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第29話 だれが当たり屋ですって?
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まさか園崎舞香の妹に、東京プールランドで会うなんて思ってもみなかった。
妹がいることは知ってはいたけれど、見るのは初めてだ。
たしか、別の中学に通っていたんだよな。
それにしても姉妹だけあって、どことなく似ている。
妹のほうが目は大きめで可愛らしい感じかも。
――ちょっと聞いてるの?
「ねえっ!」
「え! なに?」
しまった! つい、考えごとを……彼女、気のせいか表情が怒っているような気がするけど……いや、それは最初からだったな。
園崎杏奈と話がしやすいように膝をまげて彼女の目線に高さを合わせる。
それくらい彼女の身長は低い。多分、百四十センチもないのでは?
「あなた……わたしのことを完全に子供扱いしてない?」
「し、してないよ」
「ハァ……もういいわ。わたしは大切な用事があるから行くわね。なにかあったら治療費を請求させてもらうから!」
言うとピンク髪の彼女はレストランの方へ、スタスタと歩いていってしまった。
大切な用事って、もしかして昼ごはん? 俺も今からそこにいくんだけど……。
園崎杏奈と券売機に並ぶのも気まずいので、ほんの少し時間をあけてから食券を購入することにした。
売り場でカツカレーを受け取り真宮さんと仲里さんの姿を探す。
きっと二人とも食事を済ませてしまっただろうな……。
どこも席はいっぱいで見つけ出すことを諦めかけていると、両手にかき氷を持った真宮さんに声をかけられた。
おそらく食後のデザートを買いにきたってところだろう。
なんにしてもこれで二人のいる席にたどりつける。
レストランの中央あたりにある席へ移動をすると、こちらに気がついた仲里さんが手を振ってくれた。可愛い。
「おまたせエリカ。春時も拾ってきたよ! イチゴ味だったよね?」
「俺は犬か」
仲里さんはクスクス笑いながら真宮さんにお礼を言うと、両手でかき氷を受け取る。
てっきり二個とも真宮さんが食べるのかと思っていたけれど、さすがにそれはなかったみたいだ。
「真宮さんはどの味にしたんですか?」
「あたしは、みたらし団子あじ!」
みたらし団子あじ……色てきにコーラ味だと思ってた。氷とみたらしってどうなんだ?
「春時はカツカレーにしたのね? っていうか結局、あたしと同じカツカレーじゃん」
「同じじゃんって言うけど真宮さんは三品も頼んでいるんだから、かぶる確率の方が高いと思うんだけど」
「むぅ! 素直に同じにしちゃった! っていいなよ。かわいげないなぁ」
「いや、合わせたわけじゃないし」
真宮さんは相変わらずテーブルの下で蹴ってこようとするので、俺は先読みをして足を後ろに下げた。
真宮さんが悔しそうな表情をしている。やったぜ!
「そういえば早見くん。レストランにくるの遅かったですけど、なにかあったんですか?」
仲里さんがストローでかき氷をシャクシャクと崩しながら訊いてくる。
相手は女の子だったし、ちょっと言い出しにくいけど正直に話した方がいいかな……別に隠すようなことでもないし。
「それが……ちょっと女の子とぶつかってしまって、少し話が長引いたというか……」
「え? 早見くん、怪我とか大丈夫だったんですか?」
「え? あぁ、俺は大丈夫。女の子の方も怪我をしてる感じはなかったよ」
「春時、その女に絡まれたの?」
「絡まられたって……そうじゃないけど、あとから怪我とか見つかれば治療費を請求するといわれて、連絡先は交換したんだ」
「なにそれ。春時、それ当たり屋じゃん」
ん? 正面に座る仲里さんと真宮さんの間から、見覚えのあるピンクの髪をしたうしろ姿が……。
園崎杏奈だ……。
そういえば彼女もこのレストランにいるんだった。
もしかしてずっと、俺たちの会話を聞かれていた?
う、うかつだった……目の前にいる二人の可愛い彼女とカツカレーに集中しすぎて、周囲の確認を怠っていた。
よりによってすぐそばの席にいたなんて。
そのピンク髪の女の子は、突然スクッと立ち上がると、こちらを振り向き口を開く。
「ちょっと! だれが当たり屋ですって? さっきから聞いていれば随分と好き勝手なこと言ってくれてますね」
やっぱり話を聞かれてたぁあああっ!
