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第24話 海とプール
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四人分のどんぶりから白い湯気が昇っている。その中にあるのは、どうみてもインスタントのラーメンだ。
それだけならまだいい……。
「果奈……この、麺を半分隠すようにのった、でかい鳥そぼろみたいなものはなんだ?」
しかも元は黄色かったであろう、その食材は大半が焦げている。
「にぃにぃ、なに言ってるの? 炒り卵だよ。食べたことないの?」
「ああ、少なくとも、こんなに焦げたものは食べた記憶がないな」
「にぃにぃ、別に文句あるなら食べなくてもいいんだよ?」
「まあ、その方が幸せになれそうな気も……」
「むぅ!」
まぁ、食べ物を粗末にはできないし、せっかく妹が作ってくれたのだから食べるけれど、問題は……。
「な、仲里さん、ごめんね。こんなので」
「え? い、いえ! わぁ、創作料理ですよね? 美味しそうです……」
仲里さん、絶対に無理してるな。
「ほらぁ! 仲里さんには分かるんだよ! にぃにぃは食べるな!」
「食べるよ、もったいないし」
――ズズズッ。
突然、麺を啜る音が聞こえてきた。
見ると真宮さんが、どんぶりを片手に食べ始めている。
「おいちいぃいい! 麺にからむ、この弾力のある炒めた卵が、アクセントになっているの最高!」
「さっすが真宮さん! にぃにぃも文句いわないで食べてみたらいいんだよ!」
「ま、真宮さん! お行儀が悪いですよ! みんなと一緒にいただきますをしないと!」
嬉しそうに両手をあげて飛び跳ねる果奈に、真宮さんの手から、どんぶりを奪う仲里さん……このリビングがこんなに賑やかになるのなんて、いつぶりだろう……。
「早見くん。あっちのダイニングテーブルに運んでから、みんなで食べましょう」
「あ、ああ、そうだね」
俺は自分のどんぶりを手に、みんなとダイニングテーブルへと移動した。
◇
「ふぅ……お腹いっぱい」
果奈の用意してくれた謎ラーメンは思っていたより美味しく食べることが出来た。
途中、真宮さんがみんなのラーメンにごましおのふりかけを、かけようとしてきたが三人とも必死に抵抗して、結局、真宮さんだけが、ごましお入りのラーメンを味わっていた。
本人は美味しそうに平らげていたけれど、しょっぱくなかったのだろうか……。
カチャカチャと食器を洗う音が聞こえてくる。
仲里さんと果奈の二人が仲良く洗い物をしている姿が微笑ましい。
真宮さんはテレビモニターに向かってゲームに夢中だ。
コントローラーをぶん回しながら、きゃーきゃーと騒いでいる。
どうやら、同じ色をしたうさぎを4個揃えて消していくパズルゲームのようだけど……こんなゲーム、家にあったかな?
「にぃにぃ!」
キッチンの方から妹の呼ぶ声がするので振り向く。
どうやら片付けは終わったようだ。
「なんだよ」
「果奈はこれからお出かけしてきます!」
「あぁ、そうなんだ。いってらっしゃい」
「むぅ……なんかあっさりしすぎ! もう少し残念がるとかないのぉ!」
「ああぁ……残念だなー」
「もういいよぉ……それじゃあ果奈は準備があるのでお姉ちゃんたち、またやーたい!」
沖縄方言まじりで言うと、果奈はそのままリビングを出ていった。
妹の言葉に真宮さんはゲームをしながら軽く返事をし、仲里さんは胸元で手を振る。
二人とも、またやーたいを理解できたみたいだな。
まぁ、話の流れてきには、またね、だろう……たぶん。
ドタドタと階段を上る音が徐々に遠ざかる。
「あぁああ! 負けちゃったぁああ!」
突然、真宮さんが叫びながらコントローラーを、床へぽいっと投げた。
どうやらゲームオーバーのようだけど、お願いだからもう少し丁寧に扱って……壊れちゃう。
もっとも、果奈もしょっちゅうコントローラーを放り投げているので今更ではあるけど。
「このゲーム絶対にクソゲーだよ!」
「そうなのか?」
「春時もやってみなよ! すごい意地悪だから!」
「いや、俺はいいや……」
「ゲーム残念でしたね。果奈ちゃんも用事があるみたいですし、私たちも夏休みの予定を決めていきませんか?」
真宮さんと話をしていると、三人分のグラスをトレイに載せた仲里さんが声をかけてきた。
そういや、もともと予定を決めるために集まったんだったよな。
「じゃあさ! どこ行く?」
おいおい、唐突だな真宮さん……。
「私は花火とか見たいですね。早見くんは、どこへに行きたいですか?」
「花火いいね。俺は、うーん……なんか思いつかないなぁ……」
今まで、いかに自分がつまらない夏休みを過ごしてきたのかを再認識してしまった。
「はい! はい、はぁーい!」
真宮さんが手を上げ下げしながら元気よく声をあげる。
なんだか急に授業のことを思い出した……そういば真宮さん、学校でもこんなだったな。
「はい! 真宮さんどうぞ!」
真宮さんのテンションに合わせているのか仲里さんもノリがいい。
なんだか以外だ……一緒に住んでいると似てくるところもあるのかな?
