から試着して、白が似合っているかいないかを春時に決めてもらおうよ!」
「え、そ、それは……」
「やらないの? だったらエリカの負けね!」
「むぅ。わ、わかりました……やります」
ちょ、ま、まじ? なんか俺、巻き込まれてない?
「春時もそれで良いよね!」
ハァ……やれやれだよ……。
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