これって、もしかしてヤバイのでは?
妹がいることは知ってはいたけれど、見るのは初めてだ。
たしか、別の中学に通っていたんだよな。
それにしても姉妹だけあって、どことなく似ている。
妹のほうが目は大きめで可愛らしい感じかも。
――ちょっと聞いてるの?
「ねえっ!」
「え! なに?」
しまった! つい、考えごとを……彼女、気のせいか表情が怒っているような気がするけど……いや、それは最初からだったな。
園崎杏奈と話がしやすいように膝をまげて彼女の目線に高さを合わせる。
それくらい彼女の身長は低い。多分、百四十センチもないのでは?
「あなた……わたしのことを完全に子供扱いしてない?」
「し、してないよ」
「ハァ……もういいわ。わたしは大切な用事があるから行くわね。なにかあったら治療費を請求させてもらうから!」
言うとピンク髪の彼女はレストランの方へ、スタスタと歩いていってしまった。
大切な用事って、もしかして昼ごはん? 俺も今からそこにいくんだけど……。
園崎杏奈と券売機に並ぶのも気まずいので、ほんの少し時間をあけてから食券を購入することにした。
売り場でカツカレーを受け取り真宮さんと仲里さんの姿を探す。
きっと二人とも食事を済ませてしまっただろうな……。
どこも席はいっぱいで見つけ出すことを諦めかけていると、両手にかき氷を持った真宮さんに声をかけられた。
おそらく食後のデザートを買いにきたってところだろう。
なんにしてもこれで二人のいる席にたどりつける。
レストランの中央あたりにある席へ移動をすると、こちらに気がついた仲里さんが手を振ってくれた。可愛い。
「おまたせエリカ。春時も拾ってきたよ! イチゴ味だったよね?」
「俺は犬か」
仲里さんはクスクス笑いながら真宮さんにお礼を言うと、両手でかき氷を受け取る。
てっきり二個とも真宮さんが食べるのかと思っていたけれど、さすがにそれはなかったみたいだ。
「真宮さんはどの味にしたんですか?」
「あたしは、みたらし団子あじ!」
みたらし団子あじ……色てきにコーラ味だと思ってた。氷とみたらしってどうなんだ?
「春時はカツカレーにしたのね? っていうか結局、あたしと同じカツカレーじゃん」
「同じじゃんって言うけど真宮さんは三品も頼んでいるんだから、かぶる確率の方が高いと思うんだけど」
「むぅ! 素直に同じにしちゃった! っていいなよ。かわいげないなぁ」
「いや、合わせたわけじゃないし」
真宮さんは相変わらずテーブルの下で蹴ってこようとするので、俺は先読みをして足を後ろに下げた。
真宮さんが悔しそうな表情をしている。やったぜ!
「そういえば早見くん。レストランにくるの遅かったですけど、なにかあったんですか?」
仲里さんがストローでかき氷をシャクシャクと崩しながら訊いてくる。
相手は女の子だったし、ちょっと言い出しにくいけど正直に話した方がいいかな……別に隠すようなことでもないし。
「それが……ちょっと女の子とぶつかってしまって、少し話が長引いたというか……」
「え? 早見くん、怪我とか大丈夫だったんですか?」
「え? あぁ、俺は大丈夫。女の子の方も怪我をしてる感じはなかったよ」
「春時、その女に絡まれたの?」
「絡まられたって……そうじゃないけど、あとから怪我とか見つかれば治療費を請求するといわれて、連絡先は交換したんだ」
「なにそれ。春時、それ当たり屋じゃん」
ん? 正面に座る仲里さんと真宮さんの間から、見覚えのあるピンクの髪をしたうしろ姿が……。
園崎杏奈だ……。
そういえば彼女もこのレストランにいるんだった。
もしかしてずっと、俺たちの会話を聞かれていた?
う、うかつだった……目の前にいる二人の可愛い彼女とカツカレーに集中しすぎて、周囲の確認を怠っていた。
よりによってすぐそばの席にいたなんて。
そのピンク髪の女の子は、突然スクッと立ち上がると、こちらを振り向き口を開く。
「ちょっと! だれが当たり屋ですって? さっきから聞いていれば随分と好き勝手なこと言ってくれてますね」
やっぱり話を聞かれてたぁあああっ!
これって、もしかしてヤバイのでは?
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