「海! まずは海に行こうよ! 二人ともおっけ?」
「あぁ……俺は別に構わないけど」
「あの……私は海よりプールの方が好きかもです……」
「プールか……俺は別に構わないよ」
「ちょっと! 夏は海に決まってるじゃない!」
「でも、プールだって楽しいですよ?」
「えぇええ! 春時はどっちがいいの!」
「どっちって……うーん」
正直、俺はどっちでもいいけど……どっちに行っても二人の水着姿を見ることは出来るわけだし……なんて言えるわけがない。
というか、両方いけば解決では?
「日を変えて海もプールも行けば良くないか?」
「ごめんなさい早見くん。そ、それはちょっと……」
ん? 仲里さん、もしかして海が苦手なのかな? 気になるけど、触れない方がいいことかもしれないし、今は黙っておこう。
「わかったわ……春時、エリカ! これで決めようよ!」
「ん?」
俺が答えに悩んでいると真宮さんはペンデュラムを出して見せた。
またそれで決めるのか……。
それだけならまだいい……。
「果奈……この、麺を半分隠すようにのった、でかい鳥そぼろみたいなものはなんだ?」
しかも元は黄色かったであろう、その食材は大半が焦げている。
「にぃにぃ、なに言ってるの? 炒り卵だよ。食べたことないの?」
「ああ、少なくとも、こんなに焦げたものは食べた記憶がないな」
「にぃにぃ、別に文句あるなら食べなくてもいいんだよ?」
「まあ、その方が幸せになれそうな気も……」
「むぅ!」
まぁ、食べ物を粗末にはできないし、せっかく妹が作ってくれたのだから食べるけれど、問題は……。
「な、仲里さん、ごめんね。こんなので」
「え? い、いえ! わぁ、創作料理ですよね? 美味しそうです……」
仲里さん、絶対に無理してるな。
「ほらぁ! 仲里さんには分かるんだよ! にぃにぃは食べるな!」
「食べるよ、もったいないし」
――ズズズッ。
突然、麺を啜る音が聞こえてきた。
見ると真宮さんが、どんぶりを片手に食べ始めている。
「おいちいぃいい! 麺にからむ、この弾力のある炒めた卵が、アクセントになっているの最高!」
「さっすが真宮さん! にぃにぃも文句いわないで食べてみたらいいんだよ!」
「ま、真宮さん! お行儀が悪いですよ! みんなと一緒にいただきますをしないと!」
嬉しそうに両手をあげて飛び跳ねる果奈に、真宮さんの手から、どんぶりを奪う仲里さん……このリビングがこんなに賑やかになるのなんて、いつぶりだろう……。
「早見くん。あっちのダイニングテーブルに運んでから、みんなで食べましょう」
「あ、ああ、そうだね」
俺は自分のどんぶりを手に、みんなとダイニングテーブルへと移動した。
◇
「ふぅ……お腹いっぱい」
果奈の用意してくれた謎ラーメンは思っていたより美味しく食べることが出来た。
途中、真宮さんがみんなのラーメンにごましおのふりかけを、かけようとしてきたが三人とも必死に抵抗して、結局、真宮さんだけが、ごましお入りのラーメンを味わっていた。
本人は美味しそうに平らげていたけれど、しょっぱくなかったのだろうか……。
カチャカチャと食器を洗う音が聞こえてくる。
仲里さんと果奈の二人が仲良く洗い物をしている姿が微笑ましい。
真宮さんはテレビモニターに向かってゲームに夢中だ。
コントローラーをぶん回しながら、きゃーきゃーと騒いでいる。
どうやら、同じ色をしたうさぎを4個揃えて消していくパズルゲームのようだけど……こんなゲーム、家にあったかな?
「にぃにぃ!」
キッチンの方から妹の呼ぶ声がするので振り向く。
どうやら片付けは終わったようだ。
「なんだよ」
「果奈はこれからお出かけしてきます!」
「あぁ、そうなんだ。いってらっしゃい」
「むぅ……なんかあっさりしすぎ! もう少し残念がるとかないのぉ!」
「ああぁ……残念だなー」
「もういいよぉ……それじゃあ果奈は準備があるのでお姉ちゃんたち、またやーたい!」
沖縄方言まじりで言うと、果奈はそのままリビングを出ていった。
妹の言葉に真宮さんはゲームをしながら軽く返事をし、仲里さんは胸元で手を振る。
二人とも、またやーたいを理解できたみたいだな。
まぁ、話の流れてきには、またね、だろう……たぶん。
ドタドタと階段を上る音が徐々に遠ざかる。
「あぁああ! 負けちゃったぁああ!」
突然、真宮さんが叫びながらコントローラーを、床へぽいっと投げた。
どうやらゲームオーバーのようだけど、お願いだからもう少し丁寧に扱って……壊れちゃう。
もっとも、果奈もしょっちゅうコントローラーを放り投げているので今更ではあるけど。
「このゲーム絶対にクソゲーだよ!」
「そうなのか?」
「春時もやってみなよ! すごい意地悪だから!」
「いや、俺はいいや……」
「ゲーム残念でしたね。果奈ちゃんも用事があるみたいですし、私たちも夏休みの予定を決めていきませんか?」
真宮さんと話をしていると、三人分のグラスをトレイに載せた仲里さんが声をかけてきた。
そういや、もともと予定を決めるために集まったんだったよな。
「じゃあさ! どこ行く?」
おいおい、唐突だな真宮さん……。
「私は花火とか見たいですね。早見くんは、どこへに行きたいですか?」
「花火いいね。俺は、うーん……なんか思いつかないなぁ……」
今まで、いかに自分がつまらない夏休みを過ごしてきたのかを再認識してしまった。
「はい! はい、はぁーい!」
真宮さんが手を上げ下げしながら元気よく声をあげる。
なんだか急に授業のことを思い出した……そういば真宮さん、学校でもこんなだったな。
「はい! 真宮さんどうぞ!」
真宮さんのテンションに合わせているのか仲里さんもノリがいい。
なんだか以外だ……一緒に住んでいると似てくるところもあるのかな?
「海! まずは海に行こうよ! 二人ともおっけ?」
「あぁ……俺は別に構わないけど」
「あの……私は海よりプールの方が好きかもです……」
「プールか……俺は別に構わないよ」
「ちょっと! 夏は海に決まってるじゃない!」
「でも、プールだって楽しいですよ?」
「えぇええ! 春時はどっちがいいの!」
「どっちって……うーん」
正直、俺はどっちでもいいけど……どっちに行っても二人の水着姿を見ることは出来るわけだし……なんて言えるわけがない。
というか、両方いけば解決では?
「日を変えて海もプールも行けば良くないか?」
「ごめんなさい早見くん。そ、それはちょっと……」
ん? 仲里さん、もしかして海が苦手なのかな? 気になるけど、触れない方がいいことかもしれないし、今は黙っておこう。
「わかったわ……春時、エリカ! これで決めようよ!」
「ん?」
俺が答えに悩んでいると真宮さんはペンデュラムを出して見せた。
またそれで決めるのか……。
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